毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
第43話(idea 2022年10月号掲載)
NPO = Non-Profit Organization = 非営利組織 ≒ 市民活動団体
「NPO法(特定非営利活動促進法)」が施行されたのが平成10年。一時は、ブームのようにNPO(NPO法人)が注目を集める時代がありました。それから20年が経過し、いまは「地方創生」が主軸の時代に。そんな状況で、「もうNPOの時代は終わった」と囁く人もチラホラ。NPOの時代が終わったのではなく、NPOという存在が社会の一員として定着しただけではないかと思っています。
しかし、「NPO」という言葉に聞き馴染みがあっても、詳しくは知らないという方が多いのも事実。最近はNPOについて解説する講座などが少なくなったことも原因の一つでしょうか。
NPOは「市民活動団体」とも言われ、自治会活動等とは異なり、その多くは居住地域に紐づかずに活動する「テーマ型」の団体です。テーマ型なので、課題に対して明確なビジョンがあり、その団体を立ち上げる強いリーダーシップをもった人が進めていきます。テーマが明確な分、興味関心がある市民が集まるため、行動も具体的でスピーディーです。経験と共に専門性も高まり、まちづくりや地域づくり分野の‘パートナー’としても目立ちます。前号で触れた、地域における‘各種団体’も、「市民活動団体」ではあるのですが、今回取り上げる「市民活動団体」が「‘テーマに興味がある人’で構成された(居住地に関係なく集まった)団体」なのに対し、地域内の‘各種団体’は「地縁型」であり、「そこに居住する人々」で構成されます(居住地域に紐づく)。
「NPO=ボランティア」とされることもありますが、「ボランティア」は、もともと‘個人の自発的な行動’を指します。NPOが組織活動であるのに対し、ボランティアは個人の動きです。しかし、時代とともに考え方が変わってきており、その代表的なものが「有償ボランティア」。ボランティア活動をするにも旅費交通費や材料費等経費がかかるため、それに対して有償とするなど、ボランティアが‘個人の自発的な行動’ではなくなってきています(それが悪いという意味ではありませんので、悪しからず……)。
数年前、一関市内の病院に勤務する医師の方から「市内在住の外国人に対して医療相談や健康診断を行うNPOを設立したい」という相談がありました。すでに団体の規約や事業計画が出来上がっており、市内では今までにない活動だったので、我々も応援することに。そして実際に医療関係者や在住外国人に関係する人たちの協力を得て、医療相談会(健康診断・食事提供含む)を実施し、話題になりました。その後、発起人が盛岡市内の病院に勤務することになり、盛岡市内でこの活動は継続されています。
在住外国人に健康診断を受けてもらいたいという趣旨に賛同した人たちが無償で集まったのですが、このような‘ココロで動く’コテコテのNPO活動が個人的に大好きです。
前述したような‘ココロで動く’有志の活動がある一方、NPOに対しては「助成金」も様々あるため、助成金獲得のために活動しているように見えるNPOも少なくありません。もちろん活動するために資金は必要になるので、大事なことですが、時々、組織を継続するために活用している例も見受けられます。助成金は、「社会的な課題を解決するため」に用意されているものであり、‘カネありき’の発想は本末転倒です。課題解決には‘市民からの信頼’が不可欠ですが、そうした‘カネありき’の発想で活動していては、市民からの信頼は得られません。「団体の存在意義」と助成金などに頼らずとも活動を継続していくための「持続性」を常に考え、行動することが大事です。
……と、ここで新たな課題が。会員が高齢化し、今後の活動や団体の維持が困難になってきているという団体が……。会員獲得の悩みもNPOあるあるの一つではありますが、NPO(市民活動団体)は、わざわざ会員を増やして未来永劫続けていく必要があるのでしょうか?当センターとしては、目的達成で解散するなど、無理をしてまでも継続する必要はないと考えています。「持続性」や「多様性」が重要キーワードとされる現在、カネを頼るのではなく、‘ココロ’を拠り所として活動することに、今一度、目を向けてみませんか?