毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第22話(idea 2021年1月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の 落とし穴⑥

世代の間の意識の違い ~ ‛働き方’=‛暮らし方’ ~

 「若者の雇用の場」に関する課題は、多くのワークショップで出される意見です。‛若い人たちが地域に定着するためには、一定の収入を得て、安心して暮らすための「働く場」が必要だから、「企業誘致」などが必要だ’という議論になりがちですが、もしかしたら、それは親切的な考えであり、若者の立場からすれば`違うよ!’という声があるのかもしれません。 

 希望する雇用形態別に、選択にあたっての最も重要な理由を見てみると以下のようになっています(内閣府が行った就労等に関する若者の意識調査『子供・若者の現状と意識に関する調査(平成29年度)』より)。

 

 

 「正規雇用」を希望する者の選択理由として多かった回答:

  「安定していて長く続けられるから」(59.0%)、「収入が多いから」(26.9%)

  「非正規雇用」を希望する者の選択理由として多かった回答:

  「自由な時間が多いから」(33.9%)「子育て、介護等の両立がしやすいから」(28.0%)

  「自営業・自由業」を希望する者の選択理由として多かった回答:

  「自由な時間が多いから」(28.9%)

  「特別に指示されずに、自分の責任で決められるから」(22.9%)

 

 

 正規雇用を希望する人は依然として多いものの、個人の自由な時間や家族との時間を確保したいという理由から、非正規雇用を望む人の比率も高まってきています。上記調査においては、現在「非正規雇用」の人の46.9%が、引き続き「非正規雇用」を希望すると回答しており、さらには現在「専業主婦(主夫)」の人の68.9%が「非正規雇用」を希望すると回答しているのだとか。 

 

 また、仕事と家庭・プライベートとのバランスについては、「仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を優先する」との回答したものは63.7%であり、平成23年の調査時における52.9%よりも多い結果になっています。 

 

 企業の方と接していると、実際に「『自分の時間を優先したいので、残業もしたくありません』『休みの日に仕事は入れたくありません』という若い社員が多く、その昔`1円でも収入を得るために残業や休日出勤を積極的にする´という考え方は、今の若い社員には通用しない」という声が。「雇用の場」は確かに重要ですが、「働き方」すなわち「勤務形態」や「雇用形態」は、ひと昔前と違って多様化しているのが現状です。

 

ダブルワーク(※)希望のAさん

一つの仕事に縛られるのではなく、やりたいことを掛け持ちでやりたいので、時短労働や勤務日数を少なくして働きたいです。トータルして1社で働くのと同じ労働時間を確保しています。

 

 

※2種類以上の仕事を掛け持ちすること。複数の仕事に対して、本業のように取り組む働き方。パラレルワークと呼ぶことも。副業との違いはメインの仕事があるのではなく、複数の仕事を本業のように行う点。

家業と副業両立のBさん

家業があるので正規雇用は無理ですが、非正規雇用で本業では活かせないスキルを活かしたいです。

有償ボランティア(地域貢献)志向のCさん

本業は建築事務職です。地域づくりに興味があってまちづくり協議会に関わったのですが、空き家対策が課題となっていて、本業の傍らでできるので空き家対策の窓口を月25,000円で受けています。


Cさんの事例は、他県の実際の事例です。地域づくりに雇用を組み合わせる形は、全国的に広がっています。

 

 一関市でも、市民センターの指定管理により、「地域雇用」が進んでいますが、人材確保や人件費で悩みを抱えている役員さんたちも少なくありません。`この仕事で食っていける´という環境は必要ですが、働く人たちのニーズの変化もありますので、柔軟な考えも必要なのかもしれません。親心のつもりで正規職員で雇用しようとしても、上述の意識調査からも見て取れるように、働く側からすれば、上記事例のように非正規の雇用を求めることもあります。また、仕事内容を求人募集前にしっかりと具体化しておくことも重要です。仕事内容を明確にし、多様な働き方を受け入れることで、適当な人材とのマッチングにつながることが期待できます。 

 「働き方」=「暮らし方」と考えている人も多い昨今、世代間の意識の違いが、人材のミスマッチになることもありますので、注意しておきたいものです。

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