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工場長 吉田 智雄さん
(idea2019年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代表取締役:河野 通洋さん
◆住 所:〒029-0711(大原工場)一関市大東町大原字台103-2
◆電 話:0192-55-3261(本社)
◆FAX:0192-55-3262(本社)
株式会社八木澤商店は、陸前高田市に本社を置く老舗醤油製造販売店で、醤油のほかに味噌やドレッシング、スープなど120種類の調味料の製造販売を行っています。文化4年(1807年)に創業し、昭和35年から現在の名称となりました。
築190年の蔵の中で木桶を用い、伝統的な製法で醤油づくりを手掛けていた同社でしたが、平成23年3月に発生した東日本大震災で一変します。
「津波で醤油も蔵も、店舗や工場すべて流されました」と語るのは、大原工場工場長の吉田智雄さん。「あまりの衝撃に言葉を失いましたが、震災20日後には物資搬送ボランティアを行い、代表取締役からは再建決意表明が出され、従業員一丸となって地域の復興と八木澤商店復活に全力を注いできました」と当時を振り返ります。
震災から1か月ほど経過した頃からは、営業拠点を一関市大東町摺沢地区に移し、県内外の醸造蔵に製造を委託、商品の販売を開始しました。
「一関商工会議所大東支所から支援をいただき、元縫製工場を当社の本社仮事務所とし再出発しました。地元から一山越えた大東町には感謝の気持ちでいっぱいです。陸前高田市からはバス通いだったので、この町にはどんな店があるのか、災害があったときの避難場所や経路がわからなかったため、商工会議所の職員さんに町を案内していただき、みんなで散策をしたこともあります」と吉田さんは語ります。
震災年の12月には、一関市花泉町につゆ・たれ工場
を借り、醤油加工品の製造を開始しました。小さな釜で何度も何度も仕込み、製造が自分たちの手で再開できた喜びをかみしめていたそうです。
震災翌年の10月からは、本社を陸前高田市に戻し、製造工場を一関市大東町大原地区に構えます。「今、工場が建っている場所は、旧大原小学校の校庭やプールがあった所です。住民の方々も快く受け入れてくださり、励ましの言葉がとても温かく嬉しかったというのをよく覚えています。(工場勤務の)従業員は、陸前高田市と大東町内の方で半々くらい。大原地区の農家さんには、醤油の原料となっている大豆を契約栽培していただいています。地域の人と協力して伝統の途絶えない醤油づくりを今後も続けていきたいです」と吉田さん。続けて「震災前の工場では、近くで畑も管理していました。漬物用の野菜を育てていたのですよ。原料から加工まですべてにこだわった漬物も大変人気でした。いつの日か、あの頃のように畑づくりもしながら漬物の加工ができればいいですね」と今後の夢を語ります。
大原工場では、個人でも団体でも工場見学を受け入れています。「多くの方々に醤油ができるまでの工程を見ていただきたい」と吉田さん。見学を希望する場合は、「日程調整などもありますので、本社※までお問い合わせください」とのことです。※上記基本情報参照
さらに同社では、震災当時の様子なども後世に伝えるべくホームページにて綴り、メディアや講演などを通して復興までの軌跡を語り継いでいます。
製麹(せいぎく)工程を見学。
醤油づくりには様々な工程があり数日かかります。
株式会社八木澤商店が発行している
“かわら版”には、地域情報も掲載中。