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(idea 平成28年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代表理事組合長:佐藤 正男さん
◆連絡先:〒029-1111一関市千厩町奥玉字宿下21
◆電話:0191-56-2301
◆FAX:0191-56-2301
千厩町奥玉は、中山間の、水稲・畜産・野菜・花など昔から農業を中心に営んできた地域です。
平成7年、奥玉地域のほ場整備事業の展開と農業の後継者不足や耕作放棄地等の地域課題をきっかけに、農業従事者有志らが話し合いを持ち、平成19年に7つの集落営農組織が統合し、農事組合法人おくたま農産が発足しました。同法人は、340名の組合員がおり、178ヘクタールの農地で水稲を中心に、大豆・飼料用米・トマトや白菜などの野菜を生産しています。
発足当初から、水稲生産・大豆生産・飼料米転作生産・加工販売・機械管理・総務企画の6つの部を組織し地域に合った営農の取り組み方を工夫し、信頼と寄り添いを大切にしながら法人運営をしています。
「法人発足から今まで私たちは黒字経営をしています。借金は絶対にしない」と語るのは代表理事組合長の佐藤さん。もともと酪農を専門とし、自身の後継者不足にも悩み、平成23年から酪農から身を引き、経営者として益々地域農業に力を注いでいます。
効率的な営農を実現するため、地域の農家をまとめ農事組合として法人化した当初は、「設備投資で借金だらけになるのでは?」という不安をもった住民も多く、「3年もてばいいほう」と語る人もいたとか。そんな中、法人として掲げた経営理念が「無借金経営」「コスト削減」「効率化」の3つでした。
「確かに、農事組合法人の大方は初期投資として多額の資金を借り入れ、その返済に苦労しているようです。いかに借金をせずスタートしていくか、大きな課題でした」と当時を振り返り、「そんな中、偶然にも好機が訪れたんです」と続け「タイミング良く、国による近隣河川の改修工事が始まり農道や農業公園を売却。それにより、事前資金での設備投資が可能になったのです」と佐藤さんは語ります。
「できることは出来る限り自分たちの手で行う」ことをモットーにしている同法人は各部からの提案を受け入れ、コスト削減も強化。特に機械管理部では可能な限り自分たちで農業機器のメンテナンスを行い修繕費の節約をしています。また、全組合員から土地を借り上げ、農地を一元管理することで大型農機具を効率的に使用し、時間や人員配置に余裕が持てるようになりました。その結果、効率化で生じた余剰労働力を活用し、6次産業にも取り組んでいます。同法人事務所に隣接する工房「あらたま」は農家のお母さん方が大豆を利用した味噌などの製造・販売に取り組み年々売り上げを伸ばしています。
同法人では毎年12月の第1日曜日を収穫祭の日としています。収穫の喜びは、組合員だけではなく子どもから高齢者まで、地域の方々も多く参加。餅つきや餅のお振舞の他、芸能発表なども盛大に行われ地域が一つになって一年の収穫をお祝いし食します。
「農業というのは、楽しみながら喜びをわかちあう仕事。楽しくやるためには、アイデアと挑戦そして細かい計算が必要。地域の企業として時代に合った農業人の生き方を営めるよう、今後も法人運営をしてきたい」と最後に力強く
語る佐藤さんでした。