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(idea 2021年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
文化祭への出展をきっかけに、平成18年10月に結成。身近な素材を材料に、独創的でストーリー性あふれる作品を多数創作。依頼に応じて各地で作品を展示している。
〒029-0302 一関市東山町長坂字柴宿7-76 (田守)
TEL:0191-47-3879 FAX:0191-47-3879(同上)
写真:同会の作品「ねずみの嫁入り道中」
「いつ集まれるすか?」「明日ならいがすよ」特に活動日は決めず、3人の都合が良い時に集まり、お茶菓子と漬物を囲み談笑……。その周りには色鮮やかな吊るし雛や小物、華やかな日本人形をイメージした作品などが飾られています。その作品の数にも圧倒されますが、一つ一つに魂を感じるような、繊細で丁寧な作りは「お見事」の一言。
これらの作品を創作しているのは、東山町長坂の仲良し3人組「手作りを楽しむ会」。同会作品のオリジナリティあふれる作品の噂が広まり、市内の図書館や主要施設はじめ、奥州市水沢の着物屋からも声がかかり、年2回の作品展示を行うなど、年間で4~5回、「声がかかった時だけ」作品を出展しています。
「特別なことはやってないよ。集まりたい時に集まってやっています」と微笑む田守りつ子さんの言葉に、石山けい子さん、菊地洋子さんが頷きます。
見る人の心をほっこりとさせる可愛らしいねずみたちや昔懐かしい茶の間の風景など、見る人を魅了する世界感はどのようにして生み出されたのか、同会の3人に伺いました。
もともとは近所のお茶飲み仲間だった3人。田守さんが趣味の一つとして手芸を行っており、その作品を見た石山さんと菊地さんが興味を持ったことがきっかけで、平成18年の7月頃から3人で手芸をするようになりました。
転機となったのが同年10月。地元新聞社が3人の活動を取り上げたこともあり、周囲にも推される形で、同年11月の東山文化祭・長坂会場に出展するに至ったのです。
「文化祭だと出展するのに団体名決めなきゃいけないって言われてね。急いで付けたの」と、田守
さんは会の結成と命名の経緯を振り返ります。
記念すべき出展第1号は、昔ばなし「ねずみの嫁入り」をテーマに、同会が当地域で行われていた「嫁入り道中」の様子を取り入れアレンジした作品。約3か月をかけて制作されたこの作品は、65体ものねずみに加え、古民家などの小道具もあり、並べると約5mにも及びます。会場でこの作品を見た人からは「次は何作るの?」と、早くも次の作品を期待する声があがるほど好評を博しました。
同会作品の特徴は「ストーリー性」。「嫁入り」をテーマにした作品を作ったことを機に、「昔、家でこういう行事もやってたよね」という思い出話が膨らみました。「結婚の次は家づくりだから『建前』の様子にしようか。子どもができたら『孫抱き』という習わしもあったわね」と、「ねずみシリーズ」として展開させていったのです。
「お年寄りの人なら懐かしがって『昔はこうだったね』と涙を流す人もいるけど、最近の若い人は昔の行事を知らないみたいだから、作品を通して知ってもらいたい気持ちもある。とにかく作る自分たちも楽しく、見る人も楽しくなるようやっています」と菊地さんは語ります。
作品作りに「特別な材料は使わない 」という同会。着物や帯をリメイクするほか、日本人形の「かんざし」は、ご祝儀袋の水引を活用して再現するなど、創意工夫を凝らして、世界に一つのオリジナル作品が出来上がります。
また、「ねずみシリーズ」などにおいては、かやぶき屋根の小屋や井戸などの各種小道具を3人のご主人たちが制作。身近な材料を使い、作品のイメージに合わせた小道具を創作してくれるのだとか。手作りの小道具が3人の作った人形の雰囲気を引き立て、臨場感ある作品へと仕上げてくれます。
「これからも3人で孫の世話をしながらゆっくりと楽しく活動をつづけたい」と話す3人。「作品が増え、しかも大きい作品もあるので、保管場所が悩み。どこか作品を展示させていただけるところがあれば、喜んでお貸しします」と、作りためた作品の活用にも意欲を見せます。
今春、地元東山の「石と賢治のミュージアム」で開かれた「ほっこりギャラリー展」にも多数の作品を出展した同会。「嫁入り道中」や「孫抱き」など、時代と共に「昔のこと」となりつつある今、3人が創り出す可愛くも懐かしい風景は、人々の心を和ませるだけでなく、「古き良き時代」を伝える「きっかけ」にもなっています。
あえて「代表」等の役職は立てず、3人で協力して作り上げてきた同会。「孫守り」と両立させながら「頭の体操」として活動を続けます。
たもり りつこ
田守 りつ子さん
A.作品は楽しんで作る
いしやま けいこ
石山 けい子さん
A.人生の楽しみ
きくち ようこ
菊池 洋子さん
A.和
展示会に出展する際は、その季節に応じた作品を選びます。今春のギャラリー展では春を感じる作品が随所に!
型紙をもとに着物地を裁断し、生地の色合いや柄を合わせながら、綿などを入れ、立体感を出しながら貼り合わせます。
日本人形をモチーフとした作品の創作。実際の人形の写真をもとに、まずは厚紙でパーツごとに型紙をつくります。
まぼろしのねずりんピック2020」と銘打たれた作品たち。可愛いながらも体操競技の躍動感が伝わってきます。