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今年3月のおひなマルシェ(千厩ひなまつり)に出展したときの様子。
(idea 平成31年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
平成26年度に地域でヤギを飼い始めたことをきっかけにヤギのミルクを活用した活動に取り組んでいます。
◆住所:〒029-3406 一関市藤沢町西口字切付56
◆電話:TEL&FAX 0191-63-4390(代表:小野寺)
藤沢町の中心部から西へ約5kmに位置し、川崎町に接する西口地区。地区内自治会から構成される西口自治会協議会では、高齢化による人手不足から地域内の草刈りが課題となっており、助っ人としてヤギに草を食べてもらい作業出役緩和を図ろうと平成26年度からヤギを飼い始めました。
初年度は小岩井農場での研修等も行い、「一関市農村活性化モデル支援事業」を活用してヤギを購入。群馬県からやってきた3匹のヤギは、西口の3自治会(6区・7区・8区)にちなんで「ろっく」「なな」「はち」と名付けられました。その後、子ヤギも産まれ現在では10匹以上に増えているそうです。
最近では地域の有志によりヤギに草を食べさせるだけでなく、ミルクを活用した取り組みも始まっています。今回はヤギと共に地域活性化を目指そうと立ち上がった女性陣により設立された「ななちゃんの会」の皆さん地域活性化を目指そうと立ち上がった女性陣により設立された「ななちゃんの会」の皆さんに、これまでの取り組みやその中でできた様々なつながり、今後の目標について伺いました。
「昔はどの家でもヤギを飼っていたし、家の手伝いで乳絞りもしていたので、ヤギには慣れていました」と話すのは会長の小野寺梅子さん。会を立ち上げたきっかけは、ヤギを飼い始めてから3年が経った平成29年に、活動の呼びかけ人である小野寺正子さんが新聞で見かけた手作り石けんの記事。お友達の梅子さん、小野千恵さんに声をかけ、市の農村地域づくり活動支援員の協力ももらい、ヤギのミルクを使った石けんづくりの勉強を始めました。
はじめはヤギミルク以外にもハチミツやラベンダーなどで数種類の石けんを試作し、地区の女性部の役員会で配布、アンケートを取りました。肌に優しいといわれているヤギミルク石けんは、他の物よりしっとり感や泡立ちが良かったという感想も多く、さっそく近隣地域のイベントで販売したところ、見事に完売。本格的に商品化を目指そうと平成30年度に岩手県の「幸せを創る女性農林漁業者育成事業」に申請。最初に飼ったヤギの名前が「ななちゃん」であり、メンバーが7区在住だったことから、団体名を「ななちゃんの会」として平成30年9月に正式に団体を設立しました。
育成事業の中で様々な人からアドバイスや刺激を受けながら、石けんの試作・改良を重ね、平成31年にはパッケージをリニューアル。正子さんは「色々な出会いがあり、事業の成果発表会などで他の6次産業に取り組んでいる人たちの活動も知りました。知らなかった世界が見えてきて、色々な発見がありました」と話します。
事務局の千恵さんも「活動を通して色々な人と交流でき、横のつながりが増えました。石けんを使った人の口コミで身近な人達からも『石けんが欲しい』と言われることが増えました」と少しずつ活動の広がりを感じています。また、最近では同会の活動を知り、市内外から「うちでもヤギを飼ってみたい」という声も届くそうです。
ヤギの活躍は石けんだけにはとどまりません。草だらけだった梅畑の草を食べてくれたことを機に、男性陣が梅の木を剪定。梅干しを作る活動も始めました。梅子さんのお家では、夫の忠助さんがヤギの乳絞りや石けんを熟成させるための棚を制作。会員は3人ですが、家族や様々な人の協力が活動を支えています。
石けん作りは、材料を混ぜて乾燥・熟成させた後、使用できるようになるまでに約3か月かかるとのこと。現在は品切れ中のため6月頃から販売を再開する予定で、梅子さんは「安定供給が今後の目標です」と話します。これまではイベントに出店しての販売のみでしたが、パッケージを手掛けたデザイナーさんの紹介で今後は盛岡のお店での販売も予定しています。
「今後は地区内にチラシを配布するなどして地元の理解や協力をもらいながら、地域をさらに盛り上げていきたい」と3人は今後の展望を語ってくださいました。
※石けんの購入については、上記の団体連絡先にお問い合わせください。
おのでらうめこ
小野寺梅子さん
家族の協力をもらいながら自宅でのヤギの飼育、乳絞りなども担当しています。
おのでらまさこ
小野寺正子さん
石けん作りの呼びかけ人。将来的には「全国販売」も目標にしていきたいとのこと。
石けんに使うミルクはヤギの子どもが産まれたときに出るミルクを「おすそわけ」としてもらっています。
紫波での研修の様子。材料の取り扱いにも注意を払いながらより良い石けんができるよう試行錯誤を重ねています。
ミルクが出る期間は毎朝絞ります。ヤギのエサは地域の草以外にも近隣の方々から野菜の提供などもあるそうです。
今年からリニューアルしたパッケージとパンフレット。1つひとつ会員が気持ちを込めて包んでいます。