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令和元年度に初開催した「世代間交流事業」でのひとこま。約50名が参加。
(idea 2020年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
真滝地域は「狐禅寺地区」「滝沢地区」「真柴地区」に分けられ、真滝13区は真柴地区に位置。世帯数は443、班数は45にも及ぶマンモス行政区。
一関市立一関中学校や真柴工業団地、福祉事業所などが複数点在する真滝13区は、元々、山や水田が広がる農村地域で、住民の多くが兼業農家でした。しかし、昭和35年頃から宅地化が進められ、世帯数は60年で6倍に。古くからの兼業農家と新興住宅地住民とが混在する地域となりました。
「人口が多いから何も困っていないと思われるかもしれないが、人がいるからこその悩みや課題がある。住民同士の交流や防災、高齢者の見回りなどの対応策をこれから真剣に考えていかなければいけない」と話すのは、区長の橋本二男さんです。
人口が多いため、子どもの数が多いように見えますが、割合としては他行政区と大差はなく、高齢化率の割合も同様であるため、当然ながら一人暮らしや高齢者のみ世帯の数は多数。
認知症の方が行方不明になり、民生児童委員や保健推進委員と一緒に捜索にあたったこともあるという橋本さんは、「今後さらにこういうことは増え、行政機関だけでは手に負えないことが発生することが予想される。その時になってからでは遅く、今から民区としての支援を考えたい」と話します。
そんなマンモス行政区ならではの悩みや、力を入れている活動などについて、橋本さんと副区長の齋藤文朗さんに伺いました。
同民区では「真滝13区自主防災会」を組織していますが、同会の一大事業が毎年11月頃に開催する「防災を考える会」。防災倉庫に常備された発電機や石油ストーブの動作確認などを行います。石油ストーブの動作確認の際には、実際に石油ストーブでお湯を沸かし、非常食の試食をするという体験も。
「防災用具は日頃からのメンテナンスが大事。また、道具があっても使い方などが分からないと意味がないため、年1回のこの行事は改めて防災知識を見直すきっかけになっている」と橋本さんは語ります。
また、防災用具の点検同様に力を入れているのが「安否確認」です。45もの班がある同民区では、いざというときに近隣同士が助け合って避難できるよう、どんな人が自分の班に住んでいるのか、班長が自身の班内を確認する機会にもしています。班長は「防災を考える会」の開催前日までに各戸を回り、安否確認したことを自主防担当者に報告をするというシステムですが、残念ながら未だ全ての班が報告をあげてきたことはないとのこと。
齋藤さんは「初めて行ったときは全体の30%しか報告がなかったが、ここ最近は50%台まで伸びた。昨年は地域内で土砂崩れや床下浸水などが発生しており、住民には常に危機意識を持ってほしいという意味で安否確認をしている。自分の班にどんな人が住んでいて、高齢者しかいない家、足が不自由な人がいる家がどこにあるかなどの情報を持っているだけでもいざという時の備えになる」と話します。
この「安否確認」は住民同士のコミュニケーシにもつながっているということから、これからも諦めず、安否確認達成率100%を目指すと2人は意気込みます。
6月頃に田植えの慰労会という意味で、30年以上前から続けてきた「敬老芸能まつり」は、70歳以上のお年寄りを招待し、地域内のサークルや個人、ダンス教室に通う子どもたちに芸を披露してもらってきました。しかし年々参加者が減少。このままでは若い世代とお年寄りが交流を持てないと感じた役員たちは、長年親しんだ「敬老芸能まつり」の名称変更を決意します。
そして昨年、気軽に誰でも参加できるようにと、「世代間交流事業」に改称し、小岩井農場への移動研修を実施。多くの参加者があったことから、下半期も何かやろうという声があがり、12月にはミニ門松作りを開催しました。「門松作りで初めてノコギリを使ったという子どももいたので、良い経験になったと思う」と笑顔を見せる橋本さん。
防災意識をより高め、子どもや高齢者に優しい民区を目指したいという2人は「我々の世代で土台をしっかり作り、次の世代へつなぐため、お節介役として口だけでなくアクションにつなげていきたい」と今後の活動への意欲も語ってくださいました。
はしもとふたお
橋本二男さん
副区長や自主防災会の会長などを務め、現在は区長として2期4年目。これからも民区のお節介役として民区運営に励みます。
さいとうぶんろう
齋藤文朗さん
副区長は2期4年目。区長と同じく、自主防災会の副会長として、自主防災活動にも大きく貢献しています。
「世代間交流事業」で挑戦した門松作り。講師はもちろん材料も民区内で調達。売り物と間違えられる出来だったとか。
真滝13区自主防災会が発行する「防災ニュース」は年に最低1回発行、回覧されます。事業の様子を写真付きで詳細に紹介。
子どもたちの通学路や住民が普段から通る道を重点的に草刈り。防犯対策にもつながる草刈りには、毎年200人ほどが参加。
月1回の元気いきいき教室や地元の保育園との交流事業、出前講座、館外研修など、精力的に活動しています。