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「大原ミニバス」の児童らと、大原スポーツ愛好会メンバー(一部)
(idea 2022年11月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「大原ミニバスケットボールスポーツ少年団(以下、大原ミニバス)」に所属していた保護者や卒団生で令和元年に結成。スポーツ活動を通して「自分の好き」を見つけるチャンスや経験の場を提供しながら、健全育成・人材育成活動を行っている。
「私は福岡県出身で、大東町大原に嫁ぎました。私が生まれ育ったところは、多種多様な習い事や養成所、体験や経験の場が整っていて、地元を離れて初めて『恵まれた環境だった』と気づかされました」と語るのは、「大原スポーツ愛好会」会長で、4人の子を育てる河野麻希子さんです。
「子どもたちは成長とともに挑戦する気持ちが芽生えますが、ここ(大原)にはメディアで見るような『やってみたいこと』を体験できる場が少ないんです。『子どもの挑戦』や『夢』を後押しするために、家族が自分の時間を削って遠方まで送迎をしたり、そうした活動のある地域に転校する世帯もあるのが現状です」と続けます。
転機となったのは平成29年、河野さんの長男が所属していた「大原ミニバス」が、様々な要因で休団を余儀なくされたことでした。「やってみたい」の場がさらに失われた現実に、河野さんを含む元大原ミニバスの保護者や卒団生、地域の方など十数名が一念発起!「子どもたちが様々な体験や挑戦ができる場の提供・環境づくりをしよう」と、「大原スポーツ愛好会」を結成したのです。
令和元年の結成以降、バスケットボールに限らず、リズムトレーニングやダブルダッチ(2本の縄を使って跳ぶ縄跳び)、ダンス、体幹を鍛えるためのトランポリンなど、魅力的なスポーツ体験を子どもたちに提供している同会ですが、結成から現在までこだわり続けているのが「自力での交通手段がない大東町(特に大原)の子どもたちが対象」ということ。
「旧一関市の中心地に住む子どもたちは、自分で挑戦することができる環境がそれなりに整っていますが、ここの子どもたちはどこに行くにも送迎が必要。そんな子どもたちや保護者が『不便だ』という思いではなく、『大原に住んでいるからこそできた』と、プラスに捉えてもらえるような体験を提供したい」というのが、そのこだわりの目的です。今年度は「BMX(自転車競技の一種)」の体験会も企画しており、「田舎でもできるんだ」という思いの共有を目指しています。
現在の会員は13人で、年に1~4回ほど、スポーツ体験の機会を提供(企画運営)しており、小学生を中心に、コロナ禍前には約100人が参加した企画も!その中には、発達障がいがあったり、特別支援学級に通うなど、サポートが必要な子もいますが、活動を通して落ち着きが出てきたり、仲間を思いやる気持ちが芽生えてきていると言います。
令和2年、同会や地域と一緒になって話し合いを重ねた結果、休団していた「大原ミニバス」が活動を再開。ミニバスに関わる保護者と同会メンバーは重複している人も多く、大原ミニバスの活動日が「大原スポーツ愛好会の話し合いの場」にもなっています。
「事業の準備や実施後も、母親は家のことをやらなければいけないですが、ここにいる間は『楽しい』と思ってもらえれば」と、話し合いの場を「保護者の交流の場」としても位置付けます。
2年前から同団体の事務局を務めている菅原みなみさんも「下の子どもたちもまだ小さいので、一緒に子育てをしながら交流し、親同士の繋がりもできています」と笑顔を見せます。
「ある程度地元で人材育成し、子どもたちが本気でやりたいことを見つけ、はばたけるようになったら、どんどん外に出てもらいたい。外でたくさん吸収したら、地元に持ち帰って共有し、次の世代がまた地域を盛り上げる。そんなふうに地元大原を大切に思ってくれる子どもたちを増やす」というサイクルを大きな目標として掲げる同会。河野さんも「今いる人たちが魅力ある地域づくりをすれば、きっといつか戻ってくる。大原地区は、『隣は何をする人ぞ』という関係性ではないので、いつの日かご近所さんを含め地域全体の交流の場となれば」と続けます。
今後の課題として、活動資金の確保をあげつつも、「地域の子どもたちが大人と一緒になって笑顔になるような企画を色々とやっていきたいと思うので、仲間を増やすというのが一番必要なことかな」と常に前向きです。
この取材中にも目の前で活き活きとバスケットボールを追いかける子どもたち。同会や地域の想いが通じ、将来は彼らが、スポーツを通じた地域交流の場を広げていくことでしょう。
こうの あきこ
河野 麻希子さん
大東町に嫁いで15年。「子どもたちの送迎にはご近所さんのお力を借りることも」と、大原の「地域で子育てしよう」という感覚を大切にしています。
A.仲間のありがたさ!
すがわら みなみ
菅原 みなみさん
北上市から大原へ。河野さん同様、4人のママ!無理のない協力を心がけており、「スポーツ活動を通じて親も子も成長が実感できている」とのこと。
A.成長
リズムの感度をあげるトレーニングをすることにより、ケガの予防やパフォーマンス向上へつなげています。
自分が夢中になれるものを見つけてほしいという思いから、ダンスやトランポリン、ダブルダッチにも挑戦。次はBMX!
海外でのプレイ経験もある指導者から、取り組みの姿勢や技術を学んだことも。身体の使い方も丁寧に見てもらいました。
冬には他団体とも協力し、練習前に駐車場の雪かきも。子どもたちは楽しいトレーニングだと言って頑張ってくれます。