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(idea 平成27年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆会 長:鈴木重孝さん
◆事務局:千葉健司さん
◆連絡先:〒029-0303 一関市東山町松川字岩ノ下(鈴木さんご自宅)
JR大船渡線岩ノ下駅周辺に位置する岩ノ下集落の岩ノ下獅子舞は、毎年旧暦正月12日(現在は新正月3日)に、東山町松川の岩ノ下集落の家内繁栄と無病息災を祈願し、集落各戸を巡行することが正月の恒例行事です。地域の言い伝えによると、「元和元年(1615年)大阪夏の陣出陣の際、主従無事奏功、凱旋帰還を祈願し、京都より三十三体の観世音菩薩を勧請した折、その菩薩の先導、守り役として獅子が侍づくことになったのが始まりと言われる」とされています。会長(86歳)の幼い頃は、戦争の最中で一度途絶えてしまうこともありましたが、遠祖代々から現代まで伝わり続けてきました。
この獅子舞は、獅子頭、胴中、尻尾の3人立ちで踊り、他に笛吹き、太鼓(大太鼓、小太鼓)があります。現在は、事務局の千葉さんが子ども達に獅子舞を指導し、伝統を継承しています。
今年の獅子舞も、岩ノ下集落にある44軒の家々を回りました。獅子舞が来ると玄関先に家族全員が並びお辞儀をし、獅子の口の中へ自分達の頭を差し出し、噛んでもらうことで、悪霊を払います。そしてお菓子やお米、ご祝儀を頂き、お酒をふるまってもらいます。厄年の方がいないお家は1回、厄年がいる方のお家は2回まわるので、行事は1日がかり。「やっているうちにだんだん腕が上がらなくなり、手が動かなくなるため交代でやらないと大変だ」と千葉さんは語ります。
現在、獅子舞を舞える会員が2~3名で、「若者の参加を期待しているが、仕事もあり普段の練習に参加することも難しいのだろう」と語り、さらに、集落にいる子どもも小学生が2人となってしまい、継承していくことに不安を感じているそうです。
平成26年3月に松川小学校が東山小学校と合併しました。子どもが多かった頃は、松川公民館で開催される小正月行事として、小学校高学年の児童と大人が一緒に獅子舞を披露し、地域の方々から大変喜ばれていたそうです。
千葉さんは持参した2008年の写真を見せて頂きながら、「この頃は良かったね。子ども達が大勢いてね。ほらここに会長のお孫さんもいるよ」と語りながら、当時を懐かしみます。岩ノ下獅子舞が東山町の文化財に登録され、観光協会から補助金を受ける事ができるようになり、年に数回行われる芸能文化祭で獅子舞を披露しているそうです。6月には、おさなぶりの披露も控えています。今後もこの活動を受け継いでくれる担い手を育て、継承に力を注いでいきます。