毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第21話(idea 2020年12月号掲載)
地域の集まりやワークショップなどの場での参加者からの発言で、最近、気になることがあるんです。「この前、Facebookに書いたんだけどさー」という前置き。その人は、Facebookを利用しており、自分の考えなどを投稿しているようなのですが、その場にいた他の参加者たちは、その人がFacebookを利用していることは知りません。知っていたとしても、その人の投稿を見ているとは限りません。しかし「誰もが自分の投稿を見ている」かのような発言に、正直、困ってしまいます。
ということで、今回は「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下:SNS)」について考えてみます。SNSは、インターネット上で社会的な繋がりを作り出せるサービスのことで、さきほどのFacebookのほか、様々なサービスが存在します。SNSを利用すると、インターネットの当該サービス上で誰かと繋がることができます。例えば今日のできごとを書いて投稿したり(インターネット上に)、繋がっている他の誰かの投稿にコメントをしたりすることで、情報交換やインターネット上での会話を楽しむことができます。
つまり、SNSを利用することで、同じ趣味を持つ人や知らない人、あるいは、知っていたけれど交流がなかった人とのコミュニケーションを楽しむことができるのです。一方で、自分の考えを気軽にオープンにすることができるため、知らないうちに他人を傷つけていたり、誹謗中傷につながることも。「SNSいじめ」の問題も取り上げられるようになり、SNSの取り扱いについては幼少期から注意喚起が促されている現状です。
地域運営においては、気軽に、写真をつけて、タイムリーに情報を発信できるという面で、SNSの活用は有効です。著名人や自治体でも積極的に活用されていますね。
しかし、気軽さゆえの投稿もしばし見受けられます。例えば、地域行事の様子や会議・会合の様子を発信するために写真を添付する人も多くいます。自分が撮った写真だから自由に使っていいか?と言ったら、撮影した写真そのものの権利は撮影者にありますが、そこに写っている人の許可なく掲載する場合は「肖像権」の侵害に該当する場合が。
・本人の許可なく顔または体を撮影されたり、無断で公表・利用されたりしないように主張できる権利(考え)
・法律で明文化されたものはないため、刑法などで刑事上の責任を問われることはないものの、民事上では「人格権」「財産権」の側面から、損害賠償請求等が認められた例がある。
・肖像権として主張できる権利は大きく分けて以下の2つ
(1)自分の顔や容姿をみだりに撮影されない権利(撮影の拒絶)
(2)撮られた写真・画像を公表されない権利(公表の拒絶)
最近は顔が特定できないように加工した写真を掲載する人も見受けられるようになりましたが、SNSを使い始めて間もない人や高齢ユーザーは、そうした配慮をしない写真を掲載していることが多いので注意していただきたいところです。団体や企業等の公式投稿であれば、事前の肖像権の許可申請や、写真撮影前に断りをいれることなどが徹底されていますので、参考にしてみてください。
さて、話を冒頭の出来事に戻します。地域の集まり等、話し合いの場は、ある意味公式の場です。その公式の場において「私はFacebookで主張している」ということを主張されるのですが、Facebookは単なる情報発信ツールの1つに過ぎず、「Facebookをやっているから(言っているから)正しい」ということはありえません。たとえFacebookで投稿をしているにしても、みんなが集まって話し合いをしている場においては、一意見として、自分の言葉で発言していただきたいものです。
なお「Facebookを始めたからホームページは不要」という団体、地域の声も聞こえます。情報発信ツールとしてのSNSやホームページですが、その性格の違いを知ることも重要です。古い情報はどんどん埋もれていくSNSに対し、ホームページは、基本情報などの常に発信されているべき情報を見やすく掲載することが可能です。リアルタイムでの発信や情報の拡散が得意なSNS、恒常的な情報発信に有用なホームページ、という特性を理解していただき、よりよい情報発信に努めていただくことをお勧めします。
ちなみに、高校生など若者に聞いてみると、「Facebookは年寄りが使うもの」だそうです(TwitterやInstagram、SNOW、TikTokが現在の高校生が利用する主流SNS)。当センターも若者ではないことを痛感させられました(笑)。