毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第2話(2019年6月号掲載)
いつの時代も「まちづくり」という言葉が使われてきましたが、「一体いつになったらゴールするの?」と疑問に感じるのは私だけでしょうか?「まちづくりにゴールも正解も間違いも、成功も失敗もない!」とはよく言われますが、これはおそらく広義的な考えであり、もう少しかみ砕いて考えるとわかりやすいのではないかと思います。
「まちづくり」がいつまでもゴールを迎えずに叫ばれ続けるのは、時代背景により「まちづくり」という言葉が指す意味が異なることが原因ではないでしょうか?今から50年ほど前は都市計画が盛んな時代で、まちづくりといえばハード事業など都市整備を指すことが主でした。都市整備のまちづくりの時代は、都市に人口が集中し経済活動も発展しましたが、地方では人口流出による担い手減少や大型店舗の郊外進出などにより、中心市街地をはじめとする地元商店などの衰退という現象が始まり、今から15年ほど前の時代は、「中心市街地活性化」という言葉がブームに。まちづくりという言葉が指すものは、都市整備ではなくそこに賑わいを取り戻すことを指すようになったのです。そして年号が切り替わった今、私たちが抱えている課題は何か?といえば、少子高齢化や人口減少による社会構造の変化であり、課題が変わったことでまたしても「まちづくり」が指すものは変容しました。
「少子高齢化」とは「少子化」と「高齢化」が同時並行的に進んでいる状態です。出生率の低下により子どもの数が減ると同時に、平均寿命の延びにより、人口全体に占める65歳以上の高齢者の割合が高まっていることが背景にあります。よく耳にする「2030年問題」とは、2030年には人口の3分の1が高齢者になるといわれており、それに伴い生じるさまざまな課題のことを指します。将来人口推計を見てみると、ある自治体においては生産人口よりも高齢者人口の方が多くなり、支えるバランスが崩れてしまうことが予測されています。このことから考えられる現代の「まちづくり」の持つ意味は、「将来への備え」です。
少子高齢化による人口減少は人が減るという自然現象であり、直接的な課題ではありません。人口減少による課題は、地域運営が困難になるということです。人が多かった時代に築き上げた私たちの地域コミュニティを、人が少なくなった状態でどう維持していくのか?人が少なくても運営できる地域に見直しをかけていかなければいけないのです。
一関市の人口は減少傾向にあり、上記の人口統計予測によれば、今から21年後の2040年には減少率が35%にも及ぶと予測されています。人口構成も、高齢者数が労働人口の倍になるという状況です。現在、2人で1人を支える時代から、これからは1人で1人を支える時代になるということです。これは予測ですので、絶対こうなるというものではありません。しかし、人口が減ることは避けて通れない状況であることを受け止めておく必要があります。