※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
「永年閣舞初め公演」での集合写真(令和7年1月)
(idea 2025年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
弘化年間(江戸時代)に伝承されたと言われる「達古袋神楽」を継承するため、現在は6名(うち女性3名)で活動中。県内外の奉納行事やイベント出演等にも対応し、神楽の継承に力を入れている。
住所:一関市萩荘字上要害17-1
TEL:0191-29-2674(代表:小岩)
平成28年7月、一関市の無形民俗文化財に指定された「達古袋神楽」。明治2年に庭元の家が火災に遭い、記録が消滅したため詳細は不明ですが、文明10年、八幡神社(一関市萩荘)に八幡山常学院の修験相模坊が法印神楽※1を奉納したのが始まりだと伝えられています。
今日までに伝えられている達古袋神楽は、幕末から明治期に法印神楽を基に、山伏神楽※2や他芸能の影響を受けて発展した「南部神楽」※3です。明治5年以降の継承は、歴代継承者名簿で確認することができます。
達古袋神楽は、地元の達古袋地区(一関市萩荘)の住民たちを中心に継承され、多いときは10名以上の継承者がいましたが、少子高齢化や地域外への若者の流出などの影響から、現在は6名で活動中。16代目の代表を務める小岩恭一さんは、「一般に神楽は女人禁制だが、今の達古袋神楽が残っているのは女性たちのおかげ。戦時中、男性が出兵したのに伴い、神楽の継承が危ぶまれたそうだが、4人の女性が急場を凌ぎ繋いだ」と話します。歴代継承者名簿を拝見すると、確かに戦後以降の継承者の中には女性の名前があり、達古袋神楽の発展が窺えました。
※1 旧仙台藩に伝承された神楽。
※2 旧盛岡藩の早池峰山を中心に伝承された神楽。
※3 「式舞」「劇舞」に分けられ、式舞は祭礼などで最初に奉納される儀式・儀礼的な舞、劇舞は神話や地域の伝説・物語などを脚色し演劇性の高い舞のこと。主に岩手県南部から宮城県北部に伝わる。
毎年4月には、その年の豊作を願う春季例大祭が八幡神社で執り行われるため、神社への奉納ほか、神輿巡行と合わせて氏子の7集落(広面、宇津野、長倉、栃倉、清水沢、上要害、松原)で鶏舞※4などを披露します。
地元だけでなく、「岩手県南・宮城県北神楽大会(一関市厳美町)」や「永年閣南部神楽公演(宮城県栗原市)」、「日光東照宮神楽奉納(栃木県日光市)」等の各種大会やイベントなどにも参加し、積極的に活動しています。
昭和47年からは、達古袋神楽の継承者らを中心に、達古袋小学校の運動会で披露する鶏舞を子どもたちへ指導していましたが、達古袋小学校が厳美小学校と統合(平成25年3月)したことを機に、披露する場を失ってしまいます。達古袋地区の子どもたちへの指導は続いたものの、厳美小学校は学校全体で鶏舞の継承に取り組んでおらず、その一方で、生徒の進学先である厳美中学校は鶏舞の継承に取り組んでいました。「小学校のときから地域の伝統芸能に触れてもらいたい」と、当時の保護者らが鶏舞の活動の導入に向けて話し合いを重ねましたが、導入には至らず、「達古袋子ども鶏舞保存会」を発足(平成25年4月)することに。同会には小岩さんらも指導で携わりましたが、取り組みを維持することが難しく、現在は休止中です。
継承者の一人である阿部和枝さんは、「子どもが鶏舞に励む姿を見たのをきっかけに達古袋神楽へ参加しました。保存会の活動は休止中ですが、今の子どもたちを含め、心のどこかで『あのとき鶏舞踊ったね』と思い出してくれると嬉しいです」と微笑みます。
※4 式舞の最初に舞われ、神楽団体によっては御神楽とも呼ぶ。御神楽または鶏舞は、地域によって特徴があり一様ではない。
南部神楽は美しい女舞や勇ましく力強い荒舞※5などが場面によって披露されます。達古袋神楽の舞は足さばきが軽く巧みなこと、装束が全体的に鮮やかで、特に水色の袴に三本の白線が入っていることが特徴だと言います。神楽は「舞手」に注目がいきますが、「胴とり」※6は神楽歌を歌いながら神楽全体を取り仕切り(進行役)、「手平鉦」は胴とりの打ち鳴らすリズムに合わせ、両手ですり合わせたり打ち合わせて拍子をとるなど、チームとしての連携も大切です。小岩さんは、「地域の民俗芸能は生活そのもの。継承者が少しずつ減るのは寂しいが、地域の宝である神楽をいろんなところで見せることができるのは何よりも嬉しい。興味とやる気があれば、達古袋地区以外の人にも神楽を教えることができる」と力を込めて話します。
祭礼としての神楽や、地域の伝説・物語等を神楽で表現するなど、神楽は多くの場面で人々の生活を豊かにしてきました。これからも人と人を結び、祖先たちが紡いできた「達古袋神楽」を後世へ繋いでいきます。
※5 荒面をつけて舞うこと。荒面は、口を大きく開いた「開口」と口を閉じた「くいしめ」の二種がある。
※6 南部神楽では、太鼓のことを「胴」と呼び、胴を打つ人を「胴とり」という
開館時間
9時~18時
休館日
祝祭日
年末年始
(12月29日から翌年1月3日まで)
いちのせき市民活動センター
〒021-0881
岩手県一関市大町4-29
なのはなプラザ4F
TEL:0191-26-6400
FAX:0191-26-6415
Email:center-i@tempo.ocn.ne.jp
せんまやサテライト
〒029-0803
岩手県一関市千厩町千厩字町149
TEL:0191-48-3735
FAX:0191-48-3736
X(旧:Twitter)公式アカウント
Facebook公式アカウント
LINE公式アカウント
駐車場のご案内
なのはなプラザ4Fのいちのせき市民活動センターをご利用されるお客様は、以下の有料駐車場に車を停めた場合、最大3時間まで料金が無料になります。
当センターご利用の際に、駐車場無料券を発行しますので、詳しくは窓口までお問合せください。