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同町熊野神社を会場に会員同士で行った「こけ玉づくり」の様子(令和元年6月)
(idea 2022年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
旧東山町内の山野草愛好家を中心に20人が所属。各会員宅で育てた山野草を展示会で披露するほか、栽培ノウハウを共有し合うなど、山野草を通じた交流を行っています。
〒029-0302 一関市東山町長坂字久保227-16(会長宅)
TEL:0191-47-3026 FAX:0191-47-3022
山野草の「寒河江(さがえ)ギボウシ」などのほか、盆栽や数々の植物が並ぶビニールハウス。このハウスの持ち主で「自然の中で咲く花は素朴で可憐な美しさを持っていますね」と語るのは「ひがしやま山野草の会」会長の小野寺榮さんです。この場所だけでもその数は相当なものですが、例年5月の第2土・日曜日に開催する「東山山野草展」では、体育館に20名のメンバーが育てた約370点の作品が並び、観る人を楽しませています。
「昔、宇都宮に住んでいた頃に神社の周りに植えられていた皐月の美しさ・彩りに感動してね」と、小野寺さん。以来、植物の美しさに目覚め、バラや盆栽を育てるなど園芸に夢中に。地元にUターン後の昭和50年頃から山野草も育て始め、現在に至ります。
発足は平成29年3月と、歴史が浅く感じられる同会ですが、実は前身の「東山植物友の会」が平成27年に36年の歴史に幕を閉じ、それから2年後に「ひがしやま山野草の会」として新たなスタートを切りました。
「東山植物友の会」が設立された当初は会員も40名程おり、山野草展を開催するほか、多くの山々で植物の見学にも足を運んでいましたが、「年数とともに会員の高齢化が進み、次第に人数が少なくなった」のだとか。そのため、惜しまれつつも解散の道を選ぶことに……。
ところが解散後、元の会員たちから「また再開してほしい」という声が。そこで改めて会員を募ったところ、現会長の小野寺さん含む元会員20名に加え、2名の新会員から入会希望があり、平成29年、団体名も新たに、再開の運びとなったのです。
山野草の展示のほか、メンバー同士で親睦を深めようと、こけ玉づくりや紅葉狩りを企画するなどさまざまな交流の場を設けている同会。また、室根・大東・千厩など近隣の山野草の会の展示も見学し、お互いに「たいしたもんだなあ」と褒め合いながら、栽培に関する情報交換とともに交流を深めています。
同会が開催する「東山山野草展」には、例年、県内外から約800人の来場者があり、来場者に栽培方法をアドバイスしたり、愛好者同士の交流の場にもなっていましたが、コロナ禍で令和2・3年度は中止に。展示の機会を失ったことで「活動(栽培)の張り合い」はどうしても少なくなります。
そこで令和3年5月、同町の「みらい塾交流館『輝楽里(きらり)』」に、会員有志6名で山野草を展示(約70~80鉢)。「2日間で、地元住民を中心に約130人にご来場いただきました。会場の『輝楽里』では、通常通り地元野菜の販売や創作品の展示も行っていたので『輝楽里』を知っていただくきっかけにもなったのではないでしょうか」と小野寺さんは笑顔を見せます。
山野草含め、植物の中には風に弱い品種もあるため、展示会などの会場は屋内が好まれます。通算39回目を数える「東山山野草展」は、「東山植物友の会」時代には旧東山公民館の体育館を使用していましたが、改築に伴い展示ができなくなりました。苦労の末、10年ほど前から現在の「松川市民センター」を会場として使用していますが、メンバーは高齢な方も多く、会場の設営も年々「一苦労」になっているのだとか。
「若い世代にも是非入会してもらいたいのですが、山野草・鉢植えは好きでも、『会に入る』ということに対して抵抗感があるかもしれません」と、小野寺さんは新規会員獲得の難しさを語り、事務局長の鈴木孝志さんは「山野草展などの機会を活かして、この会に興味を持ってもらえるきっかけを作りたいと思っています」と、その抵抗感を払拭することを目標に掲げます。
多くの会員にとって「生きがい」とも言える山野草の栽培。小野寺さんも「20代で園芸に目覚めて今日まで来ましたが、今となっては『年を取っても夢中になれる趣味があって良かった』と思っています。今後は数少ない『秋の山野草』で飾る寄せ植えにも挑戦してみたいです」と、意欲は消えません。
本来は野外に「自生」し、その生育環境には各種条件が伴う山野草。その「芽吹き」や「開花」を、鉢などの人工空間で再現(表現)することに成功したときの達成感が、山野草栽培を趣味とする同会会員たちを「仲間」としてつないでいます。
おのでら さかえ
小野寺 榮さん
20代から趣味で園芸を続けており「山野草は、母ちゃん(奥様)と同じくらい大事な存在」と豪語するほど。早朝の鉢植えの手入れを長年続けています。
A.山野草は心の癒し
すずき たかし
鈴木 孝志さん
もともと鉢植えが趣味で「東山植物友の会」時代から約10年、同会に所属しています。再スタート以来、事務局長として会の運営を支えています。
A.人とのつながり
毎年5月に開催される「東山山野草展」。一つ一つに植物本来の個性と育てた方のセンスが映え、観る人を魅了します。
手をかければかけるほど美しく育つことが魅力の山野草。写真は事務局長の鈴木さんが育てた「タイリントキソウ」。
令和2年に松川市民センターが開催した「こけ玉作り教室」では、同会会員が講師を務め、参加者に作り方を教えました。
越冬はビニールハウスのほか、あえて屋外で腐葉土や雪を被せて保温する(自然の植物の越冬を再現)など、工夫しています。