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第40回一関市山目市民センターまつりで披露した「アナシンと五」(令和4年)
(idea 2024年9月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
前身となる「おはなしの会 野の花」を平成8年4月に発足し、平成10年4月に「おはなしと影絵劇の会 野の花」に改称。毎月第4日曜日の定例活動(場所:一関市山目市民センター)ほか、市民センターや地域サロンなどのイベント出演依頼に対応。現在の会員は3名。
住所:一関市新大町145(代表・鈴木)
TEL&FAX 0191-23-5256
映し出された人形の「影」の繊細さと、人形に合わせて変幻自在に演じ分けられた役者の表現力に、思わず見入ってしまう「影絵劇」。25年以上活動を続ける「おはなしと影絵劇の会 野の花」が行う「影絵劇」は、指を広げたり、手を重ねて表現する「手影絵」ではなく、台詞や歌などに合わせて紙で作った「人形」を巧みに動かしながら演じます。
同会は、毎月第4日曜日に定例活動を行い、人形の角度や位置、登場のタイミングなどの練習に励んでいます。代表の鈴木規子江さんは、「一つの話を披露するまでに2年はかかります。発表は5分程なのでとても儚いですが、舞台と一緒で、登場のタイミングが重要。タイミングが早い、遅い、出方が悪い……など、細かなタイミングで印象が変わるので、発表がなくても練習はし続けないといけない」と話します。
これまで完成させた作品は10演目(赤ずきん、三びきのやぎのがらがらどん、笠地蔵など)。新しい作品を覚える間、過去に覚えた作品を忘れないよう、練習の中に振り返りの機会も入れています。
平成8年4月、30代(当時)の女性を中心に結成された「おはなしの会 野の花」が同会の前身。市外から嫁いで来た人や転勤で来た人も多く、友達づてで自然と集まり、仕事や家事の終わった夜間に集まっていました。「野の花」には、「人さえいれば野っぱらでも『おはなし』はできる」という意味が込められています。
結成時から代表を務める鈴木さんは、「もともと昔話の読み聞かせに興味があって、その気持ちを周りに話していたら、同じ想いの人たちが集まって、団体結成へと発展したんです」と振り返ります。
当時は影絵劇ではなく、図書館を中心に絵本や紙芝居などによる読み聞かせを行ってきましたが、平成10年4月、現在の団体名へと改称。「幼い頃に白黒テレビで見ていた影絵劇の記憶が忘れられず、『おはなしの会』に『影絵劇』をプラスした」という鈴木さんは、「テレビで見たのは、人形が馬とポニーテールの女の子だったのを今でも覚えています。ペープサート(紙人形劇)のように人形を支えている棒が見えていることに、どこか魅力を感じました」と微笑みます。
10人程で結成した同会ですが、手伝いをきっかけに会員になる人や、そのまま手伝いとして参加する人、時には高校生のボランティアグループに応援を求めたり、「知人友人の力を借りながら今日に至ります」と、周囲の協力に感謝しながら、現在は3人で活動を続けています。
同会会員として10年以上活動する松本牧子さんは、「初めて同会の影絵劇を見たときは5~6人でやっているものだと思っていましたが、私が入会するときには会員が4人しかおらず、驚いたことを今でも覚えています」と振り返ります。
20年以上活動する会員の福西享子さんは、「鈴木さんに誘われて今日を迎えています。影絵劇の魅力を感じながら、同会の活動が外出のきっかけにもなるので、病気にもなりません。出かけられる場所、用があることは大事です」と笑顔で話します。
昔話を参考に物語を短くまとめた脚本づくり、紙やダンボールなど身近にある材料での人形制作、脚本に合わせた声の録音等、自己流で影絵劇を創り上げてきた同会。鈴木さんは脚本づくりのほか、人形制作も行います。「既製品の人形だと物語が想像できず、気持ちが入りません」と、同会は手作りにこだわり続けています。
人形の動作一つや声のトーンなどで雰囲気が変わるため、手や顔などの角度、台詞の調整は細かく行います。松本さんは、「脚本を読みながら声を録音して、その声を確認して、『これ良いね』とか『このときはこうしたほうが良い』など、お互いに刺激し合っているので、読んでいるうちにしゃべりが上手くなっていくことを実感しています」と笑顔を見せます。
声がかかれば市民センターや地域のサロン、イベントなどへ積極的に参加している同会は、見ている側を楽しませながら、やっている側も一緒に楽しむことを大事していると言います。
影絵劇の魅力を「すぐにできないこと。創り上げていく楽しさもあり、キレイに仕上がったものではなく、創り上げていく過程も見てほしいです」と話す鈴木さん。影絵劇の魅力も伝えながら、「思い出」の連鎖を生んでいきます。
すずき きしえ
鈴木 規子江さん
前身の団体から代表を務め、28年目。「この会がここまで続くとは思っていなかったです」と、立ち上げた鈴木さん自身が驚いています。
A.会員が同じ方向を見ていること
ふくにし きょうこ
福西 享子さん(左)
まつもと まきこ
& 松本 牧子さん(右)
鈴木さんと知り合いだったという関係から入会したお2人。「3人で一人前です」と笑顔で話します。
A.和 和 和(なごやか)
練習の度に組み立てる木枠は、同会の活動を応援する方が厚意で作ったもの。大切な大道具の一つです。
同会では「楽屋」と呼んでいる裏側を覗くと、物語のシーン毎に作られた人形が床にズラリ。出番を待っています。
人形のちょっとした角度などでも見ている側の印象が変わるため、物語のシーン毎に調整・練習を重ねます
同会では台詞を録音することを「吹き込み」と呼び、台詞だけでなく、物語に合わせた童謡を歌うことも。