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世界的に有名なブランドである、ポール・スミス、パパス、アングローバル(マーガレット・ハウエル)、コムデギャルソン(オム・ドゥ)等のメンズ・レディースのスーツ、ジャケット、コートなど、「パリコレ」でモデルが着用することもある製品を手掛ける縫製工場で、昭和55年11月創業。東北・海外に計10工場があり、一括で本社(東京都)が管理。令和2年から「いわて女性活躍認定企業等(ステップ1)」の認定を受け、産休・育児休業・職場復帰後の時短勤務等の制度や、互いに支え合う環境を築く。従業員の国家資格取得のサポートなど、技術向上と品質へのこだわりを大切に、時代に合ったモノづくりを行う。
(idea 2024年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
株式会社岩手サントップ(代表取締役 平澤邦朗氏、大東工場 専務取締役兼工場長 矢野洋一氏)は、一関市大東町内で閉鎖した縫製工場の敷地や建物、工業用ミシン等の機材を買い受けし、昭和55年に創業しました。前従業員の雇用を継続し、「縫製業界の時代の変化」も経験しながら、同社が縫製した製品は海外のモデルやアーティストなども着用するなど、トップクラスの技術を誇る縫製工場です。岩手県内には二戸市に「株式会社二戸サントップ」、秋田県内には3つの工場があり、グループ企業となっています。
同社が縫製する製品は「ポール・スミス」をはじめ世界的にも有名なブランドが多く、製造の約8割はメンズカジュアルジャケットで、企画の打ち合わせから設計、裁断、縫製、仕上げまで行う、一貫生産体制です。
工場勤務の従業員はベテランも多く80人ほどで、約9割が女性。メーカーからのハンドメイド要請にも応えるため、市内外に手縫いを専門とする内職者も約30人専属契約しており、「各ブランドからの要求を100%形にすることができる工場」を目指し、基本理念に掲げています。
「市内に被服について学べる高校があり、学校を通じて生徒の企業見学を受入れ、入社につながるケースも多いですね。若手の育成にも力を入れており、新入社員研修のほか、全従業員での勉強会やグループ企業との研修会も定期的に開催しています」と語るのは、工場長代理の佐藤裕明さん。
特に力を入れているのが、入社5年目以降の従業員の「紳士服製造技能士資格」の取得。現在は、15人が有資格者(一級紳士服製造技能士4人、二級紳士服製造技能士11人)で、その技術を活かして縫製された製品は、海外でも愛用されています。
同社では、地元中学生の社会体験学習を毎年受け入れており「1着の服がどのような工程で仕上がっていくか」を知ってもらう機会を設けています。「学生など若者が縫製に興味を持ってくれるのは嬉しい。その興味を活かせる企業でありたい」と佐藤さん。「世界に通じる縫製の技術は中央(都市部)だけではなく、地元にもあります。将来、ファッションや縫製に携わりたいという夢を持つ生徒が、少しでも地元に残るという選択をして欲しい。そして、技術を継承してもらえれば……」と、若者の夢に期待を寄せます。
毎年夏には工場敷地内で納涼祭を開催するなど、季節ごとのイベントなどで交流の場も大切にしている同社。令和5年からは、多くの方に「岩手サントップ」を知ってもらうため、ホームページやインスタグラムも開設し、縫製の魅力のほか、従業員の輝く笑顔や交流の様子も発信中です。
従業員が安心して働ける環境づくりに努めるとともに、縫製業界の発展にこれからも貢献し続けます。
工場長代理の佐藤裕明さん。
同社で縫製したブランドジャケット。
グループ企業との研修で技術を磨きます。