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水口公園に芝桜を植え替えしたときの様子(令和2年)
(idea 2023年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
旧真滝村は狐禅寺、滝沢、真柴、三関に分けられ、水口民区は滝沢(行政区は「水口区」)の南東に位置する。86世帯240人(7班体制)が暮らし、主に、区長、総務部長、環境衛生部長、文化体育部長、会計、各班長が中心となり、民区内の事業を行う。
戦後間もない昭和22年、23年と一関市(当時)を襲ったカスリン・アイオン台風。多くの人が犠牲となり、住宅被害(流出・半壊・全壊)など、大きな爪痕を残していきました。
住居を失った被災者のために、水害復興住宅が各地で造られ、水口民区が位置するエリアもその建設地として開拓されました。災害で大切な人や家を失くし、希望が見えない状況下で、みんなで力を合わせて生活を支えていこうと、昭和25年頃、避難で移り住んでいた約60世帯で結成されたのが「水口民区(≒自治会)」です。
区長の菅原勝さんは、「私はアイオン台風が襲来した年に生まれ、復興と民区の発展とともに年を重ねてきました。今では道路が整備され、昭和50年代からは国道284号線を中心に宅地造成が進み、住みやすい環境となりました」と話します。
赤松、桜、カタクリ、芝桜など、四季を感じる木々や草花に囲まれた「水口公園」は、一関市から公園整備事業を受託し、環境衛生部長を中心に、公園内清掃、草刈り、樹木の剪定作業など、民区全体で公園の維持・管理に取り組んでいます。同民区の憩いの場とも言える場所ですが、特に自慢と言えるのが同公園内に植えられている108本の桜です。かつて同民区内にあった岩手県立一関高等学校(当時)定時制真滝分校の生徒が最初の1本を植えてから、少しずつ本数を増やしていき、最初の桜を植えてから76年経った今でも立派に咲き誇ります。
この桜の下で、食事を交えた「お花見会」を行っていた時期(近年は市内の施設等を利用)もある同民区ですが、コロナ禍でお花見会を3年ほど中止しました。しかし、「せっかく綺麗に咲いている桜を住民に見てもらいたい」「コロナ禍で外出の機会が減り、公園に来る機会も減ったので、公園に来るきっかけづくりをしたい」などの声が民区役員を中心にあがりはじめます。
そこで令和4年4月、「お花見会」の代替として、同公園にて民区住民に団子を配布する、その名も「花より団子」を開催。菅原さんは、「子どもからお年寄りまでが、同公園を訪れるきっかけづくりができて良かった。桜だけでなく、他の草花もきっと喜んでいる」と微笑みます。
同年10月、「花より団子」の反響を受け、公園内でナスやりんごなどを住民へ配る「無料朝市」と題した企画を開催。これは新しいイベントとして企画・準備を進めていた「公園まつり」が、新型コロナウイルス感染者の増加で中止になったための代替企画であり、感染対策として、班ごとに時間差で公園に来てもらうように調整しての開催でした。総務部長の赤松昌俊さんは、「自分たちが住むところには、公園があり、その公園が綺麗に管理されていることを伝えられる良い機会となった」と振り返ります。
そのほか、一関市真滝幼稚園の園庭を借りて開催する夏祭り、滝沢地区民運動会への参加、新年会など、年間を通して様々な行事を行い、住民同士の交流を生みだし続けています。
同民区では、平成29年に発足した「水口ひまわりの会」が運営する「通所型サービスB(通いの場)」の取り組みにも協力しています。同会は、水口民区集会所を拠点に、毎週水曜日にいきいき百歳体操をはじめ、筋トレ、脳トレなどを続け、令和5年3月に300回目を迎えました。同会会長の小野寺明さんは、「『継続は力なり』を合言葉に、コロナ禍になってからも時間を短縮するなどの工夫をして活動を続けてきた。会員が100歳を元気に迎えられるようこれからも活動は続けていきたい」と今後の意欲を語ります。
そんな同民区ですが、結成された当時より世帯数は増加したものの、雇用の延長や生活環境などの変化から、役の担い手確保には苦労している現実が。
少しでも若いときから民区活動に関わってもらうため、令和5年度の同民区内PTA総会の中で、今年度の民区の事業や役員の担い手等について話をする機会を設けてもらった菅原さん。「保護者世代は現役で働いているため、なかなか民区事業までは時間を割くことは難しいかもしれないが、少しでも民区に目を向けてもらいたい。そのためにも地道に話をしていく機会はつくっていきたい」と前向きな姿勢を見せ、時代の変化に対応しながらの民区運営を続けます。
すがわら まさる
菅原 勝さん
6期11年目。同民区で生まれ育った後、就職で関東へ。Uターン後は、関が丘に住み、同民区に戻ってきました。「滝沢地域振興協議会」の会長も務めます。
A.安心・安全で明るく住み良いふるさとづくり
あかまつ まさとし
赤松 昌俊さん
6期11年目。会社に勤めていた頃は、転勤が多く、県内外を移動していた赤松さん。民区運営には18年携わり、区長とともに民区運営を支えています。
A.桜 シバサクラ 彼岸花 公園は見物
集会所や市内の施設等で行う新年会は、参加者が準備してきた出し物などの披露があります(写真は平成31年)。
一関夏まつりに合わせて開催される同民区の夏祭りは、多世代が集まる貴重なイベント。今年こそは開催したい思いです。
水口公園を会場に令和4年10月に開催した無料朝市には、64名が参加しました。次の企画を楽しみにしています。
活動300回記念事業を開催した時の様子(令和5年3月)。60~90代の25人ほどが会員となり、週1回、活発に活動中!