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令和2年度メンバーでの集合写真
(idea 2021年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
平成5年結成。花泉町内の小学生を中心に、毎週土曜日17時~18時まで、花泉町の「花夢パル」にて練習中。令和2年度のメンバーは男子2人、女子7人の9人で、兄弟での参加も。
〒029-3101 一関市花泉町花泉上舘13
TEL 0191-82-3009 (指導者:加藤)
「みんなでいっしょに歌おう」というリーダーからのメッセージが書かれた手書きのメンバー募集チラシ。可愛らしいイラストが添えられたチラシは、子どもたち自らの発案で作られ、花泉町内の小学生に配布しました。
練習場所は花泉町の「花夢パル」。コロナ禍の練習ということもあり、常時換気された肌寒い空間の中、互いに2m程の距離を取り、マスクをつけての練習。コーラスには厳しい環境ですが、子どもたちの表情は真剣そのもの。
「いいかい、何回も直されるっていうのは良いことなんだ。今まではふざけたり声が小さかったりして良いも悪いもわからなかった。今はちゃんと声が聞こえるようになったから直せるんだ」一見厳しいような指導の中にも、指導者の加藤正好さんは子どもたちを褒めて認めることを忘れません。
「合唱の指導をしているというより、生徒指導をしているような感じの時もあるよ」と笑う加藤さんは、小学校・中学校の元教員。現役教員の頃から同会での指導を行っていますが、音楽の先生ではなく、専門は美術。生徒指導を担当していた経歴も長く、同会には加藤さんの教え子の子どもも多数参加してきました。
約30年にわたり、花泉町内の多くの子どもたちに、コーラスを通した自己実現と仲間づくりの機会を提供し続けている同会の発足の経緯と活動への想いを伺いました
平成5年、当時の花泉町教育委員会が日本を代表するオペラ歌手の故・岡村喬生さんの公演を企画。その際、岡村さんから「地元の子どもたちと歌いたい」という希望があったことから、急きょ、教育委員会の呼びかけで子ども合唱団を結成することになりました。
参加者募集を受け、加藤さんは当時小学生だった長男を参加させることに。ところが…!「参加者の保護者として関わるはずだったのに、なぜか指導者を頼まれちゃってね」というまさかの展開に。現役教員とは言え、専門外ゆえ、本格的な合唱の指導経験はなかった加藤さんですが、一時的な指導者という条件で引き受けることに。
岡村さんとの公演のために急きょ結成した合唱団だったため「お世辞にも上手とは言えない」結果だったと言いますが、参加児童の保護者からは「せっかくだから続けて欲しい」という要望が寄せられます。これを機に、一過性の活動だったはずが、約30年経過した現在もなお活動を続けるキッズコーラスグループへと成長したのです。
当初は加藤さんが事務作業から指導に至るまで会の運営を一挙に担っていましたが、10年程前からは保護者たちが運営の一切を担ってくれるようになり、現在は指導に専念しています。
花泉町内の小学生を対象としているため、参加児童の通う学校は様々。令和2年度のメンバーは、金沢小、老松小、涌津小、永井小の4校から、9人の児童で構成されています。その年によっては30人の大合唱団になってしまったり、1つの学校に偏ってしまうようなこともあったということですが、その年の子どもたちに合わせて活動スタイルを緩やかに変えています。
曲目も「子どもたちの歌いたい曲を取り入れ、いわゆる合唱曲よりもポピュラーミュージックの方が多い」という同会。アニメの主題歌や流行りの曲、ダンスを交えての演目など、楽しく歌うことに重きを置いています。
発表の場も多岐にわたり、地元花泉での合唱イベントはもちろん、地域のおまつりへの出演、介護施設等での慰問活動、遠くは盛岡でのイベント出演のほか、地元スーパーの入口でコンサートをすることも!「介護施設でのコンサートでは、涙を流して喜んでくれる利用者さんも多くてね」と、活動のやりがいを実感しています。
残念ながら令和2年度はコロナ禍の影響で観客を目の前にしての発表の場は自粛。唯一の発表の場はオンライン生配信イベントへのゲスト出演のみ。そんな中でも「歌うこと」そのものを目的にしている同会は、週に1回の練習を続けています。
1時間という短い練習時間ですが、5分休憩のタイミングで、学校や学年関係なく集まって談笑する子どもたち。
「歌が好き」という共通の趣味が生み出す、学校とはまた別の「つながり」と「小さな達成感」を生む場所として、同会は歌い続けます。
くろさわおとは
黒澤乙羽さん
涌津小学校6年生で、4年生の時に加入。唯一の6年生で、今年で同会卒業ですが、下級生たちから「遊びに来てね」とラブコールが。
A.たくさん曲を覚えて
いろんな歌を歌えるようになった
ささきあまね
佐々木あまねさん
リーダーの乙羽さんを同会に誘ったのがあまねさん。1年生の時に加入し、現在は涌津小学校5年生。ピアノも得意な音楽少女です
A.人の前できんちょうしない
1時間の練習ですが、一人ひとりの音程確認やパート別の練習も。指示にすぐに応える集中力に感心させられます。
コロナ禍の前は地域内外のおまつりに多数出演。写真は令和元年度「わくつ夏祭り」でのパフォーマンスの様子です。
つかの間の休憩時間に集まる女の子たち。学校も学年も違いますが、毎週顔を合わせる中で、自然と仲良くなっていきます。
参加児童の中にも教え子の子どもがいますが、ピアノを担当する鈴木さんも教え子。2年程前から活動に参加しています。