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(idea 2020年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
20年に渡り地区内で宅配弁当事業を行っています。旧町時代に町側の呼びかけで類似のボランティア団体が地区ごとに存在する花泉地域ですが、お弁当の宅配を行っているのは日形の同会のみです。
〒029-3104 一関市花泉町日形字町裏174
TEL 0191-82-4408 (代表・小野寺)
写真:完成した弁当と会員のみなさん(一部)
人口約700人と、市内で最も小規模な地域協働体エリアである日形地区。この地区に、約20年に渡って地区内の一人暮らし世帯に手作りのお弁当をお届けしている団体があります。
「詳しい経緯はわからないけど、民生児童委員(以下民生委員)の人たちが集まって活動を始めたと聞いている」。お話しを伺った「日形ボランティアかたくりの会」代表の小野寺英子さんは会の発足から数年経過してからの参加。参加した時にはすでに宅配弁当が行われていたということで「最初から宅配弁当を目的の一つにして発足したのでは。民生委員の活動の中で感じる一人暮らし世帯をいかに見守るかという課題への対応を具体化したのかもしれない」と先輩たちの志に想いを馳せます。
現在も民生委員は必ず会員となるよう引き継がれていますが、会員18名のうち4名が民生委員、残りは会の趣旨に賛同した地区内のメンバーです。
「民生委員は任期があるから会員としては入れ替わりがある。当初は民生委員が主だったのが、今は民生委員さんと協力しながら活動をしている感じ」と英子さんは苦笑いを見せますが、そうした連携体制を取れるというのは十分に素晴らしい地域力。
今回はそんな同会の活動について、英子さんをはじめ、会員のみなさんにお伺いしました。
発足時から核となっている宅配弁当は春と秋の年に2回、70歳以上の一人暮らし世帯を対象に注文を取ります。民生委員がそれぞれの管轄エリアの対象世帯に文書で案内を出し、あくまでも希望者に宅配するというスタイル。状況に応じて高齢夫婦2人暮らし世帯にも声をかけるなど、各民生委員が日頃の交流の中で機転を利かすこともあるそうです。
「お金払うから毎日来てほしいって言われたこともあるのよ」とうれしそうに語るみなさん。そうした声を受け、年に1回だった宅配を3年程前から年2回に増やしたのだとか。
春と秋、それぞれに季節に応じたメニューにし、その内容は毎回検討。ここ2年程は弁当に加え、汁物と果物を別につけるなど、バージョンアップしているというから驚きです。
「ご飯にこだわっていて、ちらし寿司のようにしたり、細巻を作ったこともあるわよ」と、注文者が喜んでくれるよう、一人ではなかなか作れないものをメニューに加えるようにする配慮も。汁物も豚汁、いものこ汁、サンマのすり身汁など、やはりバリエーション豊か。こうしたメニューは民生委員の定例会に合わせて検討します。
配達は民生委員だけでなく、会員が手分けしてまわります。そのため、民生委員ではない人と話ができる機会として、届けてくれる人との会話を楽しみにしている人も多いとのこと。「もてなす準備をして待っていてくれる人も多いのよ」とみなさん目を細めます。
スタッフ分も含めて50食分のお弁当を作るのは負担も大きいですが、「できあがったお弁当を食べるのは自分たちも楽しいの」と、みなさん楽しみながら取り組んでいるようです。
ちなみに運営費用には自主防災会(炊き出し訓練を兼ねて)や福祉推進協議会など、地域内の団体から補助が出ており、地域として取り組んでいる事業と言っても過言ではないでしょう。
民生委員の視点が活かされた取り組みがもう1つ。一人暮らし世帯への年賀状の送付です。地区内に居住する約35人に宛てて同会から1枚1枚手書きの年賀状を送ります。
年賀状を書く会員は輪番制。「今年は〇〇集落の会員が担当」というように、集落ごとに担当を決め、当該集落の会員間で分担を決めるそうです。
文面やデザインなどは各々にお任せ。「中には会ったことのない人もいるので、当たり障りのない内容になってしまい、もらっても喜んでいるのか不安」と言いつつも「うれしかったよ」と声をかけられることも多いようで、続けていく原動力になっています。
そのほか、会員のほとんどが各集落のサロン等にも関わっており、地区全体の活動と、集落レベルの活動との両輪で高齢者のサポートをしています。
宅配弁当事業など、いずれは地域協働体の事業として吸い上げてもらうことも検討したいという英子さん。より持続的な事業として発展していくかもしれません。
おのでらえいこ
小野寺英子さん
会計担当を頼まれる形で会員になった英子さん。現在の民生委員以外の会員は英子さんの声がけによって参加している人も多いのだとか。
くまがいたかこ
熊谷孝子さん
婦人会の会長も務める孝子さん。「地域の先輩たちから学ぶものはたくさんある。先輩たちを大切にする気持ちをこめて活動に関わっている」とのこと。
果物と汁物もセットになったお弁当。ご高齢の方々が食べやすく、健康にも気を使ったメニューを意識しています。
宅配弁当の日は8時半頃に市民センターに集合して調理を行います。改めて役割分担をしなくても作業が進むのだとか!
実際に年賀状をもらった小野寺幸子さんは、同会の発足当初に会員として関わっていたそうで、会の成長を喜んでいました。
代表の英子さんが作る宅配弁当の案内文書はイラストが切り張りされていて、その小さなひと手間に丁寧さが感じられます。