毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第53話(idea 2023年8月号掲載)
‘振り返りチャンス期間’ を 振り返り、‘原点’を振り返る。
新型コロナウィルス感染症が、令和5年5月8日から感染症法上の「5類感染症」に位置付けされ、概ねこれまでの日常生活が戻ってきました。もちろん感染症が収束した訳ではないので、引き続き基本的な感染対策は講じていくのですが、その判断は個人に委ねられ、事業をする側としては、感染対策に関する各種負担が軽減されました。
これまでは自粛されていた懇親行事も堂々とできるようになり、まちや社会の雰囲気は、明るくなったように感じます。一関市では、5月27日に「TGC teen ICHINOSEKI 2023」及び「TGC teen ICHINOSEKI FES 2023(屋外イベント)」が開催され、チケット来場者3600人、屋外イベント来場者11000人と、5類移行後すぐの大規模イベントは、たくさんの笑顔で輝いていました(準備期間の半年間は、大変でしたが……)。
社会が明るくなった半面、「コロナ禍の3年間について『振り返り』をしたか?」という疑問も。5類に移行したことで、できることが増えた(正確には、元に戻った)半面、いままで負担だと感じていた会議や事業が復活するということにもなり、不満の声が出てくる可能性も。また、コロナ禍の3年間で何もできなかった=未経験の3年間は、‘経験者を生まなかった3年間’でもあり、経験者も3歳、年を重ねているということです。afterコロナで‘何でもできるようになった’と思いきや、‘やりたくてもやれない状況になった’という面もあるのです。
コロナ禍で動けない時期だからこそ、withコロナやafterコロナに備えて、「見直し」をするチャンスがあったにも関わらず、「見直し」を行わなかった地域や団体の方もいるのでは?(本誌2021年3月号「博識杜のフクロウ博士第24話「コロナ禍における地域運営」参照)
5月の総会シーズンから地域を見ていると、今年度の事業数はここ3年よりも増えています。事業を増やしたと言うよりも、中止にしていたものを再開しただけだったりしますが、なぜか「本当にやれるのか?」と不安視する声も……。それは、上述したように、「未経験者の増加」と「経験者の高齢化」が背景です。たった3年ですが、その代償は大きいのです。
よって、事業として計画はするものの、‘無理をしない程度にやる’という状況判断を取りれながら、事業を実施するという地域・団体も多いようです(もちろん「afterコロナの様子見」という側面もあります)。
夏祭りや秋祭りなど、イベントシーズンに突入していますが、「祭り」は、「地域文化の継承と交流を生む機会」であることから、実は重要な役割を担っています。ぜひ頑張っていただきたいのですが、その代わり、人が多かった時代に創った事業(内容)も多いことから、同時進行で「見直し作業」を行うことをオススメします。
「見直し」のススメについては過去に何度か掲載していますが、‘負担’を中心に考えて見直すのではく、‘必要性’を中心に考えなければいけません。大変だから……という言葉は沢山聞きますが、「始まった経緯」や「目的」を忘れている場合も多々あります。負担があることは否めませんが、「目的」を知ってみると、無くしてはいけないことだと気づいたり、「やり方・仕組み」を変えることで現代風になったり、改善策はあります。
地域にある「役」や「行事(事業)」は、過去の先輩たちが、「地域の支え合い」のために生み出したものであり、「よく考えられているなぁ」と感心させられることがあります。無くしてみないと、その恩恵や意味が分からないようなものも多いですが、単純に無くしてしまえば、住民や行政との関係が希薄になる可能性が高く、「自治」とは言えません。
「会議」も同様に、コロナ禍で、‘開催しなくても問題のない会議’と‘どんな状況下でも必要な会議’の明暗が分かれたように感じています。改めて会議開催の「目的」や「進め方」を考え、限りある資源(時間・人)の無駄遣いを避けましょう。
すべては、‘安心して安全に暮らし続けるため’なのですから。