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明治37年「白石里仁堂(しらいしりじんどう)」として、現代表取締役社長の祖父(日露戦争で野戦病院に勤務)が現在の岩手銀行千厩支店の場所に薬店を開業。昭和2年に現在の位置に移転し、昭和26年に株式会社白石薬店(調剤薬局・衛生用品・化粧品販売等)として法人化。社長職は祖父、祖母、父、母とバトンが回され、現在で5代目。
個人向けの調剤・医薬品等の販売のほか、薬の卸業、化粧品の取り扱いをメインにしていた時代もあるなど、時代に応じた店舗経営を行っており、チェーン店のドラッグストアが普及した現在は、「かかりつけ薬局」として、地域住民の顔を知っているからこその店舗サービスを目指しています。
(idea 2022年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
通称「白石薬局」として親しまれている株式会社白石薬店は、地域住民の衛生環境指導や健康管理に寄与して間もなく120年を迎えます。
現社長の白石恵一さんは、昭和51年から旧東磐井地域内の幼稚園・小学校・高等学校の学校薬剤師(市委嘱・県委嘱)としても活躍。学校施設の環境衛生検査(空気検査・プールの水質検査・学校衛生指導等)のほか、健康や薬物乱用防止講座等の講師も長年務めており、同様に、地域のサロンや自治会からの依頼にも対応しています。
同店では、医師の処方箋による薬の調剤のほか、風邪薬や頭痛薬、胃腸薬等の一般医薬品、うがい薬や消毒液、栄養剤・腸整剤等、作用の強い第1類医薬品から第3類医薬品の取り扱いも行っており、平成22年までは薬の卸業も行っていました。
「卸業では、非常に作用の強い薬(麻薬等強い依存性を持つもの)も取り扱っていたため、『薬物依存や乱用』という、薬が持つ二面性について興味を持つきっかけになりました。そこから学んだ内容を、地域や子どもたちに広く啓蒙していくことに特に力を入れています」と白石さん。
国の政策で医薬分業が進み、当市域でも大手チェーン店の調剤薬局が複数展開していますが、地域に根差した老舗である同店では「複数通院している方の処方時は、処方箋とお薬手帳を確認し、時には医師に『疑義照会※』をかけることもある」など、高齢者はもちろん、顧客一人ひとりに寄り添い、家庭環境も把握しながら、服薬に関する指導を行います。
※ 薬剤師が処方箋の内容について、発行した医師に問い合わせること
昭和後期には取り扱いのメインと言っても過言ではなかった大手メーカー化粧品。ドラックストアチェーン店やコンビニ等の普及により、安価に化粧品が入手できるようになってからは、店舗内の大手メーカーの名が刻まれた棚は「デッドスペース」となり、白石さんの悩みの種に。
そんな折、同店の立地する本町商店街で、東北学院大学工学部建築学科の生徒による「商店街活性化のための調査」が始まりました(せんまや本町通り振興会が受入れ)。同店でも「自分の趣味を活かしつつ、地域の方が気軽に立ち寄れる場所」として、デッドスペース部分を大学生とともにリノベーションすることに。
そして令和3年10月、白石さんが少年時代から収集してきた映画俳優や野生動物の切手や本などが並べられ、同店を訪れた人が自由にそれらを手に取り見ることができるスペース「里仁堂ギャラリー」が店内に誕生しました。
「本町商店街は夜市やアートイベントが盛んに行われています。現在はコロナ禍で休止していますが、また賑わいあるイベントが再開される頃には、多くの人が交流できるスペースとしてこの店舗の一部も大いに活用してもらいたいものです」と、同店の担う新たな役割を白石さんも楽しみにしています。
代表取締役社長の白石恵一さん
生まれ変わった店舗の一部「里仁堂ギャラリー」
店舗外観。薬の相談だけでなく、「話語り」だけでもお気軽に!
DATA
〒029-0803
一関市千厩町千厩字町37
TEL 0191-52-3138