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千厩病院歴代の院長やスタッフとの
記念写真(左下:会長 遠藤さん)
(idea 平成31年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆会長:遠藤 育子 さん
◆住所:〒029-0803 一関市千厩町千厩字宮田31-17
◆電話:0191-53-2581(会長:遠藤)
0191-52-2250(事務局:畠山)
千厩病院は昭和7年に千厩町と川崎村の住民出資により「東磐実費診断所」として開設して以来(現在は岩手県に移管)、地域の暮らしを支えてきました。しかし、平成21年には常勤医の人数が数年前の半分以下になり、診療科も減ってしまいました。
朝顔のたね会長の遠藤育子さんは「私も家族が千厩病院に入院しましたが、当時の病院は患者にとっても病院で働く人にとっても大変な環境でした」と当時を振り返ります。
病院の現状を間近で見てこのままではダメだと思った遠藤さんは当時の総看護師長さんに住民は何ができるのか相談したところ、「まずは病院の現状を知ってもらいたい」と平成21年に「病院を知ろうの会」が開催されました。過酷な現場の様子を聞き、「知ったからには何かしなければ」と平成22年に団体を発足。「朝顔のたね」という名前には、名付け親である総看護婦長さんの「花からたくさんの種が取れるように病院を守ろうという種があちこちに根付いて広がってほしい」という願いが込められています。
会の発足以前から、千厩病院では院内でのボランティア活動を行う人たちはいたため、病院からの「朝顔のたねには病院と住民のパイプ役になってもらい、外に向けた発信をしてほしい」という声に応え、発足当初は自治会単位での地域医療に関する講演のコーディネートをしたり、会員がまず参加して勉強しながら自分たちに何ができるのか考えました。
事務局長の畠山とき子さんは、その中で「医療懇談会や講演に参加するのは高齢者ばかり。長時間座って話を聞いていて私たちも疲れたし、おじいさんやおばあさんは家に帰って若い人たちに今日の話を伝えるのだろうか」と疑問を持ち、自分たちの番になったときに簡単な体操をして、方言で話し始めたところ、参加者が喜んでくれたそうです。そのときの体験をヒントに、伝えたいことを15分程度にまとめた寸劇仕立ての出前講座をスタート。
千厩以外の地域も回って、県立病院の状況や適正受診について講演していた矢先に東日本大震災が起こりました。施設が使えなくなった大東病院からの転院のほか、隣接する沿岸部からもたくさんの患者が運ばれ、後方支援の拠点となった千厩病院。全国から集まってくれる応援医師を見て「住民も何かできることを」と炊き出し活動を行い、現在も「朝顔ランチ」として月に1回程度、手料理やお弁当などを病院に届けており、ランチの情報に興味を持って千厩病院に来た研修医もいたそうです。
最近では地域医療に対する関心が高まり、FMあすもで地域医療のコーナーができたり、市や病院が開催する懇談会も以前より建設的な場になったそうです。
「以前は病院と地域の懇談の場を設けても、苦情や要望が多く、感謝が足りなかった。病院の皆さんは、患者さんが良くなって帰ってもらえるよう日夜頑張っています。病院だけが頑張るのではなく、住民側も医師が来たいと思える地域をつくっていかなければならない。それは必ずしもボランティアをするということではなく、診療時間を守ったり感謝の気持ちを伝えたり、それぞれができることをすることが何よりも大事だと思います」と遠藤さんと畠山さんは話されていました。
「朝顔ランチ」を食べる千厩病院の先生たち