毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第40話(idea 2022年7月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の落とし穴㉔ 地域は、活性化を求めているか?

「地域活性化」のゴールとは?

 まちづくり、地域づくりの分野でよく目にする「活性化」という言葉。少子高齢化、人口減少という暗い話題から抜け出し、明るい未来に期待したい、そんな思いからついつい使ってしまいがちですが、果たして「活性化」とは何なのでしょうか?

 

 単に人が増えたからといって「活性化」ではありません。「活性化」の捉え方は様々ですが、当センターとして「地域の活性化」を文章で表現しようとすると、「問題解決や新たな価値創造への取り組みを絶えず起こせる‘創造的人材’が、多数存在する」「それらの人材によって、持続的に、自ら課題解決ができる」「住民が信頼関係でつながり、楽しく活き活きと生活し、自己実現ができる」というところでしょうか。

 

 地域での話し合いの際に「活性化を求めますか?」と問いかけてみたことがありますが、「活性化するとやることが増えるから、活性化しなくていい」という回答が多々。「活性化」=様々な取り組みによって賑わっている状況=「新規事業で負担が増える」というイメージにつながっているからだと推測できます。地域住民の多くは‘誰もが安心して安全に住み続けられる’ことを望んでおり、そうした住民が望む‘活性化した地域’は、各世代に役のなり手がいて、一部の人だけの負担にならず、みんなで地域を運営できているような姿です。一方、ヨソモノ・ワカモノ・バカモノに代表されるような‘リーダーシップをもった人が牽引している姿’を「活性化」と呼び、人が増え、賑やかになっていることを望んでいる人もおり、それを否定するつもりはありません。

 当センタースタッフ佐々木も大卒で観光馬車の復活プロジェクト(青森県にて)に従事し、まさに「ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ」ともてはやされた張本人…。ヨソモノは所詮ヨソモノだったと今は大いに反省しています。


‘イケイケ系’ ‘イヤイヤ系’ ‘ノーリアクション系’!?

 

 とは言え、気をつけなければいけないなと思うことが。たまに‘救世主’のような存在(新規事業を考え、マスコミ効果などもあり、目立つ‘イケイケ系’)が現れることがあるんです。すると、その人を中心に進めて行こうという雰囲気になり、せっかくのみんなでやるスタイルが崩れていき、気づけば他力本願に。当人は、夢中になればなるほど、自己顕示欲が強くなり、継続すればするほど自信がついて、つい走りすぎてしまうことも。

 

 一方で、「地域には仕方なく関わっている」という人(‘イヤイヤ系’)も少なくなく、そんな状況から脱却したいと訴える人も。しかし、イヤイヤばかり言うと、マイナスイメージが先行し、‘イヤイヤ系’が増えてしまう可能性が……‘イヤイヤ系’の人は、実は責任感が強く、地域のために地道に頑張り続けてくれているので、褒めてあげることがモチベーションにつながります

 

 まちづくり、地域づくりは、マニュアル化できない‘塩梅(案配)’がすごく大事(場づくりのスキルなど。当センターでは、「塩梅理論」と称しています)だと思うのですが、それを伝えることはものすごく難しい。なので、役を受けてくれる人を育てるのではなく、「みんなで協力できる状態を創り出す」ことが必要です。

 

 ここまで、地域活動に関わる‘イケイケ系’‘イヤイヤ系’という存在をピックアップしてみましたが、忘れてはいけないのが‘まだ関わっていない住民’です。実際には、関わっていない住民の方が多いかもしれません。「関わっていない住民との接点がなく誘えない」「誘っても断られる」という役員の嘆きも聴きますが、‘どのように関わってもらうのか’を考えなければいけません。ただ、これが実に難しい……!

 

 ここ最近関わっている気仙沼市のとある地区では、住宅再建が進まず(3軒のみ)、自治会形成ができずにいたり、住民アンケートを取っても「好きでここに住んでいる訳ではないので地域活動などいらない」という声が上がる現状と向き合っています。災害公営住宅内で挨拶をしても、返してくれないような現実がある一方、「地域活動は必要だ」という声も。高齢者や子どもを支えていく必要性も挙げられているので、しっかりコミュニティをつくり、「支え支えられる地域にしたい」と、話し合いを重ねているところで、地域づくりのキーワードに上がっているのが「めげずに声をかけ続ける」です。

 

 住んでいる住民のコミュニケーションが取れないようでは「活性化」とは言えません。思わぬコト・モノに反応があるかもしれませんし、めげずに声をかけていきましょう(集合住宅や大規模自治会の悩みについては、今後、積極的に考えていきたいと思います)。

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