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代表取締役 伊藤利幸さん
(idea2018年12月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代表取締役:伊藤 利幸 さん
◆住 所:〒021-0884 一関市大手町7-26
◆電 話:0191-26-5555
◆FAX:0191-26-2141
私たちの日常における交通手段は、多くの場合“乗用自動車※1”に支えられています。
乗用自動車は、昭和35年あたりから普及しはじめ、昭和40年代に発展を遂げると経済成長の発展と共に現代人に(特に地方都市では)欠かせない交通手段となり、個々が運転免許証を取得し、“一家に一台車がある”という時代までそう長くかかりませんでした。
それでも、地方では昭和50年代後半頃までは自家用車よりも身近にタクシーや公共交通機関が多く利用されてきた背景があります。
株式会社県南タクシーは、昭和28年に営業を開始し、長く地域の“足”として親しまれてきました。
平成に入ると地方での自家用車の普及率はさらに上がり、タクシー利用率の低下が危ぶまれる中、先代の代表取締役である岩井敏夫さんが、半身麻痺となった母親の通院の苦労をきっかけに、平成9年から市内で初となる福祉タクシーを導入。「高齢者や障がいを持った方々がより安全に利用しやすい環境」を目指し、地域社会の強い味方として注目されました。
※1タクシー、自家用車などもっぱら人間の移動のために用いられる自動車のこと。
現代表取締役の伊藤利幸さんは、もともと大手自動車メーカーに勤務。岩手県内を中心とした営業マンを経て、最終的に支店長となった支店を分社化し独立子会社を設立するなど、経営の立て直しを図る手腕の持ち主です。この背景から、平成15年には千厩町の有限会社西宗タクシーの代表取締役として経営に携わり、平成18年からは、株式会社県南タクシーの先代とのご縁もあり代表取締役社長に就任し現在に至ります。
県南タクシーでは、福祉タクシー導入後、平成15年の介護保険法の改正をきっかけに介護保険事業所の認定を受けました。乗務員はホームヘルパーの資格を取得し、介護福祉士を中心としてケアプランに沿った訪問介護サービスを展開しており、介護保険を利用した場合、利用者負担が一割で済むことなども特徴です。
「私たちは人の命を運ぶ仕事です。どんな方でも利用しやすいように、同じ目線に立ち、どんな環境のタクシーであれば満足していただけるかを意識し、より安全安心な運行を心がけています」と語り、「高齢化社会が深刻化する中でいち早く福祉や介護という視点をタクシー業界に取り入れた先代の思いを、私は重点的に継続すべく引き継いだまでです」と伊藤さんは続けます。介護タクシーの会員登録者数は延べ1800人を超え、毎月100人ほどが利用しているとのことです。
一関市では、通院、買い物などの日常生活に必要な交通手段として、民間の路線バスが通っていない地域を中心に、市営バス、なのはなバス、廃止路線代替バス(東磐交通)、デマンド型乗合タクシー※2(以下「デマンド型」)を運行しています。このうち、デマンド型は舞川地区と達古袋地区で1年間の試験運転を経て、平成28年から一関地区タクシー業協同組合(同社を含めた4業者)が運行しています。伊藤さんは同協同組合の理事長に任命されており、計画策定の段階から協議に携わってきました。「市、地域、企業、個人それぞれがアイディアを持ち寄り、今後も継続して地域の暮らしに必要なサービスを提供していきたい」という伊藤さんの言葉からは、タクシー業界の在り方について地域と真剣に向き合おうとする姿勢が感じられました。
※2事前登録の上、利用予約をし、自宅付近などから乗降場所まで移動できる公共交通サービス。
福祉車両5台、青ナンバー営業車33台、UD車(ユニバーサルデザイン車)2台を保有し、観光から介護まで幅広く対応ができます。