※2024年5月末に解散しています。
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9月に「小さな親切実行賞」を受賞
(賞状を持っているのが会長の宇津野さん)
(idea 平成29年11月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆会 長:宇津野 利子(としこ) さん
◆連 絡 先:〒029-3101 一関市花泉町花泉字馬場30
◆電 話:0191-82-2164
「あの時もう少し先生たちに寄り添ってあげていれば…」そう後悔の念をにじませるのは「花泉の地域医療をサポートする会」の発起人の1人であり、3代目会長の宇津野利子さん。きっかけとなったのは花泉唯一の公立病院(現・花泉地域診療センター)の無床化問題でした。
花泉地域診療センターは昭和32年に「岩手県立花泉病院」として66病床で移転新築されました。その後、伝染病床の併設、廃止による病床の増減を経て、平成18年に磐井病院の附属病院となりますが(岩手県立磐井病院附属花泉地域診療センター)、19病床に激減。平成21年には岩手県全体で県立病院の再編・見直し等が検討され、病床の休止という事態に追い込まれます。
このことを受け、平成22年12月に立ち上がったのが同会。この年の4月から、診療センターは民間運営で19床を復活させていたこともあり「病床を守りたい」という5人の町内有志の呼びかけに賛同した地元住民たちによる結成でした。しかし民間運営は2年で幕を閉じ、平成24年4月、診療センターは「岩手県立磐井病院附属花泉地域診療センター」として県立に復帰するとともに、またも無床化となってしまったのです。
宇津野さんの後悔となっている出来事があったのはこの頃でした。県立復帰後の診療センターにはたった1人の医師しか配属されず、心身ともに無理がたたり、短期間で離職されたそうです。その時に強く感じたのが、病院や医師がいるということが「当り前じゃない」ということ。「感謝しなければいけない存在のお医者さんに、負担がかかりすぎているのではないかー」この経験から医師とのコミュニケーションの大切さを感じ、「お医者さんが患者たちにあたたかく接することができるように、精神的な余裕を創り出せるようなサポート」を目指すようになったとか。
「医師は責任感と共に孤独を抱えがち。地域との交流の機会を持つことで、精神的な部分の負担を軽減することができるのでは」「医師と患者は尊敬し合うことで病気が軽くなるのでは」という想いから、同会では花壇整備や懇談会、研修会等の機会を通し、医師や病院関係者との交流の機会を創り出そうとしています。
市内には同様に病院をサポートする市民団体は多数ありますが、同会の特徴は特定の病院ではなく、「花泉の地域医療」を対象にしていること。活動目的には「花泉地域の医療を守り、初期診療、入院、看取り医療などを育てるための取り組みを行う」とあり、花泉地域の医療体制を育てていく=充実させていくためのお手伝いは、診療センターに限らず、地域内の個人病院も対象に入っています。「個人病院もお医者さん不足。お医者さんの養成が深刻な問題ではないでしょうか。若い人たちも一緒になって感心を持ち、行動しやすい環境づくりを考えていかなければいけない」また、「サポートする会の会員は年々増えていますが、活動を継続させることが大事なので、その責任を痛感しています」と宇津野さんは語ります。
「病院は‘赤字だからやめる’というようなものであってはならない」という共通の想いの下、今後も同会の活動は続いていきます。
花壇の整備活動の様子