毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第64話(idea 2024年7月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の落とし穴(48)

子どもの仕事

「今の年齢で経験すべきこと」のチャンスを逃さず

 「種まき桜」が田植え時期を知らせ、本格的に農作業シーズンに入りました。千厩町大平にある「種まき桜」は、今年も咲いたでしょうか?これをみなさんが読んでいる頃には、田んぼはもう中干しの時期ですね。

 

 今では高齢化や自作農離れによって、水稲栽培を農業法人に委託するケースも多くなっていますが、私は、父の亡き後、一人で継ぐことを決意し、5年目になります。本誌でも何度か失敗談を掲載しているのですが、一年に一度しかない作業であり、経験による判断が求められるため、失敗もありますが、反省しながら、それなりに楽しんでいるところです。

 

 以前は、種まきをし、ビニールハウスで育苗をしていたのですが、ハウス管理は兼業農家には難しく、苗は買うことにしているので、我が家の水稲栽培は、耕起作業、肥料散布から本格的にスタートします。

 

 トラクターに肥料散布機を取り付け、面積あたりの散布量を設定すると、自動で肥料が散布されるので、機械化はやはり便利。しかし、トラクター速度と肥料散布の割合計算が難しい。うまく計算ができないので、過去4年の経験で、副変速やクリープ速度の調整をするものの、いざスタートしてみると、肥料の量が多く撒かれているような気がしてきて、途中で減らしてみたり……。結果、肥料が2袋あまってしまい、今年もうまくいきませんでした(笑)

 

 もう一度トラクターで回ることも考えましたが、2袋という少なさのほか、時間もかかるため、肥料桶に入れて手で振ることにしたのですが、この時に思い出したのが、子どもの頃、肥料桶で振る作業をよく手伝っていたなぁということ。‘子どもの仕事’として、十分に役割を担えるものだったのです。実に30年ぶりくらいにやってみたのですが、体が覚えているもので、短時間で肥料の量を減らした部分に振り直すことができました。

 

 地域で話し合いをしていても、「かつては‘子どもの仕事’だった作業」というのは、たくさん出てきます。今の子どもたちでは経験することのないことを、かつての子どもたちは、生活の中で体験し、技術を習得していたのです(この場合、児童労働に該当するものではなく、あくまで家のお手伝いレベルのものです)。

 

 ちょっと前の時代は、‘子どもの仕事’と言えば、お風呂で焚く薪材を集めたり割ったりすることや、床の雑巾がけや柱時計のネジ巻き、暦の日めくりなど。外仕事では、田んぼでの肥料振りや田植え後の植え直し、畑の草取り、収穫など、季節ごとに、「日常生活を送る中で子どもでも十分に担えること」がありました。お手伝いをすることにより、その意味を知り(見て覚える)、季節を知り、四季の生活のノウハウを覚えていったと同時に、「家族」というチームの結束力も高まっていたのだと思います。

 

 ずいぶんと便利になり、子どもの仕事も‘家事手伝い’が中心のように様変わり。生活の中から‘生きる術’を身につける機会が減っていると課題視されることもあるのですが、実際、我が子の様子を見ていると、花の蜜を吸ってみたり、草摘みをして髪飾りを作ったり、側溝があれば入って水遊びをしたりしていて、案外、昔の子どもとやることは変わっていないんだなと思うことも。今は、チャンスが少ないだけで、「いかにチャンスを与えてあげられるか」が大事なのでしょう。

 

茅葺屋根の葺き替え作業
本誌「自由研究」で密着した茅葺屋根の葺き替え作業での一コマ。こうした作業風景にも、かつては子どもたちの姿があったことでしょう。

 

 「わざわざチャンスを与えなければいけない」こと自体が課題だという見方もできますが、そういう環境を作ったのは今の大人なのですから、大人の都合だけではなく、視野を広く持たないと「誰のための地域なのか?」という疑問が生じます。子どもは、いつの時代も子ども。むしろ、今の子どもの方が、デジタルを使いながら、昔のようなアナログなこともするので、ハイスペックなのかもしれません。

 

 

 その年代だからこそ感じることを存分に体験することで、五感を刺激し、デジタルの刺激や興味も持ちつつ、社会の仕組みが複雑化する「現代」、そして「将来」を生きてほしいものです。

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