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新築・リフォーム・店舗改装など手掛ける丸伊建築有限会社は、現代表取締役である伊藤佑樹さんの父・邦則さん(初代)が、弥栄地内の大工職人に弟子入りした後、昭和54年に独立、川崎の自宅に事務所を構え、平成3年に法人化しました。
それまでの主流だった和風家屋から「白いサッシに出窓の洋風住宅」を手掛けるようになり「住宅完成見学会」を旧東磐井郡で初めて開催するなど、地域の建築に新たな風を吹かせます。創業40周年でもあった令和元年に息子の佑樹さんが2代目を継承。Facebookをはじめ、SNSを通した情報発信にも力を入れています。
(idea 2020年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
同社が手掛ける住宅は完全フルオーダー。お客様と打ち合わせする中で「世界に一つだけの家をともに作ること」にこだわりを持っています。平成7年には、旧東磐井郡内でもいち早く「高気密・高断熱工法技術」を取り入れ、健康で快適に暮らせる洋風住宅の提案を行ってきました。「現在ではオール電化住宅の普及で主流になった工法ですが、当時は『高気密=空気が薄くなる』という発想から同業者でも理解を示す人が少なかったと聞きました」と語るのは2代目代表の伊藤佑樹さんです。
「そんな状況を覆すことができたのは、多くの実績で得た経験や職人の技術だったのでしょう。父は家づくりに新しい発想を取り入れてきました。それを私が引き継ぎ、どのような活かし方で時代とニーズに合わせた家づくりを提案するかだと思います」と続けます。
平成13年、リフォームチェーン「トステムホームウェル」に加盟しホームウェル一関を展開すると、翌年から一関市弥栄に事務所を移転し、広く一関市内に営業エリアを拡大。緑豊かな自然の中に洋風住宅の魅力を活かしていく新しい形の家づくりを提案してきました。職人一人ひとりが持つ大工技術を発揮した建築物は、LIXILが展開する住宅施工例コンテスト「トータルハウジング大賞」の新築部門やリフォームマジック部門など数々の賞を受賞。佑樹さんもUターン後に初めて一人で設計から建築までを手掛けた家が「LIXILメンバーズコンテスト2013エコロジー賞」を受賞しました。
人口減少や少子高齢化の影響により多くの産業で人手不足がさけばれている昨今、「住宅産業でも職人不足。とりわけ大工不足は深刻」と語る佑樹さん。現在38歳の佑樹さんは、県外に進学・就職しましたが「24歳の時に半ば強制的に戻された」と冗談を交えつつ「いずれは地元に戻る気持ちはあった。Uターン後は大工のアシスタントからスタートし、現場と学んだ知識とのギャップに悩んだ」と当時を振り返り、現在は「現場や設計のほか、これまで経験のなかった『経営』に試行錯誤中」と続けます。
令和元年、創業40周年を迎えた同社は、佑樹さんが2代目に就任するなど経営体制を一新すると、改めてともに歩んだ地域を振り返り「MARUI感謝祭」を開催。若い世代や次世代を担う子どもたちに少しでも大工という仕事を知ってもらいたい、そんな思いを込めて、感謝祭では「こども上棟式」「骨組み体験」「カンナ体験」「おうちバコ(紙で作る家)」など大工らしい体験を企画しました。「当日は地域の方々やたくさんの家族連れでにぎわい、反響の多さに驚きました。これを機に、若い世代にも大工という職業に興味を持ってもらえるような活動を企業として展開していきたい」と2代目は意欲を見せます。
代表の伊藤佑樹さん。バックには佑樹さんの姉が作成した完成予定家屋の模型。
「こども上棟式」の様子。餅の代わりにお菓子を使用。
佑樹さんが手掛け、平成25年に賞をもらった家屋。