※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
昭和29年、ポリエステル加工メーカーとして創業し、昭和34年に「昭栄化工株式会社」を設立(平成10年に現社名へ商号変更)。翌年からオートバイ用ヘルメット生産に着手すると、アメリカやフランスに現地法人を設立します。ヨーロッパ市場において同社ヘルメットの需要が高くなると、製造能力の向上を目指し、昭和62年、子会社である「昭栄総業株式会社」の岩手工場が藤沢町(当時)で操業開始。さらに平成元年、「昭栄化工株式会社(現SHOEI)」の岩手工場も新設され、ヘルメットの内装(縫製等)を行う協力企業も複数創業。現在は「株式会社SHOEI岩手工場」として、高卒入職者から定年後の再雇用社員まで、老若男女約360名が働いています。
(idea 2023年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
オートバイク用ヘルメットを中心に、官公庁用(防衛省用、警察庁用)など、大きく分けて6種のヘルメットを製造・販売する株式会社SHOEI。東京都に本社が、東京都・大阪府・神奈川県にショールームが、そして工場が茨城県と岩手県一関市藤沢町にあります。同社のヘルメットは世界各国で販売されており、なんと世界シェアの60%が同社。当市で製造されたヘルメットが世界各国で使用されているのです。
原料であるFRPの加工から塗装、組立まで、一貫生産体制を確立しており、その作業の多くが手作業。「実際に就職するまで、(作業を)まさかここまで人の手でやっているとは思いませんでした」と、当時の驚きを語るのは、岩手工場の新設時に入社し、4年前に工場長となった小野寺奏さんです。
手作業が多い理由の一つには世界各国の規格を取り扱うことが挙げられます。「材料の仕込み方が全然違うんです。いずれは機械化しようと準備はしていますが、まずは人間が、老若男女問わず同じ作業ができなければ、機械のパターンが決められません。手作業が技能の原点です」と、その難しさを語る小野寺さん。「各国の規格はありつつ、弊社には『SHOEI規格』として各国の規格のさらに上をいく独自規格を設けています。そのため、規格上は耐用年数3年であっても、作り手としては10年持つという気持ちで作っています」と、誇らしげに続けます。
コロナ禍のあおりも受け、世界的にも盛り上がりを見せているというバイク業界。通勤・通学等の日常の足や、ツーリング・キャンプなどの余暇の楽しみまで、密を避けるという観点で人気が高まり、その需要はヘルメットにも及びます。
令和2年度は1日1300個ほどの生産でしたが、現在は1850個。来年度は2000個まで増やす予定で、一時は受注制限をかけるほどだったとか。そのため、ここ数年は高卒新入社員も毎年10人程度ずつ雇用。実際に工場を見学させていただくと、男女ともに若い世代が繊細な作業に汗を流していました。
1つのヘルメットが完成するまでには5~7日かかり、そのうちの多くは乾燥の工程。人間の手がかかるのはわずか50~100分で、磨いては塗って……、という地道な手作業を繰り返すのだとか。
平成3年(昭栄化工時代)、当時の藤沢町と協働で「藤沢スポーツランド(モトクロス場)」を整備するなど、地域貢献にも尽力する同社は、ESG経営※の一環で、工場が立地する自治体(茨城県稲敷市と岩手県一関市)にそれぞれ1億円ずつの寄付(企業版ふるさと納税)もしており、令和4年度が2年目。使途は寄付先の自治体に一任しています。
※ 長期的な企業の発展・成長のため、環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)の3つの要素を重視する経営方法。
「Mede in Japan」のこだわりが、二輪ライダーたちにはもちろん、地方自治体にも大きな恩恵を与えています。
川崎町出身の小野寺奏工場長。
子育て世代も多い同工場には社員食堂もあり、なんと1食200円!
JR一ノ関駅の構内にも「一関から世界へ」と書かれた同社の広告看板が掲げられています。
DATA
【岩手工場】
〒029-3404
一関市藤沢町徳田字野岡27-1
TEL 0191-63-2274