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(idea 平成25年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
会 長:鈴木功(いさお)さん
事業局:〒029-0711 一関市大東町大原字川内5-1(大原公民館内)
大東町大原で毎年2月11日に行われる「一関市・大東大原水かけ祭り」は、身も凍るような真冬に、街道を駆け抜ける裸の男達に水を浴びせるという、「天下の奇祭」といわれるお祭りです。そのお祭りを長年守り続けている水かけ祭り保存会の活動をご紹介します。
大原水かけ祭りの歴史は、今から356年前、1657年(明暦3年)に、江戸で起きた大火事が由来とされています。死者10万人にも上ったこの大火事の原因は、寺で遺品の服を燃やした時の火が火種とされており、別名「振袖火事」とも呼ばれます。火事が起きた旧暦の一月十八日を厄日と定め、火防祈願や火防宣伝、そして厄除を目的に水かけ祭りが行われていましたが、昭和48年より祭日を2月11日と定めました。近年では無病息災や家内安全を祈って来る方も多いそうです。
この祭りの運営管理を任されているのが、一関・大東大原水かけ祭り保存会です。この会は、大原地区全世帯で組織し、総勢約100名の会員で構成。その統括をしているのが会長である鈴木さんです。鈴木さんは、保存会に関り9年目になるベテラン会長さんです。
大原水かけ祭りと言えば、白装束を着た男性が水かけされている場面を真っ先に思い浮かべますが、お祭りの中では他にも見所がたくさんあります。例えば、女装をした男性が厄年の家を周り、厄を払う手踊りや、大しめ縄行進、加勢人と呼ばれる子ども達の行進、中学生による立志おみこし、消防団員の纏振り等。今年は、市外から鹿踊り、虎舞、太鼓等、合計10団体が演目を披露し、祭りを盛り上げました。
そして一番のメーンとなる水かけでは、地域内外から集結した280名近くの男性が血気盛んに街道を駆け抜け、冬の寒さを吹き飛ばします。元々は禊をモデルにした神聖な行事なため、衣装は白以外認めません。この水かけに出て修練を積もうと、警察署や岩手銀行、NEC等は毎年職場単位で研修を兼ねて参加。東日本大震災以後は、「復興を頑張りたい」と願いを込め山田町の水道事業所等、沿岸各地からも約40名の方が参加。「水かけの良い所は、練習がいらないということですね。」と鈴木さん。地元では、厄年の男性が参加しますが、地元以外は年齢関係なく体と気持ちがあれば、男性は誰でも参加できる祭りです。
そして、水かけ祭りの良さ、楽しみは夜にあります。水かけ終了後、大原地区では厄年を迎えた人の家に水祝儀を持ってお酒を飲みに行くという風習があります。地元住民にとっては夜が本番であり、この交流があるからこそ意味があり、人同士の結びつきを作りあげるのです。
「水かけ祭りは、『参加型』のお祭りです。私達の力だけで祭りを続けるのは難しいから、外に参加協力を呼びかける。これは、協力してくれた皆さんの力があってこそできるお祭りです」と鈴木さん。これからも地域の伝統を未来に繋ぎ、冬の寒さを吹き飛ばす、熱い祭りを楽しみにしています。