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（idea 平成26年１2月号掲載）※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

◆代表取締役会長：葛西　信昭　さん　

◆連絡先：〒029-0201　一関市川崎町門崎字川崎65-10

◆電　話：0191—43-3124

◆ＦＡＸ：0191-43-3124

◆ＵＲＬ：http://www.kasainousan.com/

　一関市川崎町門崎で、主に葉物（小松菜、ほうれん草、水菜等）を中心とした15種類の農作物を生産販売し、県内で唯一ＪＧＡＰ認証（食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証）を取得している有限会社かさい農産。「農でつながる　農で輝く」を経営理念とし、従業員一人ひとりが自身の経験・能力を活かし、安全な農作物を生産し提供しています。

　もともと、養豚業を営む家庭に生まれ育ち、20年以上にわたり先代の守ってきた養豚に従事。その後、野菜流通の仕事を通し、平成15年12月に現在の野菜作り専門の農業法人を設立しました。最近よく耳にする「ごぼう茶」は、同社主力のオリジナル商品でミネラル成分たっぷりの川の砂地を利用したごぼう栽培と従業員の愛と研究を重ね、県・市内外でも人気の商品です。葉物商品を取り扱った同社がごぼう茶製造・販売に至るまでには「昔ながらのおばあちゃんの知恵」と会長の葛西さんは笑顔で語ります。

「実は以前、糖尿病を患ってね。どんどん体重が落ちて入院しなきゃいけない状況になった時、近所のおばあさんたちが、『“ごぼう茶”を飲んでいたら血糖値が安定してきたみたい』という話を聞いて従業員が当社のごぼうを使ってごぼう茶を作ってきてくれたんだよ」と葛西さん。川崎町に流れる北上川の性質は、昔からごぼうの栽培に適しており、先人の知恵としてそれを煎じお茶にして健康維持の一つとしてきました。「お茶を飲んでいるうちに、入院しなくても大丈夫なくらい、体調が安定してきたんだよ」と葛西さんは当時を振り返ります。その後、行政の方の後押しやお客様からの「商品化したほうがいいよ」というお声がけがあり、従業員の熱心な開発とこだわりで平成24年から商品化となりました。「私達はただ野菜を作って販売するだけが目的ではありません。地域の食文化や伝統を継承するとともに、多くの方々とつながりを深く持ち、地域雇用を保ち安心安全な農作物を地域の方、全国の皆さんに発信していきたいのです」と語り、「自信を持って自社農作物を最終消費者に届けたりつながりを深めたりするには、自分たちも輝いていないとね」と満面の笑みで続けます。

　同社の従業員17名は、ほとんどが市内から採用。現在産休中の方が2名おり、20～30代が9名、60～70代が6名と幅広い年齢層、そして子育て真っ最中のお母さん方も生き生きと野菜作りに従事しています。また、就労継続支援Ａ型事業所として一般社団法人「やさいサラダ」を立ちあげ、障がいを抱えた方々も安心して従事できるよう体制を整えています。「企業が少ない中、子育て中のお母さん方は仕事を見つけることすら大変。高齢者の方や障がいを抱えた方も同じです。では、どうすれば雇い側も従事側も安心して職につくことが出来るか。人にはそれぞれ価値観があります。それをお互いが認め、どんな人でも地元の職場で輝けるように、それぞれが抱える事情に応じてサポート、仕組みをつくるのが私の役目であり、そのことを私は消費者、従業員を含め皆さんから気付かされているのです」と語る葛西さん。

　従業員の方々がのびのびと笑顔で作業している姿を拝見し、葛西さんの言葉に私も気付かされることが多く学びの取材となりました。