毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第35話(idea 2022年2月号掲載)
‘後継者不足’‘人材育成’は、地域課題における代表格です。特効薬はなく、「社会教育が疎かになったせいだ」という意見を耳にしたことも……。地域で見聞きしたことから‘人材育成’について考えてみます。
そもそも、‘人材育成’というテーマで議論をする機会は少なく、改めて議論の機会を創ってみると「なるほど」と思うことが多いものです。普段から‘人材育成’について議論し続けたら、育成の意識がもっと高くなるんじゃないかと思います。例えばこんな発言がありました。
「役のなり手を「育てよう」とすると逃げられる。
役のなり手を育てるのではなく、「参加」の機会を創り、
「参加」による自然な流れで「育成」することができたらいいね」
役をお願いするのではなく、「地域の活動を見て知ってもらってから」という考え方です。今は参加する人も固定化されている状態なので、まずは参加を促し、抵抗感を減らす……という視点でしょう。
「65歳以上の世代が、昔の青年部のような姿を見せていく!!!」
……という、思い切った発言も!(笑)
いや、その発言、頼もしいです。我々も先輩方の頼もしい背中を見たいし、見せてほしい。やはり聞くのと見るのとでは大違いです。青年部全盛期の時代って、どんな様子だったのか気になります。
本来、地域の「役」を持つ前に、「縄をなう」「籠を編む」のような‘昔の人が身につけていた技術’を覚えるなど、地域で活躍する人材になるためには、やはり順番があるんです。世代間交流事業として上記体験をしている地域もありますが、そこに「親世代」が加わるべきだと思っています。ある地域でのワークショップで「『勇気のない子どもたち』と『教えられない親たち』」という発言がありました。身近に体験のチャンスがあっても、親たちが未経験ゆえに、子どもにトライさせられない現実があると言います。
人材育成は‘役の担い手’という側面だけでなく、文化・技術の‘継承’という意味合いでも取り組まなければいけない問題。では、どのように取り組んでいけば良いのでしょうか?以下、地域からのアイディアを整理しました。
【1】まずは参加のきっかけづくり……小さな「機会」を創出
ただし、せっかくイベントや事業を企画しても、主催者の思いよがりで、参加者ゼロの的外れになることも。何が誰に響くのか、見当つけにくい時代であるため、大きなトライではなく‘小さなトライ’から。
【2】役をやらせない……急がば回れ!まずは地域との関係性づくり
良い人材でもいきなり「役」をやらせてしまうと、空回りし、結果的に地域側にもマイナス印象を与えることが。まずは、じっくりと待つ。馴染むことに時間をかけ、経験を積んでもらい、タイミングを見極めることが重要。
【3】良き助言者になる……先輩世代は黙って背中を見せるべし
経験者は良かれと思って体験談などを語りたくなるもの。その結果、「押し付け」や「やらされ意識」を感じてしまい……。指図するリーダータイプは、人をつぶしかねませんので、注意が必要です。
【4】愚痴を言わない……その役の「意味」「意義」に目を向ける
役に対し「大変だ」ばかり並べていると「役を受けるとそんなに大変なんだ」という印象を植え付けてしまい、ますます後継者不足に……。大変なこともありますが、‘地域を支える大事な役割’であることを印象づけましょう。
人材に関する悩みは、いつの時代も尽きないのかもしれませんが、特に今は人口減の時代。人が多かった時代は、人の数でカバーできたことも、今はそうはいかないことも。だからこそ丁寧に人材を育成していかなければいけないのですが、育成の前に立ちはだかる大きな壁は‘人の把握’です。コミュニケーションが希薄になりすぎて、地域に住んでいる人を知らないのです。まずは‘人の把握’をし、声をかける、誘う、誘われる……という行動からのスタートです。遠慮していても始まりません。人口減は待ったなし!断られてもいいから誘ってみる。
ピンポイントで誘われると「行こうかな」と思う若者も少なくはないようですよ。