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　昭和55年、東山町松川で三菱マテリアル(株)岩手工場の専属設備メンテナンス会社として現代表取締役社長である千金楽(ちぎら)正伸さんの祖父(栃木県出身)が仲間とともに創業。業務拡大のため東山町長坂に本社工場を移転後、父(二代目：現会長)の代で油圧ホースや口金具等の加工・製造販売等へと業態変更。平成８年には江刺営業所を開所し、県南地域の「油圧ホースのかけこみ寺」として建設業界等を支えている。平成18年からは、横浜ゴム(株)の基幹指定店に認定され、北東北の拠点として機能。令和元年、業務拡大に伴い江刺営業所を現住所に移転し、若手従業員の育成にも力を入れている。

（idea 2022年1月号掲載）※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

　「弊社が取り扱うのは『油圧ホース』など、一般の方にはなじみの薄い物ばかり。しかし、これらは人間の体で言えば『血管』にあたり、各種機械にとって最も重要と言える部分を日々取り扱っています」と語るのは、北興商事株式会社代表取締役社長の千金楽正伸さんです。

　建設機械(重機)や工場設備(機械)、農業機械などに使用される「油圧ホース」と、その「口金具」の加工・製造販売、油圧部品や「金属継手」類、工業用ゴム製品等の製造を行う同社。「非常に稀な業種で、市内では唯一。そのため市内はもちろん、東北６県から様々な依頼があります。建設業等においては、『今すぐに欲しい(必要だ)』という状況下での製造となるため、製造現場は時間との勝負になる日も。お客様の要望に合わせ、ホースと口金具の組合せ・加工・点検・納品までの一連作業を、受注した従業員が責任をもって成し遂げるスタイルで製造しています」と続けます。

　ホースは約１００種、口金具は１０００種類以上という業界屈指の品揃えを誇り、その豊富なアイテムの中からピッキングし、依頼品に合わせた油圧ホースや関連部品を加工・製造していきます。

　14名の従業員は平均年齢が40歳と、若い世代が多いことも同社の特徴。従業員の方々は、「段取りから完成まで一貫して任せてもらえるので、技術の向上を図りながら楽しくものづくりに励んでいる」と言います。　

　すべての作業工程を覚えるまでには「２年はかかる」とのことですが、ライン作業(流れ作業)ではなく、発注元とのコミュニケーションを図りながら、そのニーズに合わせた加工・製造、そして納品に至るまで「一人で全ての工程を行う」ことを大事にしており、「職人を育てている」と言っても過言ではありません。

 「人材育成」に力を入れている同社では、積極的に職場体験や工場見学を受け入れています。地元中学校や高等学校等の職場体験受け入れはもちろん、「いちのせき若者サポートステーション」の利用者など、就職に不安を抱えている方々も受け入れ、ものづくりの面白さを体感してもらっています。

　「学生に限らず、就職に不安を抱える方などが社会に踏み出す第一歩のきっかけとなれば」と千金楽さん。「弊社は『Ｂ to Ｂ(企業対企業)』のサービス提供なので、地域の方と交流を持ったり、個人が気軽に訪れて会話し商品を購入したりするような企業体ではないのですが、できる限り自社で取り扱っている製品がどういった物なのかご理解いただけるように、そして『ものづくり』に興味を持っていただけるよう、今後も工場見学等を積極的に取り入れ、地元企業として地域との関わりを持っていきたい」と、地域の需要にも積極的に応えながら、今後も「現場の困りごと」に寄り添い続けます。

ＤＡＴＡ

本社：〒029-0302 　一関市東山町長坂字町190　

 TEL： 0191-47-4407

江刺営業所：奥州市江刺愛宕字落合375-1