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神社仏閣の施工・修繕も手掛ける菅原木工は、現代表の曾祖父が明治時代に木地挽※を生業としていたことから、宮大工職人としての技術を代々受け継ぎ、昭和23年、現代表の父・武美さんが菅原木工所を創業しました。
平成8年に菅原木工として建設業登録し「職人を育てる場」としてその技術を継承しています。装飾彫刻を得意とした武美さんは、岩手県の卓越技能者「現代の名工」として表彰されており、現代表の武徳さんは一級建築士であるなど、「宮大工」の技や伝統の良さを尊重しつつ、時代のニーズに応えた建築・施工を行っています。
※木地のままで盆・椀・玩具・家具・木製仏具などの細工をすること。また、その職人。木地屋。
(idea 2020年5月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
目を奪われる神社仏閣。長い年月を経ても朽ちることなく、その神秘的な建造物の維持・管理には、高い技術で日本古来の技法を守ってきた職人たちの存在があります。
「寺院や神社などの彫刻を手がけている宮大工は市内でも数少ない」と語るのは菅原木工の2代目(現代表)で、菅原家の木工業としては4代目となる菅原武徳さんです。武徳さんの父は「現代の名工」と表された通り、全国でも有名な装飾彫刻家で、その技術を学ぶべく多くの職人が弟子入りし現代に受け継がれています。菅原さん自身も彫刻を施しますが、現在は主に設計や建築、修繕を行う傍ら「宮大工」の技術継承に力を注いでいます。
「宮大工は、寺院や神社の外観だけではなく、内部の祭壇や天井装飾、木製仏具製作などすべて設計し建築していきます。宗派によって、形や間取りなど違いがあるので、そういったことも頭に入れなくてはなりません」と武徳さんは語ります。
もともと文化財建築物の修復・復元工事なども手がけていた同事業所では、東日本大震災後、津波で被害を受けた県内外の神社仏閣の復元工事にも協力。武徳さんが復元した図面や修復工程などを収めた貴重な資料を、今後継承して行く世代へ冊子としてまとめました。また、同事業所のホームページでは、息子で一級建築士の令さんが、施工事例のほか神社や寺院の歴史、用語解説などを掲載し、広い世代が自由に閲覧し興味を持ってもらえるよう情報発信にも力を入れています。
旧東磐井郡内や宮城県内を中心に、北海道から東北各地の神社仏閣の施工・修繕を行っている同事業所では、平成22年から「岩手県高齢者向け住宅リフォーム相談員」に登録され、介護保険を利用したバリアフリー化の改修工事などの情報提供および相談窓口としても努めてきました。伝統ある宮大工の技法を活かした一般住宅の設計・建設も行っていることから、地元の建設事業所として地域住宅の「困っている」ことにも耳をかたむけ「高齢になっても自分の家で安心して住める環境」の提案を行っています。
最後に、今後の目標をお伺いすると、「やはり若者の育成ですかね」と語る武徳さん。「息子が一級建築士として家業を継ぎ、伝統とともに新しい技術を用いた設計・施工を手がけてくれるのは大変嬉しいものですが、私の父から学んだお弟子さんたちも、一番若い人でも60歳を超えました。次の世代に彫刻や宮大工の技法を長く継承するために、『若者を育てる』というところに力を入れていきたいと思います」と力強く語っていただきました。
宮大工という技法はさることながら、その文化としての側面も若い世代に継承していくべく、同事業所の職人育成は続きます。
「増沢神楽保存会」の継承にも取り組む代表の菅原武徳さん
作業所は事務所から少し離れたところに(写真は作業所入口の看板)。
43歳で設計から施工管理及び原寸型板まで一人で手がけた大祥寺の楼門(花泉町老松)
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