毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第4話(2019年7月号掲載)
地域づくりを進めていく前に確認しておきたいことは“主体”です。「地域づくりは、誰がするの?」ということです。
地域づくり活動は、営利・非営利を問わず幅広い主体のもとで行われており、多種多様な主体が存在していますが、当センターでは、大きく分類すると地域を支える主体を下の図のような4つに分けて考えています。しかし、各主体には弱みや課題もあるため、それぞれが単独で行うのではなく、協働によりそれぞれの役割を理解し、つながり合いながら進めていくことが必要です。
特に、今後、地縁組織と志縁団体は交流・連携を積極的に行うことが望ましいと考えます。地縁組織内でテーマ型の活動をしたいと思っても地縁組織の中にはノウハウが無いことがあります。そうした時には志縁団体と連携して事業を行い、ノウハウを吸収することで、コミュニティ内で自主自立した活動ができるようになります。
まちづくりや地域づくりのメインは「事業」と考えがちですが、その事業の目的や、生み出す効果が明確になっていないと意味がありません。「やみくもに何かやればいい」というものではなく、これからの地域づくりに大切なことは、「視点」を置き、地道に取り組むことです。
行政区別 高齢化率色分け地図
まちづくりや地域づくりの活動には、まちや地域にある文化や地域資源を活用した「今あるものをより良く」する活動と、まちや地域の課題解決などの「今ないものを良く」する活動の2種類があります。
どちらにしても、まずは地域におけるプラスの要素、マイナスの要素を洗い出しすることが大切です。
地域づくり活動は、目標を立てることから始まります。「どんな地域にしたいのか」、活動によって「どんな風に変えていきたいのか」を明確にしておく必要があります。
目の前にある課題解決のための事業も必要ですが、「どんな地域にしたいのか?」という理想の将来像を描き、その将来像に近づけていくために取り組む事業もあります。
また、過去の振り返りも必要です。その地域にどのような歴史背景があって現在に至っているのかは、その“地域らしさ”を表します。地域らしさの「らしさ」は、歴史背景が地域固有のストーリーを物語ります。
いまは、チェーン展開されているお店が全国各地にあり、インターネットによる購買も簡単な時代です。私たち消費者にとってはとても便利なことなのですが、地域の特性を求めにくい状況です。どこのまちや地域でも同じものが手に入るということは、平均的というか金太郎飴のようなもので、いまの時代に地域特性を生み出すことはとても難しいでしょう。地域らしさは、その土地の風土や生活文化から築き上げられているものであるとすれば、過去や歴史と向き合い、私たちが住んでいる地域には、どんな先人たちの想いがあったのかを紐解きながら地域づくりを進める視点が、ますます大事になってくるのではないでしょうか。