毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第67話(idea 2024年10月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の落とし穴(51)

ボランティアで関わることは損なのか?

「まちづくり」は誰のため?

 近年、「市民と行政の協働」「協働型社会」などが強調されますが、その背景には、現代社会の課題の複雑化・難解化があるのだと思います。行政だけで課題を解決しようとすると‘当事者の視点’が欠け、地域だけで考えると‘専門性’が足りなくなってしまう……。そこで必要になるのが「協働」で、異なる主体が同じテーブルで議論することで、発想の転換や経験・専門性の掛け算をする。それを実現するために「地域協働体(RMO)」が設立され、‘協働による地域づくり(地域協働)’を促進させているのです。

 

 協働は、「地域づくり分野」だけがするものではありません。「福祉分野」も「観光分野」も「産業分野」も、‘異なる主体との議論(協働)’が求められます。

 

 事例として、農福連携(※)は、農作業に障がい者が従事するなど、まさに農業分野と福祉分野が連携している現場ですが、個人的には「‘現場’が出来上がる前の段階」が安定していないと、形だけの連携にしかならないのでは?と思ってしまいます。要するに、異なる主体が集まって同じ目標に向かうためには、‘現場’に至るまでの‘プロセスの共有’が大切であり、プロセスを知ることで各主体の役割分担が成立し、本当の意味での連携ができるということです。

※ 障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組のこと。

 

 しかし、その‘プロセスの共有’が簡単なようで難しく、現場を見ていると、ここが一番苦戦する部分だなと日々感じています。とある実行委員会の会議に出席した際、目的などを丁寧に共有しながら進めていても異論を唱えられたり、異論から個人攻撃になったり、挙句の果てに、「あなたたちと違って、私は、ボランティアで関わっている」と言われ……。実行委員会形式のものは、関わる人たちのほとんどがボランティアで関わっているのですが、「自分だけがボランティアである」と意見されるのは、不愉快に感じます。

 

 そもそもボランティアというのは、個人の意思で関わることであって、無償(無給)で関わることがボランティアではありません。我々も無償で関わっているのですが、そうは理解されていないようです。市民活動や地域づくりの文脈で、様々な場面に顔を出すことが多いのですが、それが‘業務’かというと、業務ではないのです。業務時間に関われるようにしているだけで、そこに割かれた分の本来業務や時間の補填を、どこかでやっているのです。「まちづくり・地域づくりに関わっているから」というだけで、全てが業務と見なされる悲しい現実。

 

 それでも「まちづくりに参加する理由」は、どこにあるのでしょうか?その答えは「自分の住むまちが持続的で、安心して安全に暮らせるようにするため」です。企業のまちづくり参加もその意味合いがあります。仕事になるからという理由の前に、まちの不安定さにより企業活動ができなくなることが最大のリスクであり、企業活動を継続していくためには、まちに関わって安定さを共に構築する。それが企業の社会的責任とも言われています。

 

 先の話に戻りますが、「ボランティアで関わることが損である」という発言をすると、その人のマイナスイメージだけでなく、その人が背負っているものまでマイナスイメージになってしまうのではないでしょうか?

 

 ボランティアでは生きていけないのは分かります。ですが、損得勘定だけで動くことは、信頼関係を失い、顧客を失うことにつながります。人口減少が進むということは、まちの規模も縮小するということです。小さなまちや地域は、‘良いことも悪いことも見えてしまう環境’であり、配慮に欠けてしまうと良くない噂が……。どれだけ配慮しても意見の受け止め方には個人差があるため、100%の配慮は難しいですが、信頼関係だけは失いたくないものですよね。「積極的にボランティアをしましょう!」とは言いませんが、仕事と生活を安定したものにするためには、みんなでまちや地域に関わり、安定的な状態を維持しなければいけません

 

 自治会不要論を唱える住民がいることも聞きますが、暮らしの中で自治会組織や活動に支えられていることを忘れてはいけません。見えないところで、誰かが支えてくれているのですから。

 

市民フェスタ24の様子

毎年8月に開催し、様々な分野で‘まち’を支える団体・企業等が一堂に会す「いちのせき市民フェスタ」。互いの活動に共感し合い、支えられていることに感謝し合う場があることで、損得勘定から抜け出せるのかもしれません。


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駐車場のご案内

なのはなプラザ4Fのいちのせき市民活動センターをご利用されるお客様は、以下の有料駐車場に車を停めた場合、最大3時間まで料金が無料になります。

当センターご利用の際に、駐車場無料券を発行しますので、詳しくは窓口までお問合せください。

 

  1. 一ノ関駅西口北
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