※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
代表取締役社長 新宮 由紀子 さん
(idea 平成30年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代表取締役社長:新宮 由紀子 さん
◆連絡先:〒021-0822一関市東台14-34
◆電 話:0191-23-3850
◆FAX:0191-23-3851
一関市近郊に3工場を構える金属加工メーカーの株式会社長島製作所は、部品メーカーに勤務していた新宮紀一郎氏が独立し、昭和51年に家電製品の金型製作とプレス加工所として創業しました。今回は娘で2代目社長である新宮由紀子さんにお話を伺いました。
創業当時は平泉町長島に工場を置いていたこともあり、社名はその時の地名に由来しているそうで、当時プロ野球で大活躍していた巨人の長嶋さんの名にもあやかったのだとか。
平成に入り家電生産が海外に移行し始め、電気機械産業の勢いは減退、一時は経営が傾きつつあったそうですが、現在は、本社工場を一関東台に置き、家電部品の他、半導体関連部品のプレス加工や精密板金加工を行い、前沢工場(奥州市)では各種自動車部品の量産、藤沢工場(一関市藤沢町)では金型設計・製作の他、各種研究開発などの生産技術全般を担っています。
金加工を行い、前沢工場(奥州市)では各種自動車部品の量産、藤沢工場(一関市藤沢町)では金型設計・製作の他、各種研究開発などの生産技術全般を担っています。
新宮さんは、大学卒業後、東京のアパレル業界に就職しバイヤーとして活躍していましたが、体調を崩した母の介護のためUターン。そこへ父である前社長から「自動車部品製造の部門を立ち上げるから手伝ってもらえないか」と要請されたことがきっかけで“モノづくり”の世界へ。同社の自動車部品製造の下請会社「コ―プライズ」を最低賃金のパート5名でスタートさせた新宮さんは、大赤字と、従業員との危機意識共有による生産性と品質の向上という両方を体験しながら現場でモノづくりと経営の経験を積みました。平成17年コープライズは、長島製作所の自動車部品製造専門の前沢工場新設を機に合併。新宮さんは前沢工場製造部長に就任し、現在長島製作所の売上の6割を占めるという自動車部品事業の礎を築いたのです。
長島製作所は約150人の社員のうち3分の1が女性。子育てをしながら役職をもつ女性社員も多くいます。平成26年に認証された「いわて子育てにやさしい企業※」について、「絵にかいた餅にしたくない」と新宮さん。「そのためにも社員一人ひとりが声をあげられる環境が必要だ」と続けます。
新宮さんは、“男性の仕事”と見られがちな、“モノづくり”に携わるうちに「女性って製造業に向いているな」と感じることが多々あったといいます。「同じ製品を一日数千個単位で製造しているわけですからね。作業スピードと正確さが命です。根気強く同じ作業を一定の効率を保って繰り返す資質は女性の方が優れていると思いますね」と語ります。
しかし、女性は結婚・出産・介護などで家庭との両立を図るため部署の異動や、働き慣れた職場を退職せざるを得ない状況が現実的に起こりがち。新宮さんは自身の経験を踏まえ、社内に“子育て支援推進委員”を設け、環境改善を推進してきました。「社員の意見を取り入れながら妊娠から育児期間中の制度一覧を委員が作成し、誰もが理解できるように掲示。男女問わずお互いが情報を共有できることが大事だと思った」と語り、実際に未就学児の子どもがいる社員には希望に応じて短時間勤務などを行うことができる制度を取り入れ、企業として子育てをサポートしています。
今後は女性社員への支援を手厚くする一方、男性社員の育児休業取得推進も考えており、「現状に合った取り組みを社員の声を聞きながら進めていきたい」と力強く語っていただきました。
※育児・介護休業法の規定を上回る休業制度や短時間勤務制度、年次有給休暇
取得などを促進する企業を認めるもので市内では同社を含めて5社が認証