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「障がい者就労継続支援A型事業所※ 」の指定を目指し、平成24年に法人化。利用定員(障がい者雇用定員)10名からスタートし、青葉本店(現事務所)で地元産米をメインとした手作り弁当の製造を行ってきました。障がい者施設や、当事者・家族からの要望を受け、平成26年には店舗での飲食が可能な真柴支店をオープン(コロナ禍で食堂部門は休止中)。店舗販売や市内スーパー等での卸販売のほか、各機関や企業等への配達弁当や外販も行っています。現在は利用定員20名で、障がいを持つ人への継続的な就労・雇用の場を提供しています。
※障害者総合支援法に基づく福祉サービス。就労継続支援事業にはA型とB型の2種類あり、雇用契約を結び、最低賃金以上の給料が発生するA型に対し、B型は雇用契約は結ばず、作業工賃としての賃金が与えられる
(idea 2021年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
一関市青葉に店舗を構える「煮売り酒屋おのでら」。店主の小野寺悟さんが常連客に「障がいを持つ人を雇ってみないか」と声をかけられたのは15年ほど前のことでした。その常連客は市内の障がい者支援施設で勤務しており、「軽度の知的障がいを持つ女性が自立を目指して仕事先を探している」と言うのです。
これまで障がい者との接点が一度もなかった小野寺さんは、「『障がい者の自立』と『雇用』が結びつかず、ボランティアをイメージした。先入観で、接客は無理かもしれないが掃除や皿洗いなど裏方がいてもらえれば助かるな、と、常連客の話に耳を傾けた」と当時を振り返ります。
それから数日後、施設から紹介された女性は、面接や職場実習を経て、「一般就労」として同店に就労することに!「正直、先入観を覆されました。充分な労働意欲があり、学ぼうとする姿勢が伝わってきて。確かに、得手不得手はありますが、それは個性の一部。環境を整えるのが雇用側としての努めです」と話す小野寺さんは、それから数年後、他の施設からも3名の利用者を自立支援の一環として受け入れたのです。
夜の居酒屋に加え、受け入れた利用者と昼の弁当製造を開始した小野寺さんは、「どういう組織ならもっと喜びや達成感を感じてもらえるだろう」と、経営の傍らで障がい者雇用の仕組みを勉強し、たどり着いたのが「障がい者就労継続支援A型事業所」でした。
B型ではなくA型で、かつ株式会社を選択したのは「社員として胸を張って仕事をし、企業の利益につなげ、その分しっかり収入を得る。それが精神的な自立だけではなく、経済的な自立にも繋がり、社会への一歩だという意識を高めてもらうため」だと言います。「仕事を覚え、慣れるまでに時間がかかる人も多い。しかし、人や会社の役に立っていると利用者が感じることができた時、大きく成長するのだと思います」と続け、「親御さんが自立に向けて積極的に関わることも大事。利用者の中にはコミュニケーションを図ることが苦手な人もおり、まずは『定時に会社に着く』ということが第一歩。車の運転ができない場合も親御さんの協力が不可欠。当社のお弁当を待つお客様がいるので、『遅刻』は絶対に許されません」と、家族・企業・支援者が一丸となってサポート体制を築くことが必要不可欠であることを力強く語ります。
最後に「お弁当のほかに冠婚葬祭用のギフト製作も手掛けており、常に成長の刺激になるよう新しいことに挑戦しています。お弁当作りは苦手でも、箱を折るのは職人並みに速い子もいます。やはり一人ひとりの個性ですね。コロナ禍が落ち着けば、モーニング喫茶なんかもいいなと妄想中です」と、経営者として、支援者として、一人ひとりの個性が活きる仕事を創り出すべく、挑戦し続けます。
作業風景。390円~550円まで20種類のお弁当を製造。
自慢は契約栽培の「お米」。現在は大東町の農家さんと契約しています。
代表取締役で管理者の小野寺悟さん。
DATA
青葉本店(事務所)
〒021-0031 一関市青葉1-4-17
TEL 0191-26-6540
※真柴支店(一関市真柴字矢ノ目沢56-101)は食堂部門休止中