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分野を生かした地域づくり
(idea2012.vol12掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
大東町興田で生まれ育ち、家族のような地域の方々に囲まれながら、戦後の苦しい中でも豊かに少年時代を過ごした及川さんは、中学卒業後、集団就職列車に乗り東京へ。昼間は大工見習いとして修業し、夜は定時制の建築専門の学校へ3年通ったという努力家。その後、東京の企業で、住宅・店舗専門の建築設計士として高度成長時代を駆け抜けてきました。「当時、上野駅で流れていたBGM『あぁ上野駅』を今でも思い出します。」そう語る社長の及川さんは、昭和63年に帰郷し、平成9年に生まれ育った地元に、有限会社 オイカワハウジングを起業。
新築・リフォームなどの設計もすべて手掛ける及川さんは、「何もない空間に自分の描いたものが表現できる喜びがあり、冥利に尽きる。」と、仕事に誇りを持っています。
県南地域で広く施工を行っている同社は、土台にヒバ材、柱は桧・杉材を使用。仕上げ材にも無垢材をふんだんに使用し、安心で健康快適な住宅を造っています。従業員は地元出身者が多く、熟練された職人による自然素材豊かな手造り住宅は、完成後も定期点検を行うなど、アフターフォローも万全に、出会った人と人との繋がりを大切にしています。家づくりでは、お客様の希望を十分配慮した上で、満足していただけるようなアイデアを提案し、少しのスペースも無駄にせず有効活用した収納棚等の設計をすることも及川さんのこだわり。また、空気を汚さず、一般住宅と比べてCO2を削減できるスーパーウォール工法を取り入れた施工では、 地球環境にやさしく、耐震性にも優れ、高機能・高気密で建築トップレベルの性能で建物を完成させます。
十数年前より、先駆けてこのSWパネルを使用した建築設計により、広く市内のお客様に喜ばれているとのことです。
人にやさしいまちづくりと商店街振興の一環で、旧大東町が平成16年に開催した「ストリートファーニチャー・コンテスト」では、同社が製作した「ワッeチェア」が最優秀賞を受賞し、その後大原公民館へ寄贈。丸みのあるテーブ ル・ベンチ(チェア)は、拝見した写真からでも、木のぬくもりが感じられました。また、同社付近の4地域へはバス停やごみステーションを従業員と共に手作りし、匠の技を生かした明るいバス停、清潔感のあるごみステーションを完成させたのです。
さらに、4・5年前から、東磐大工組合の組合長を兼務していた及川さんは、東日本大震災後、震災ボランティアとして「何か自分たちにできることはないか?」と声をかけ、千厩まちづくり団体連合会など3団体と協力しあい、一関市千厩町に避難する宮城県気仙沼市の被災者を支援しようと、仮設住宅玄関付近に踏み台や物置棚を50戸に設置しました。
「この日は大雪で、とても寒い日だったことを思い出します。」と語りつつ、「仮設住宅を下調べした際に物置棚の少なさや、高齢者への配慮として玄関の踏み台がないことが建築のプロとして気にかかっていました。」と振り返る姿から、仮設住宅でも、匠の目は細かいところまで気配りがなされ、企業が持つ得意分野を有効に、地域に協力する姿勢が感じられました。