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勇壮な「荒馬先陣」の様子
(idea 平成30年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆会長:岩渕 一司 さん
◆住所:〒029-1202 一関市室根町矢越字湯舟82
◆電話:0191-64-3690
※室根神社大祭は旧暦の閏年の翌年に開催
※今年は開催年で10月26日~28日に開催
「室根神社大祭の見どころは?」と室根の人に聞くと「夜中に提灯の灯りを下げ、蹄(ひづめ)の音を響かせながらやってくる荒馬先陣」との答えが多く、室根神社大祭の花形的役目と言っても過言ではない「荒馬先陣」。熊野の神が唐桑に着いた時、鎮守府(ちんじゅふ)将軍大野東人(おおのあずまんど)が当時の上折壁村の人々とともに馬17騎で神輿を迎え警護したという話に由来し、その時の子孫たちが世襲により担ってきた役割でした。しかし、平成14年に開催された室根神社大祭で、荒馬先陣は異例の参加見合わせの決断を余儀なくされます。
9組の「組」によって成り立っていた荒馬先陣。1組は約20人程で、「組頭」の親類等で構成。9組のうちの8組は2頭ずつ馬を立て、残る1組が先陣となり、先陣は馬1頭と旗持ちや警護などの役職を担っていました。ところが、馬に乗るのは成人男性という決まりがあり(各組の中から馬に乗せる人を決める)、かつ、乗った人の装束や馬の装束を用意しなければならないなど、金銭的な負担も大きく、乗り手の確保は年々難しくなっていきました。
そして平成14年、来るべき大祭に17頭の馬をそろえることができない状態になり、神輿のお供をすることができなかったのでした。
しかし、荒馬先陣は室根神社大祭においては大きな神役の1つであり、どうにか継承できないものかと、当時の室根村長や公民館等が音頭をとり、地域の有志とともに復活に乗り出します。過去に前例のない「保存会化」を目指し、神事と切り離した形で、現在の室根11区・12区の住民たち(=旧上折壁村エリア)を構成員としたゼロからの組織作りをしていくことになったのですが、住民たちの理解を得ていく過程に苦労したといいます。
そして大祭を目前に控えた平成17年8月29日、室根神社大祭の神役の中で初となる保存会「室根神社祭『マツリバ行事』荒馬保存会」が誕生。荒馬の参加見合わせは平成14年の大祭一度のみに留まりました。
保存会化によって、「組」ではなく、旧行政区を単位に馬を立てることに。全7区で17頭を立てるので、1つの区が2~3頭を担当。大祭は女人禁制ですが、女性陣は裏の大役として重要な担い手。保存会関係者を中心に組織を作り、精進料理を準備します。
3日間の大祭のうち、荒馬の出番は2日目「午後2時の揃い」から。重要な3日目は午前0時に集合、深夜2時頃に町内を経由して南流(なんりゅう)神社へ向かいます。早朝に蟻塚で神輿を迎え、警護しながらマツリバへ。2日間の移動距離は約38㎞。かつては乗り手も引き手も同じ人が務めましたが、現在は負担軽減から交代で務めることもあります。
2代目会長の岩渕さんは「保存会化したことで責任が薄れるという懸念もあるが、上折壁地区は由緒ある役目の地区だということと、何のための祭りなのかをしっかりと伝承していくことで繋がっていくはず。保存会化によって住民の負担は減り、若い人も関わってくれるようになった」と、将来を見据えます。保存会化して6回目の大祭は今年10月の開催です。
3日目深夜2時頃の室根支所付近が見物のおすすめスポットとのこと。