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中里地区民運動会での集合写真(令和元年)
(idea 2023年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
行政区は「中里10区」。近隣にはJAいわて平泉一関中央店、イオンスーパーセンター
一関店などがあり、中里地区内では世帯数が一番少ない23戸83人が暮らす。区長、副区長、会計、監事、東班班長、西班班長(2班体制)で構成される。
かつて中里10民区は、「上大林」「下大林」の小字で構成され、50戸150人ほどが暮らしていました。磐井川沿いの平坦な土地だったため、度重なる水害に悩まされていましたが、昭和47年、建設省(当時)から発表された一関遊水地計画の素案で、下大林は第一遊水地の整備区域内=移転対象となりました。昭和51年頃から移転が開始され、同民区に残ったのはわずか24戸(現在は23戸)。中里地区内の最少戸数となりました。
「当民区だけでなく、この地域一帯は水害常襲地帯だったため、各家には舟が常備されていたが、治水対策が進み、舟を所有している家は少なくなった。また、水害を経験した人たちも少なくなっています。今の姿だけを見れば、『安全安心な地域』『暮らしやすい地域』と思えるかもしれないが、当民区では防災意識を低下させないために、水害だけでなく、いつくるか分からない地震や火事など、災害への防災意識を一人ひとりが持つ機会を作っています」と、区長の小野寺公夫さんは語ります。
備えの大切さを伝える取り組みとして、一斉清掃の際に発電機の点検を実施し、令和2年度には民区独自の防災マニュアルを作成。豪雨など、避難指示が発令される可能性がある状況下で取るべき行動や、発令後の流れ、対応などが明記されており、いざという時に備えています。
「この民区は野球とお酒が好きな人たちが集まっている」と笑う公夫さん。昭和54年、上大林に住む野球愛好家たちを中心に「上大林倶楽部」が結成されますが、メンバーの高齢化などもあり、現在は近隣地域からの加入も受け入れています。
それでも、昨年行われた「第52回県早起き野球大会一関市予選」では見事に優勝し、県大会へ進むなど、民区の壁を越えて活躍しています。
さらに、中里地区民運動会(コロナ禍で3年中止)では、中里地区内最少戸数でありながらも総合優勝10連覇という快挙を成し遂げるなど、団結力の強さには定評が。
副区長の佐藤和弘さんは、「戸数が少ないので人集めは苦労するが、声をかければ若者たちも参加してくれる。そうした機会に若者と顔見知りになり、そこから自然派生的に『暑いから飲もう』と個人宅に集まって『生ビール大会』をしたこともあった。現在は生ビール大会はしていないが、何か行事をしたときの打ち上げにはお酒を用意し、若者との『飲みにケーション』を大切にしている」と、若者の巻き込み方の秘訣を語り、「我々のような上の世代が逐一教えなくても、若者たちはお酒の場で学び、それがきっかけで民区行事に関わってくれる。コンパクトな民区だからこそできることかもしれない」と続けます。
1月に新年会と年祝い、祈祷を兼ねた「御日待(おひまち)」、8月に「サマーフェスティバル(コロナ禍で自粛中)」、春・秋の一斉清掃などの事業を行う同民区。加えて、同民区近隣にはJAいわて平泉一関中央店やイオンスーパーセンター一関店などの施設が立ち並び、車や人通りが多いことから、5・7・9月に施設周辺の草刈りをほぼ全戸参加で実施し、住民だけでなく、そこを訪れる人も気持ち良く過ごせるよう環境整備にも力を入れています。
公夫さんは、「車や人通りが多いため、ゴミのポイ捨てがある。捨てられているゴミは記録として撮影後、こちらで処分しているが、住民たちが気持ち良く生活ができるように注意喚起はしていきたいね」と苦言を呈しながらも今後の取り組みについて考えます。
25年ほど前までは40歳未満が加入する「若夫婦会」があり、積み立て旅行をしていたことも。「大林長寿クラブ」会長の小野寺光男さんは、「昔は各戸に若夫婦がいて、若夫婦のOB会というのもあった。若夫婦会→OB会→老人クラブという流れが当たり前だったが、今では老人クラブへの加入者(60歳以上)だけが増えている」と民区内の高齢化に悩みながらも「いきいき教室は全戸からの参加があり、参加率がとても良い」と話します。
幾度とない水害を乗り越え、治水対策で戸数は半減したものの、住民同士の交流が絶えないよう各種事業で築いてきた関係性を、これからもコンパクトな民区だからこそできるカタチでつなぎ続けます。
おのでら きみお
小野寺 公夫さん
前区長が体調不良により任期途中で辞任したことを受け、区長に(8年目)。陸前高田市出身。中里まちづくり協議会の副会長も務める。
A.全員参加で地域づくりを!
おのでら みつお
小野寺 光男さん
令和5年度に会長就任。コロナ禍以降、同クラブの活動は自粛中ですが、「研修旅行が楽しみ」と話します。生まれも育ちも上大林。
A.まとまりの良い所です
ほぼ全戸から参加する「御日待」。集会所に集まり、年祝いも兼ねて御祈祷していただきます(写真は平成29年)。
住民だけでなく、お盆に帰省する人たちも楽しむ「サマーフェスティバル」。トラックの荷台が特設ステージです。
みんなが快適に通行できるよう、民区独自事業として年3回実施している草刈り。綺麗な沿道は同民区の努力の賜物です。
積雪量が多かった3年前から、民区内を通る道路の雪かきをする有志が自然派生的に集結。若者も活躍しています。