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(idea 2020年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「私たちの健康は私たちの手で」を合言葉に、バランスのとれた食生活の定着を目的として、食を通じて地域で暮らす人々の健康や地域活動を支えています。
〒029-3405 一関市藤沢町藤沢字町裏187
TEL 0191-63-5304(事務局:一関市役所藤沢支所保健福祉課)
写真:視察研修での福島県南相馬市の食改との交流(中央が藤沢支部の皆さん)
「食改(しょっかい)さん」の愛称で、地域で暮らす人々の健康や様々な活動を支える食生活改善推進員。その起こりは、食料が十分でなく、乳児死亡率が高かったことが問題となり、各都道府県の保健所を中心に昭和20年代に実施された「栄養教室」まで遡ります。昭和50年には当時の厚生省が、栄養教室を修了して地域で活動するリーダーを「食生活改善推進員(以下、食改)」の名称で呼ぶ方針を提示。これを機に国民の栄養改善策として、厚生省や地方自治体が食改を養成し、活動を支援してきました。
このように全国的な取り組みである食改は、市町村が主催する養成講座を修了した後、地域の協議会に入会し、組織として活動します。全国で見れば約8万人、一関市では一関市食生活改善推進員協議会として約800人の会員がおり、各会員は旧市町村ごとの8つの支部にて、地域の特性を活かした活動を展開します。
今回は、食を通した見守り活動などにも取り組む同協議会藤沢支部の活動について伺いました。
藤沢支部は、現在116名の会員がおり、支部としての定期的な活動のほか、地元のサロン活動や行事などへの参加、協力も行っています。女性の活動というイメージが強い食改ですが、市内で唯一、藤沢支部には2名の男性会員がおり、「地域の活動には食改がいないと」と退職後に講座を受けたそうです。
支部の中には、19名の理事会メンバーから構成される「会報チーム」と「レシピチーム」があり、会員が考えたレシピを栄養士が栄養計算してまとめ、「食育の日」としている毎月19日に町内3か所のスーパーの前で配布、PR活動をしています。
また、藤沢町時代には、地域に伝わる郷土食などをまとめた「藤沢のまちにつたわる行事食」を発行し、町内全戸に配布。現在は、町内の小中学校での調理実習や市民センターの料理教室で講師も務め、健康のための食生活の知識や郷土料理を伝えています。
学校では、もちやがんづき、果報だんごなどの郷土料理を子どもたちと一緒に調理。支部長の畠山文子さん、副支部長の千葉英利子さんは「子どもたちが目を輝かせた様子や出来立てを食べた時の表情が印象的」と交流の様子を振り返ります。
地域行事への協力も積極的にしており、藤沢町の一大イベント「縄文の炎・藤沢野焼祭」の際は、「縄文食堂」を出店。地域の食材を使った「縄文ばっと」や「はにわ焼き」など、野焼祭にちなんだ郷土料理を提供し、祭りの盛り上げにも一役買っています。
東日本大震災後、家に閉じこもっている高齢者を心配する声が会員内から上がり、平成24年度から市の「元気な地域づくり事業」を活用し「ふれあい一皿運動」を開始した同支部。年8回、食改の手づくり料理を70歳以上の一人暮らし高齢者世帯へ届けています。
毎年4月に自治会ごとの対象者をピックアップ。訪問の際は自治会長はじめ、区長、民生児童委員、保健推進委員も協力し、郷土料理や季節に合わせた料理とともに健康に関するリーフレット等も配布し、喜ばれています。中には訪問した時に体調不良を起こしていた人がいて、一皿運動があったことで助かったという場面もあったそうで、見守り活動としても重要な役割を果たしています。
会員は必ずしも料理が好き、得意というわけではなく、食改になったことをきっかけに料理がおもしろくなったという人もいるそうです。畠山さんと千葉さんも「食改になり食に関する具体的な知識を得たことで、自信を持って伝えられるようになった」と話します。また、活動については、「活動が幅広いため、食改は大変そうというイメージが先行している面もあるが、健康に役立つ情報を学べたり、会員同士や地域の人たちとの交流という楽しさを伝えていきたい」としながら、「義務感だけでは続かないので、無理のない範囲で活動に参加して欲しいと会員にも伝えている」と続けます。
最後に「先人たちは地域のお年寄りは地域で守り、地域の子どもは地域で育てるとしてきたが、今はそれが崩れてきている。住み慣れた地域で元気に暮らし続けていくためにこれからも地域にとけこんだ活動をしていきたい」と今後の抱負を語ってくださいました。
はたけやまふみこ
畠山文子さん
支部長5年目。食改になってから家族も塩分を気にしてくれるようになったそうです。
A.地域の人たちとの交流をとおして笑顔がみられること!
ちばえりこ
千葉英利子さん
会報チームに所属。支部内に配布する会報を通じて参加できない人にも活動の様子を共有しています。
A.食を通して人との交流ができること
最近は小学校で大豆を育てたことをきっかけに豆腐作りにも挑戦し、自分が育てた野菜が料理になる過程も教えています。
4月、8月、1月、2月を除いた年8回実施。料理だけでなく、訪問での会話を通じて心の元気も届けます。
毎月19日の夕方に、町内のスーパーにて配布。レシピを受け取り、「さっそく作ってみよう」という嬉しい反応も。
郷土料理で来場者をお出迎え。卒業した元食改の先輩たちも毎年様子を気にして食べに来てくれるそうです。