毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第37話(idea 2022年4月号掲載)
自治会長や各種団体の長、いわゆる‘代表職のなり手不足’が最重要課題と捉えられがちですが、実はしっかりと気を留めなければいけないのは、「事務局」や「〇〇部長」などの細かな役ではないでしょうか?
我々も地域と関わる中で、地域活動の要職を担う役員さんたちに日々出会います。「何期目ですか?」と聞いてみると、「2期4年目です」「3期5年目です」と答えるのは、自治会長など代表職の方々。一方、事務局さんとなると「5期9年目です」など、代表職よりも長く役を務められている傾向があります。
長期で役をやっている=なかなか交代できない実態は、代表職ではなく、事務局や〇〇部長などの裏方さんに多い(班長は輪番制にしている自治会が多く、比較的交代がしやすい)ように感じてきた昨今。確かに、代表職となると、責任の重さや、代表職についてくる自治会以外の会議出席などから、抵抗感を抱く人が多いようですが、目に見える役職ゆえ、交代への理解も得られやすく、なんとかかんとか交代できているように見えます。
ちなみに……。自治会長と行政区長を兼務している人も多い当市ですが、こと行政区長は、10年務めると市長から感謝状が贈られるため、4期8年目くらいになると「あと1期やって感謝状まで頑張れ!」と、周囲から後押しされることもあるそうです(笑)
それはそれで栄誉であり名誉なので、「感謝状まで頑張る」というモチベーションにはつながるものの、必ずしも10年続けられるかというと……。
さて、話を戻すと、今回問題提起したいのは、「‘役のなり手不足’という課題の中で、重要課題として捉えなければいけないのは、『事務局』のなり手ではないか?」ということです。事務局は組織の事務方として、〇〇部長は実働のリーダーとして、自治会活動に関わっているわけですが、どちらも‘経験’がモノを言う役割。
※代表職が未経験で務まるかというと決してそんなことはありませんし(誤解のないように)、自治会長など代表職に就くまでに、副会長や事務局、〇〇部長の経験を積み代表職に就いている方が多いので、やはり経験あっての役割だということは充分理解しています。
実務レベルの業務を担う事務局や〇〇部長は、各種文書の作成など、パソコンを使っての業務もあるため、パソコンを使い慣れている人が任されることが多いようです。現在、地域の役割を担っている60代~70代の皆さんはパソコンが不得手な人も多いので、拒否することも理解できますが、今の時代は、仕事でパソコンを使わないことの方が少ないので、現役世代で事務局的な仕事ができる人は多くいると考えられます。それなのに、役を受けてくれない理由は何か?
ずばり、役の内容を知らない!ということが背景にあるのではないでしょうか?
親世代から「役を受けたら大変だ」という話ばかりインプットされてしまっているので、どんなことをやっているかという関心よりも、‘受けたら大変’というネガティブキャンペーンになってしまっているのです。
人口減少による地域運営の課題は、支える人と支えられる人のバランスが崩れることから始まります。ゆえに、役のなり手を探すことも大事ですが、その大前提として、そもそもの「地域運営の仕組み」や「役の内容」について、今一度、家庭内や地域内で共有し、‘みんなが知っている’状況を創り出すことが必要です。
当センターが令和4年2月に開催した「自治会長サミットvol.13」では、「役の交代・なり手について考える」をテーマに市内の自治会長さんたちと情報・意見交換。次は事務局さん向けの情報交換会を開催するかも!?
また、30代~40代の若者からは、「声をかけられたら参加する」「自分にできることなら関わってもいい」という声も。でも、まだ親世代が元気で、親世代がやっているから出番がなく、また「これまで担ってきた先輩方のように完璧にできない」という不安の考えも同時に聞こえてきます。
今の役員たちの次世代である50代~60代が、円滑な地域運営ができるように本気で取り組み、次の30代~40代にバトンをつなぐ、‘目に見えない基礎づくり’が、今の頑張りどころではないでしょうか。