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昭和59年創業。産業設備等の電子基板のはんだ付け(電子回路基板実装・リワーク)や各種電子機器装置の組立・検査を行う。高度なはんだ付け技能の習得を進め、「ものづくりのプロ集団」として、電子機器の「命」を繋ぐ同社では、約80人の社員の半数が女性。平成20年に「職場風土改革促進事業実施事業主(厚生労働省所管)」の指定を受け、同年に次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定。子育てを行う男性・女性社員双方が、両立支援制度を気兼ねなく利用することができる仕組みをいち早く導入するなど、「子育て支援企業」として宣言を行い、雇用環境の整備を推進しています。
(idea 2022年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「コンセントや電池を入れて動くものには全て電子基板が入っているのですが、弊社ではその電子基板にはんだゴテを用いて部品を取り付け、製品の命を繋ぐ仕事をしています。仕上がった製品そのものは、大手企業等が販売元となるので、社名が表に出ることは少ないですが、実は皆さんが知っている・利用している製品のはんだ付けも多いんですよ」と語るのは、平成31年に興栄通信工業株式会社の代表取締役に就任した村田宰さんです。
昭和59年、宰さんの父が一関市宮前町に「(有)興栄通信工業(平成5年に現社名に変更)」を設立。当初は「東北日本電気(のちのNECプラットフォームズ株式会社)」の協力会社として電子交換機を中心に製品の製造を行ってきました。
時代が変わるにつれ、徐々に量産製品は安価な中国生産などに切り替わっていきましたが、同社でははんだゴテを使う技能にこだわり、社員のはんだ付け技能資格取得※を応援するなど、さらなる社員の技術向上を進めました。
機械化ではない「人の手の仕事」にこだわったことにより、現在では、様々なお客様からの、数多くの製品製造を取り扱っています。
※「社内はんだ付け技能認定」という社内資格を設け、初級クラス・上級クラスの2クラスでその技能を認定している。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発して打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」。平成26年に打ち上げられた「はやぶさ2」の電子基板にはんだ付けを施したのは興栄通信工業株式会社です。
「宇宙に行ってしまえば、壊れたから直しましょうとはできない、絶対にミスをすることはできない製品です。そうした大事な製品は特に『人の手の仕事』で造り上げていきます。弊社では専門性の高いはんだ付け作業にも対応できるような教育を行い、技能の習得を進めてきました。そうしたことが評価され、日本の大事な人工衛星の製造に声をかけていただいたことは、我々の誇りです」と宰さん。
また、同社では毎年、市内中学校へ出前授業の講師として赴き、自社で製作した教材(電子ホタル)を用いて、その技術の発信にも取り組んでいます。「座学ではなく、生徒と一緒に造り上げることで、ものづくりへの興味を持ってくれます。こういう機会を多くの子どもたちに提供したいですね」と笑顔を見せます。
さらに、多くの女性が社員として活躍していることから、宰さんの母である二代目が「子育て支援企業宣言」を取り入れ、子育て世代は9時から16時までの短時間勤務でも正社員として雇用し、子育てと仕事の両立が図れるようにしています。
時間にゆとりのある生活は「子どもたちに自分の仕事を伝える時間」を持つことにもつながり、さらにそれが次世代の興味関心へとつながっていきます。
代表取締役の村田宰さん。
一ノ関駅東口に展示してある同社の製品。
平成2年に現在地に工場を新設。