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取材時に撮影した集合写真(令和6年9月)
(idea 2024年12月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
平成28年、藤沢町31区自治会女性部15人で結成。新型コロナウイルス感染が5類感染症移行となり、イベント等に呼ばれる機会が増えたが、高齢化などを理由に9名が引退。現在は6名で活動中。
TEL:090-7525-7634(代表:菅原)
「サンイチ三味線」の発足は、「平成28年度JA農業祭(芸能発表会)」の出し物を藤沢町31区自治会内で話し合う中で、「すこっぷ三味線をやってる人が地域にいるし、自分たちもやってみたい」と意見が出たのがきっかけでした。
「すこっぷ三味線」とは、スコップを三味線に、栓抜きをバチに見立てて「津軽三味線」を真似て演奏するもので、同自治会の名称である「31区」から取って命名し「サンイチ三味線」としての活動をスタート。
まずは道具を揃えるところからで、始めは藤沢商工会議所からスコップを借用したり、栓抜きの代用でコテを使ったり、閉校した岩手県立藤沢高等学校のよさこい衣装の背中に「サンイチ」とシールを貼って本番衣装にしたり……。自分たちができる最大限の工夫を凝らし準備、見よう見真似で練習を重ねてきました。
ついに迎えた農業祭本番では、当時女性がステージに立つということが少ない中で、会場を大いに沸かせることに成功。このことが呼び水となり、各種団体の新年会などに依頼されることが増えていきました。
同会代表の菅原仲子さんは、「発足時、披露できる曲が1曲しかなかったんです」と懐かしみつつ、「最近ではレパートリーが増えたので、場所や季節に合わせて選曲したり、ダンスや衣装もそれに合わせたりして他のイベントと同じにならないようにしてるんですよ」とこだわりを見せます。
イベント等で披露する機会が増えると、それを見た人たちから「ぜひうちにも」と依頼が続き、多い時で年間70件、月に5~6回、1日に3か所も周って披露したことも。日中の仕事が終わったメンバーは自治会館に集まり、栓抜きが折れてしまうほど何度もスコップに叩きつけ、毎週のように腕に磨きをかけていました。
「色んな大会やイベントで他団体のパフォーマンスを観察することも心がけています。いかに演奏しやすく・動きやすくするかなどの工夫も大事で、良い点は積極的に取り入れました」と続け、時にストイック、時に笑いありで練習に励んできました。
平成29年、結成2年目に初めて挑戦した「第4回すこっぷ三味線県大会(以下、県大会)」では、団体の部で3位と惜しくも優勝を逃す結果となりましたが、翌年の県大会では、見事優勝を収めます。この時に授与されたのは、トロフィーではなく、浄法寺漆塗のスコップ!!現在も自治会館に大切に飾られ、自治会の自慢となっています。
「忙しい日々だったけれど、つらいとか、大変だとは思わなかった。せっかく『サンイチ三味線』に依頼してくださったのだから、断るようなことはしたくない」と、メンバーは思いをひとつにして、ただがむしゃらに練習に励み続けてきました。
イベントだけでなく、介護施設訪問の依頼も引き受けている同会。「メンバーのみんな、気分は『スター』なんだよね」と頷き合い、「私たちが演奏すると、施設のみなさん、本当に喜んでくれて、キラキラした目で『握手してください』って言ってくれます。握手するためにスコップ持ってステージを降りると、驚いた顔で『それスコップすか?』って、私たちが本物みたいにやるから、聞かれたりして。だから、『楽器でがす~』と冗談混じりに答える。そうすると、『はぁ~、楽器なの?』って、笑顔になるんです」と、定番のやり取りも楽しみのひとつにしており、「また来てけらいね」と声をかけてもらえることが、何より嬉しく感じるのだそう。
休日に家を空ける事が増え、家族からは「また出かけるのか?」と言われることもありました。それでも、自分たちの演奏を楽しみにしてくれる人たちのため切磋琢磨し、「第11回津軽すこっぷ三味線世界大会」に初出場した際には、団体の部3位と好成績を残しました。
「この大会、地域の人たちがマイクロバスを貸し切って、応援に駆けつけてくれたんです。自作した横断幕を持つみんなの姿を見つけたとき、嬉しくて嬉しくて……」と回想する、同会のみなさん。今後の活動について伺うと、「ステージに立ち続けたいです。『腰』が続く限り!」と、ユーモアのあるお返事が。お客さんを楽しませて、自分たちも元気をもらう、そんな幸せの連鎖をこれからも繋げていきます。
すがわら なかこ
菅原 仲子さん
活動当初は代表を設けていませんでしたが、依頼が増えた事で代表を務める事に。このメンバーだからこそ継続できる!
A.若さを保つ秘訣!!
芸名
キャサリンさん
初ステージでカツラを被った事から始まり、ファンも多数。歌やダンスのパフォーマンスでみんなに笑顔を届けたい!
A.地域の輪
右から古い順に、バチに見立てた栓抜き。長く使用すると叩くところが削られてきたり、時には折れてしまうことも。
左が初代のスコップで、現在(右)より小さめ。演奏のしやすさを考えて今の大きさとなり、装飾も凝って目立たせています。
室根町矢越で開催された「森は海の恋人 植樹祭(令和6年6月)」での様子。キャサリンの歌声が会場に響き渡る!
会場の広さなどを考慮して都度振り付けを考えます。メンバーみんなで動きの確認を欠かさず、本番まで全力です。