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中学生と一緒に取り組んだ史跡案内看板の設置
(idea 平成30年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆会長:岩渕源宏(もとひろ) さん
◆住所(事務局):〒029-3522 一関市藤沢町大籠右名沢28-7(大籠キリシタン資料館)
◆電話(事務局):0191-62-2255
日本でのキリシタンの殉教地といえば、今年7月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が話題になりましたが、東北でも多くのキリシタン殉教があったことをご存知でしょうか。特に藤沢町大籠地区と登米市東和町米川では、東北最大規模の殉教が起こったといわれています。
大籠では、永禄元年(1558年)に製鉄の技術指導のために備中から招かれた千松大八郎・小八郎兄弟が製鉄の指導をしながらキリスト教の普及を広めましたが、寛永14年(1637年)の島原の乱後から全国規模でのキリシタンの弾圧が始まり、大籠では300人を超える信者が殉教したといわれています。
第二次世界大戦後、進駐軍が大籠を訪れた際にキリシタンに関する歴史を知り、世界各国からカンパを受け、昭和27年に大籠カトリック教会が建立されました。合わせて有志により大籠キリシタン史跡保存会が発足。今回は、会の活動を長く支え、現在も理事として活動を率先している畠山一也さんにお話を伺いました。
保存会の発足以降、史跡の看板や標柱の設置、教会の改修などの環境整備や保全活動を行ってきましたが、平成18年に前会長が亡くなったことで保存会の活動は休止状態となってしまいます。
そんな中、平成27年度に大籠地区自治会協議会が「大籠散策マップ」作成に取り組み始めた際、保存会にも協力依頼がきたことをきっかけに自分たちも活動を再開しようと復活しました。復活後、最初に取り組んだのは大籠地区自治会協議会、藤沢市民センターとの協働事業「子どもたちによる地域の情報発信事業」です。史跡看板のリニューアルのために、大籠出身の中学生や高校生がALTの外国人講師から指導を受けて説明文の英訳作業に取り組み、美術部には看板の挿絵を作成してもらいました。他にも、ハロウィンやクリスマスのパーティーを通じて、外国の文化に触れたり、地域の郷土料理を振る舞ったり、会員が講師となってたたら製鉄の体験事業を行うなど、宗教にこだわらず、地域の歴史や先人の技術を伝える活動を続けています。
活動の継続、発展の為に今年度取り組んでいるのが「史跡ボランティアガイド養成講座」です。大籠に訪れる人たちを案内できる人を増やそうと始めたところ、盛岡や仙台など遠方からの参加もあり、現在50人程の受講者がいるとのこと。過去に同じ仙台藩のキリシタンが製鉄業に取り組んだ登米市東和町米川地区と気仙沼市本吉町馬籠(まごめ)地区からも参加があり、3地区の連携も検討が始まっているそうです。
「大籠にはたたら製鉄の技術があり、米川では毎年キリシタンまつりを開催している。馬籠のかぼちゃでハロウィンパーティーも出来るし、それぞれの地区の強みを活かして連携することで、人が回り、地域の活性化につながるのではないか。そこに保存会だけでなく、住民の得意なことを取り入れたり参加型にすることで、いつか地域に何かしらの形でかえってくるはず。まずは3地区を合わせたロードマップを作りたい」と今後の構想を語る畠山さんからは、保存会と大籠地区の益々の盛り上がりを感じました。
子どもも参加したたたら製鉄体験
窯づくりや指導も地元の人によるもの