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(idea2019年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
昭和56年8月設立。林業に携わる・携わりたい女性ために、林業の研修等のみならず、中間収入を得るための事業にも積極的に取り組んでいます。
◆住所:〒 029-1211 室根町津谷川字清水31-1
◆電話:TEL 0191-65-2055(事務局 三浦)
「室根林業」という言葉があったと言われるほど林業が盛んだった室根。昭和50年代後半、林業の一環として原木シイタケの生産にも力を入れており、男性陣だけではなく、女性たちも林業(シイタケ生産含む)に参画しようということで、昭和56年8月に「室根村森林組合婦人部(前身)」が発足しました。
森林組合の婦人部は全国的にも珍しく、県内では第1号。研修への参加だけでなく、実際に枝打ち作業や間伐調査などにも参加してきました。
平成4年には、より活動の幅を広げるべく、団体名を「はなみずきの会」に変更し、会員も再編成。前身時代から数えれば、38年以上も活動を続け、なおかつ新たな事業にも挑戦を続ける同会の会長、副会長、事務局の3人のみなさんにお話しを伺いました。
「ただ林業に関する作業をしていても楽しくないけど、作業中に見つけた『何か』で製品を作れると思うと、楽しくなるでしょ」と笑顔を見せる3人。当初は林業に直接関わる活動をしていた同会ですが、活動を長続きさせるためには楽しみが必要だという考えから、様々な商品開発や製品づくりに取り組み始めました。
最初に取り組んだのがドライフラワーを使ったリース作り。杉の木に絡まった藤などの蔓を切る作業をする中で、蔓細工に興味を持ったのだとか。
同様に、下刈り作業などの際に目につく「どくだみ」に、「これだけたくさんあるのだから、何かに活かせないか」と会員から声があがり、どくだみを使った商品開発に乗り出します。研究や試作を重ね、できあがったのが「どくだみ水」で、化粧水のように使用するとニキビ等の肌荒れが良くなると口コミで広まり、九州からも譲って欲しいという声が上がると口コミで広まり、九州からも譲って欲しいという声が上がるようになったとか。
その他、「山の整備をしながら商品ができて、それがお金になったら」という考えのもと、ヤマブドウの加工品や竹細工など、地域資源を活用した商品開発を行い、それらが活動のマンネリ化防止にも繋がっていきました。
会の活動を続ける原動力には「もりもり市」もあげられます。平成9年、当時の森林組合室根支所敷地内に森林組合室根青年部が地元の木を使ったログハウスを建設しました。このログハウスの活用策の1つとしてスタートしたのが、はなみずきの会が主催する「もりもり市」でした。毎月第3土曜日、同会が開発した商品や、会員が育てた農産物、遊休品などを持ち寄っての開催でしたが、「市」としての賑わいはもちろん、地域のお年寄りの交流や情報交換の場としても機能し、約20年もの間続けられてきました。
平成26年に森林組合が広域合併したことで、平成28年に室根支所は閉鎖となり、拠点としてきたログハウスも解体に。その後は1年に1回、一関森林組合事業本部が主催する「森林の収穫祭」内での開催のみになってしまった「もりもり市」。地域からも復活を待ち望む声が多くあり、「もりもり市」の復活が同会の目下の目標となっています。
そして復活のための活動として現在取り組んでいるのが、これまでの商品のリニューアルと新商品の開発です。一関農林振興センター(県)の指導を元に女性農林漁業者育成事業に応募。見事採択され、林業における「中間収入」を得ることができる事業として、桜の塩漬けと、苔を使った商品開発に向けて動き出しました。
例えば桜の葉の塩漬け。和菓子等で使用される桜の葉は中国産が多いという現状を受け、オオシマザクラを25本植栽。提供先となる和菓子店は決まっているため、2~3年以内の出荷を目標に研修等を重ねています。
「農家の嫁はなかなか外に出られないのよ。どうにかして世の中と関わりたい、その一心だった」と当時を振り返りますが、お嫁さんとしての制約がなくなった今でも積極的に活動するのは「お客さんに喜んでもらえるのが嬉しいから」と終始楽しそうに話してくれた3人。
根底にあるのは林業なので、「林業に興味のある女性は誰でも参加できます。林業に関する研修会もできますよ」とのこと。林業に楽しく関わっていける女性が増えるよう、同会の挑戦は続きます。
ちばみちえ
千葉三千江さん
発足当初からのメンバーで、小菊栽培の傍ら林業にも従事。数々の料理コンテストで賞をとる料理の技を会の活動(加工品開発等)にも活かしています。
みうらひでこ
三浦日出子さん
元森林組合職員で、同会の担当となったことで活動に関わるように。退職後は純粋なメンバーとして会に参加、職歴を活かして会を支えます。
桜の葉の塩漬けの研修として静岡まで向かった同会。多くの葉を収穫するために密植栽培で低木に管理する方法を学びました。
森林整備としての蔓切作業をきっかけに始めた蔓細工は現在でも続けています。新たな事業としての苔製品は目下研究中。
同会の現在の人気商品が「きのこまんじゅう」。11月に開催される「森林の収穫祭」でのみ食べることができる幻のメニューです。
「もりもり市」を開催していたのがこのログハウス。惜しまれつつの解体でした。次なる拠点候補情報を随時募集しています!