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新年会・祝年会・厄払いの様子(平成22年)
(idea 2021年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
一関地域は「一関地区」と「三関地区」に分けられ、一関3区は一関地区に位置。部会はなく、区長、副区長、会計、監査、民生児童委員、保健推進委員、PTAなどで事業を行う。8班あるうち、3つの班はマンション管理組合で組織されている。
一関文化センターや一関図書館、病院のほか、企業等も多く立地し、地域住民以外にも多くの人が行き交う一関3区。元々は42世帯の小さな区でしたが、12年ほど前から分譲賃貸マンションが建ち始めると、保育園や学校等が徒歩圏内にあり、病院等への利便性も高いことから、移住者が増加し、現在では216もの世帯が暮らします。
「子どもたちはいつも『区長さん、おはようございます!』と元気に声をかけてくれる」と嬉しそうに話すのは同区区長の吉川眞理子さん。区長だった父親の背中を見て育ったという吉川さんは「最初は父のように区長を務めることができるか不安だったが、住民みんなが一緒になって協力してくれるので、ここまで区長を務めることができた」と語ります。古くから住み続けている住民よりも新たに移り住んできた住民の方が多く、マンションやアパートに入居する人は出入りもあるため、「区内の行事が住民に伝わっているのか、ここに住んで良かったと思ってもらえているか、不安はある」と語りながらも、新旧住民がつながるきっかけづくりを大切にしている同区の活動について伺いました。
不特定多数の人が通行し、人通りの多い同区は、ゴミのポイ捨てや不法投棄などに悩まされていました。春・秋の一斉清掃には取り組んでいたものの、参加者が少ないこともまた悩みの一つ……。そこで8年前から始めたのが「協力への感謝」の見える化です。春は助六寿司、秋はお菓子を参加者全員に配布します。
「『一斉清掃』と思うと、どこか憂鬱な気分になりがちですが、『地域の子どもたちの顔を知る機会』と捉え、子供会に参加を呼びかけました。子どもたちは保護者同伴で参加するため、結果的に若
い世代が一斉清掃へ参加するようになった」と効果を実感。多い時では約60人が参加したことも。吉川さんは「おせっかいかもしれないが、一斉清掃はお互いの顔を知る機会にもつながる良い機会にもなっている」と一斉清掃への参加者増が住民同士の交流へつながったことに笑みをこぼします。
5年前からは、さらなる衛生環境向上を目指し、各世帯、事業所に番号を割り当て、年度初めにその番号を記したゴミ袋を見本も兼ねて配布。ゴミ集積所を利用する際には必ず当該番号を記載してもらうルールにしたところ、ゴミ分別マナーが向上し、収集されずに集積所に残るゴミも減ったのだとか。
また、新しく引っ越してきた住民にも同様に、ゴミ袋配布の名目で直接顔を合わせて挨拶をすることができ、新天地に不安を感じる住民にとっても良い機会となっています。
8月末に開催される同区のメイン行事「夕涼み会」にも住民同士の交流をつくるための工夫が。子どもたちが楽しめるよう花火やスイカ割りなどの企画のほか、焼きそばや焼き鳥、かき氷コーナー等もありますが、それらの担当は「子育て世代」「中高年世代」といった世代ごとに役割を分担。そのねらいについて「各世代に分けることにより、子育ての悩みや趣味の話など気を遣わずに会話でき、こんな人が同じ区にいたんだと知るきっかけになり、区の行事にも参加しやすくなる」と、吉川さんは話します。
さらにこの夕涼み会は、防災訓練も抱き合わせで実施。東日本大震災時、オール電化のマンション等が多い同区では、停電で生活に支障をきたした住民が多かったのだとか。その教訓を忘れないために、水道が使えない時にラップを使って握るおにぎりや、炊飯用高密度ポリエチレン袋で作るカレーライスなど、災害時に限られたもので対応できる術を子どもたちに教えます。
「最初はお母さんが子どもにおにぎりの握り方を教えるが、その子が下の子に握り方を教える。そうやって緊急時の対応を大きい子から小さい子へ教える姿が頼もしく、この積み重ねが自分自身の備えにもなり、地域で子どもを育てることにもつながっている」と、防災の側面だけでなく、子どもたちの成長につながるという側面も。
また、母親たちにも、ご飯を盛る人、握り方を教える人などの役割を分担することで、母親同士の交流、区の子どもたちの顔を覚えるきっかけに。
新住民と従来住民、そして新住民同士のつながりをつくることで、互いに暮らしやすい地域を目指します。
よしかわ まりこ
吉川 眞理子さん
区長を9期18年務め、民生児童委員も兼務。「区長は地域の御用聞き」というお父さんからの言葉を胸に、暮らしやすい地域づくりを目指します。
A.笑顔溢れる地域づくり
かが くにひこ
加賀 邦彦さん
料亭「梅茂登」を営む加賀さん。長く副区長として区を牽引し、現在は監査を務めながら次世代の担い手育成に尽力しています。
A.安全安心な街づくり
「犯罪が起きる前の予防策が大切」と、区内の8か所(街路樹の幹など)に防犯カメラを設置。住民の生活を見守ります。
コロナ禍で中止する地域も多い中、同区ではソーシャルディスタンスを意識しながら花壇整備を実施。子どもたちも参加!
夕涼み会には同区の住民だけでなく、夏休みで遊びに来ていた孫や近隣住民も多く集まり、賑わいを見せます。
子どもたちが防災について考えることができる貴重な機会。停電時を意識し、会場は電気をオフに。真剣な表情で学びます。