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株式会社柴宿ファッションは、ジャケット、ワンピース、コート、スカートなど高級婦人服を専門とした縫製工場で、年間4万着を製造しています。
現代表取締役社長 小川浩司さんの父(現会長)が創業者で、埼玉県で縫製会社を起業した後、旧東磐井郡に拠点を移し、昭和54年4月に法人化しました。平成8年からは、株式会社三陽商会の認定工場(認定自主検査制度)となり、技術レベルの高い縫製工場として、多数のアパレルメーカーと取引を行っています。また、現会長は長年、縫製技能検定委員を務め、技能士試験官として縫製知識を高める技術者の育成にも力を入れてきました。
(idea 2020年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「テレビなどで弊社が手掛けた製品を見かけると、つい写真に収めてしまいますね」と嬉しそうに語るのは、代表取締役の小川浩司さん。創業当時から婦人服を専門としている同社の製品は、国内の大手百貨店で取り扱われる高級商品が多く、ニュースキャスターや女優、雑誌のモデルも多く着用しています。
小学校5年生の時に家族とともに埼玉県から東山町に移り住んだ小川さん。高校卒業後は、仙台市の専門学校で経営学を学び、宮城県石巻市の大手アパレルメーカー※子会社勤務を経て、平成23年4月に2代目代表取締役へと就任しました。
同社は株式会社三陽商会(以下三陽商会)の認定工場ですが、三陽商会がチェック柄で有名なイギリスのブランド、バーバリー社とライセンス契約したことで、バーバリーの婦人服を縫製していた時期もあるというので驚きです。
同社が手掛けた製品が紹介された記事等をまとめたスクラップを眺めながら、小川さんは「時代の変化と共に国内生産から海外生産が多くなり縫製業界も変化し同業者の撤退も目の当たりしてきました。そんな中で『やっぱり日本で作ったものは技術が違うね』と評価していただけるよう、一人ひとりがプロ意識を持ち、品質向上に向け日々努力しております」と語ります。
※一般的に、衣服の製造業及び流通業をアパレル産業(日本では主に洋装系の既製服を指す)、衣服の企画・製造・卸売を行う企業をアパレルメーカーと呼ぶ。
同社の従業員は50名で、平均年齢が40代と比較的若く、女性も男性も活躍できる工場設備となっています。
三陽商会から依頼を受けデザインをパターン化したデータを基にサンプリングし、その後、量産製造が始まります。裁断、縫製ラインを経て、検査、仕上げプレス、値札を付けるところまで同社で行い、納品後に全国百貨店へ配送されます。
小川さんは「ファッション業界なので、若い人のアイディアは重要」
と、工程ラインのリーダーとして若年層を配置するなど、縫製の技術を次世代へ繋ぐための教育・育成にも力を入れていると言います。
ここ数年、東山中学校の職業体験も受け入れている同社。「体験の中では、地元で作られている婦人服が全国に流通していること、縫製の魅力、資格がなくても得意な分野を活かせる職業であることなどを伝えます。そのうえで、職業体験期間中に家族か自分のエプロンを仕上げることを目標にした体験もさせています。寸法を測ってみたり、ミシンやアイロンを使用することで、将来、ものづくりに興味を持ってもらえたら」と笑顔で語る小川さん。
最後に、「人手不足や後継者不足などで廃業に追い込まれる業界の現実もありますが、地元の雇用の場として、また縫製技術を次世代につなげる役目として、これからも地元東山の力となれれば」と語ってくださいました。
代表取締役社長の小川浩司さん
数十枚の生地を圧縮し一度に裁断できる自動裁断機(AK-A1705ロングタイプ)
株式会社柴宿ファッションの外観
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