※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
自治会役員が自治会館前にパイプで組んだやぐら(令和6年の盆踊り大会にて)
(idea 2024年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
行政区は台東区。旭町(一部)、字機織山(一部)、千代田町(一部)、南町(一部)、真柴字千刈田(一部)の260世帯564人(23班体制)が暮らす。総務部、文体部、衛生部、防災部の4部会制で自治会運営を行う。
一関市台町の東側に位置することから名付けられたと言われる「台東区」は、カスリン・アイオン台風の水害復興住宅建設や、北上製紙株式会社の創業(昭和23年/現在は閉業)によって周辺の団地造成が進んだことなど、世帯数の増加を理由に、昭和32年に「一関6区(当時)」から分区して誕生した行政区です。自治会活動を行う「台東民区新興会」は、「台東区」の誕生と同時に発足し、今年で67年が経過しました。
同会の発足時から継続して発行している「台東民区だより」は、地域の情報を届けながらコミュニケーションツールとしても活用しています。毎月第2日曜日には、その月にあった地域の動きや相談事を話し合う役員会議(会長・副会長・各部役員が出席)を開くほか、お祝い金制度やお見舞金制度も設けており、同会は昔から住民との密接な関係を築いてきました。
東北ヘアーモード学院、一関藤保育園、一関警察署南駐在所や各種企業が立地しているほか、一ノ関駅から徒歩10分圏内に位置することから地域住民以外の人も多く行き交う同エリア。さらに、令和2年まで団地造成が行われ、近隣に一関市立南小学校や一関市立一関中学校があるなどの理由から子育て世代が多く入居してきました。
その一方で、「元々住んでいた人たちが、高齢者一人暮らしや老夫婦のみ世帯になる例も増えています。また、2人体制の副会長が1人欠けている現状など、役の担い手にも苦労しています」と、会長の菊地慶夫さんは、今後の自治会運営に不安を見せます。
同会では、盆踊り大会と運動会を隔年で30年以上続けていましたが、「隔年で行うのは大変」という声があがり、10年ほど前、事業の見直しによって運動会は終止符を打ちました。菊地さんは、「運動会がなくなったことは寂しいですが、力を注ぐ事業を一本にすることで負担が減りました」と話し、「より一層、盆踊り大会で地域を盛り上げていきたい」と前向きな姿勢を見せます。
同会役員とPTA、青年会、住民有志などで構成する「盆踊り実行委員会」は、毎年開催となった盆踊り大会で、くじ引き等の企画や飲食を充実させたりと、老若男女問わず楽しむことができるよう工夫を凝らしています。また、「かき氷」は小学校PTA、「焼き鳥」は中学校PTAに役割を持たせ、若い世代が活躍する場にもなっています。
今年の盆踊り大会では、コロナ禍を経て4年ぶりに「子ども神輿」の復活を目指していましたが、主体的に担ってきたPTAの間で引継ぎが上手くいかなかったため、復活は叶いませんでした。今後については同会役員とPTAで話し合っていくそうです。
菊地さんは、「500人以上が住む地域ではあるものの、行事に参加する人は毎回同じで、子どもの人数も年々減少しています」と悩みながらも、「人口が多いからこそ盆踊りのような交流の機会は大切にしています。新しく団地に入居してきた若い世代も、地域への関わり方には不安を感じると思いますが、まずは明るく、楽しい地域だということを、行事を通して知っていただきたいです」と話します。
同会の位置するエリアには、かつて一関を治めたと言われる「留守政景」の墓があります。「留守政景ゆかりの地」として全国から人が訪れていたため、住民有志で墓周辺の環境整備を行っていましたが、高齢化に伴い作業が難しくなったことに加え、標柱が朽ちたこともあり、近年は墓を訪れる人が少なかったとか。
こうした状況から「単独自治会では解決が難しい」と判断し、一関南地域エリアの10行政区※1に協力を呼びかけ、「一関地区まちづくり推進協議会」が独自に実施している「元気な地域づくり交付金事業※2」に申請すると、令和5年10月に採択が決定。同交付金を活用し、同年12月に案内板を新設しました。菊地さんは、「住民の中にはこのお墓の存在を知らない人も多いかもしれないため、地域の宝だということを普及していきたいです」と今後の目標を話します。
発足当初は課題になるとは思わなかった問題が顕著になってはいるものの、発足当初から大事にしてきた「交流」を軸に、これからの自治会活動の在り方を見据えていきます。
※1 一関5区、一関6区、一関7区、一関8区、一関9区、一関19区、一関20区、高崎区、釣親区、台東区
※2 地域づくり計画に基づいた地域課題の解決に取り組む団体を応援する交付金事業。
きくち よしお
菊地 慶夫さん
副会長を4期7年経て現職に(4期8年目)。約半日かけて23人の班長宅に届ける広報の配布は、住民との大事なコミュニケーションの機会だと言います。
A.自然が豊富!
あべ のりお
阿部 典男さん
総務副部長を経て現職に(5期10年目)。総会資料の作成を依頼されたことがきっかけで、自治会活動に参加することに。
A.助け合い
毎年6月に一関中学校の通学路の草刈りを実施。今年は23人の大人と7人の子どもが参加し、通学路を綺麗にしました。
一関地区まちづくり推進協議会が協力し「留守政景の墓」の環境整備を行う有志を募集したところ、地域内外の7名が参加。
「留守政景の墓」の案内板を設置するため、国土交通省(東京都)に申請を行いました。地域にとって大切な宝です。
今年の盆踊り大会は、「須川音頭」と「くるくる踊り」に未就学児~80代の120人が参加し、「熱い夜」になりました。