昨年の滝沢地区民大運動会での八区チーム
(idea 2019年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
JR大船渡線真滝駅の東に位置し、滝沢小学校、滝沢市民センターなど人が集まる施設が集積している同自治会。およそ150世帯440人が暮らしており、3つの専門部(教育文化部、社会福祉部、体育厚生部)や自主防災会などを組織しています。
今回お話を伺ったのは真滝八区自治会(以下「八区」)で共に2期3年目を迎えた会長の渡辺一男さん、副会長の小野寺司さんのお二方です。
地域の特徴として「協力的な方が多い」と話す渡辺さん。例えば平成6年に完成、13年に増築し、八区の活動拠点となっている真滝八区ふれあいセンターは、その建設費用の多くを住民の協力で賄ったのだとか。さらに清掃当番も各班の輪番制とし、中学生も年2回の奉仕活動という形でそれぞれ協力しています。
また、新年会も第2部はアルコールも入る比較的一般的なスタイルですが、第1部には餅つきとみずき団子づくりで子ども達も参加します。PTAと協力し、新年会と子ども会の冬休み反省会の日程を合わせる工夫をしたことで、新年会が世代間交流の場にもなっています。
「挨拶などを通じて子どもたちを見守り大事にしていく地域にしたい」と語るのは小野寺さん。少子化が進む中、滝沢の中では比較的子どもの数が多い八区は、エリア内に滝沢小学校を擁していることもあり、前述の新年会以外にも、日頃から毎週木曜日の放課後子ども教室や、今年4月から新設された滝沢児童クラブなどとも連携しながら、見守り、健全育成を図っています。
また、平成20年に結成された自主防災会にも力を入れており、総合防災セミナーを毎年開催。内容も消防署の方と相談しながらできるだけ実践的にアレンジし、3年に1度はAED訓練も取り入れています。同時に行われる炊き出し訓練でも具や海苔がない状況を想定しシンプルな塩むすびにするなど、「いざ」に備える気持ちを喚起する工夫が施されています。
「東日本大震災の時、当時の会長ら八区の有志が地域から支援物資を集めてすぐに陸前高田に届けに走りました。自分が行ったわけではないが強く印象に残っています」と渡辺さんが語るあの日のエピソードは、八区にある老人ホームとの合同防災訓練や、滝沢地域振興協議会(地域協働体)の自主防災部会との連携など、広がりを見せる現在の自主防災会の動きと、何か1本の線で繋がっているようにも感じられます。
渡辺さんは八区の課題として「班の世帯数や広さによる草刈りなどの負担」「数年前までPTA主催で実施していた盆踊りの再開」「空き家が増えてきたことによる(特に防犯上の)問題」などを挙げます。時代や取り巻く環境の変化と向き合いつつ、近隣の班同士での日常の支え合い。自治会単位で取り組む交流・環境整備・見守り。自治会や行政区単位を超えて滝沢地域振興協議会で考えるべきもの。課題の性質に応じた役割分担も必要になってくるのではないかと考えています。
また、定期的に自治会の役員会も開催(昨年度は7回)。役員の中には現役で仕事をしている方もいることから、できるだけ参加しやすいようにと土曜夜の開催にしており、参加率は8割にもなるとのこと。行政区長を兼務する渡辺さんは「ご多分に漏れず充て職も多く、代理を立てられないこともしばしば。とにかくせわしない」と若干のぼやきを入れながらも、だからこそ役員会などで情報や課題を共有し、話し合う機会を持つことで「会長だけが頑張っているという雰囲気ではないようにしたい」と期待を込めます。
「班・自治会・協働体」という縦の糸と「自治会内の役員・住民」という横の糸。縦横それぞれの役割分担が整理、見直され、そして連携により織りなされた地域。渡辺さんはそんな地域づくりを模索します。
お二方の座右の銘。「地域づくりにはみんなの協力が必要」と話す小野寺さんは実直な人柄そのままに「一生懸命」。一方、自身4期8年事務局を務めた経験も踏まえ「役割を分かち合いましょう」という渡辺さんが選んだ上杉鷹山の句は「~成らぬは人の為さぬなりけり」と続きます。その教訓を胸に奮闘する1人の会長の姿が、今日も八区のどこかで見られることでしょう。
わたなべかずお
渡辺一男さん
4期8年にわたる自治会事務局を経て、自治会長に就任して2期3年目を迎える。「忙しい」を超えて「せわしない」といいながら、自治会運営に奮闘の毎日。
おのでらつかさ
小野寺司さん
新会長選出にあたり「渡辺君しかいない」と推薦。小野寺さん自身もかつて会計として自治会を支えてきた経験があり、渡辺会長就任と同時に副会長就任。会長を「強力」にサポート。
自治会の活動拠点である真滝八区ふれあいセンターで行われた軽スポーツ大会。この日はスポーツ吹き矢を楽しみました。
PTAと共催し、子どもも参加する珍しい新年会。子ども会行事と新年会の日程を合わせる工夫が世代間交流の場を生んでいます。
身近なテーマを選ぶことで、大勢の参加があったとのこと。ごみのマナーに対する住民の皆さんの意識の高さが伺えます。
毎年消防署の協力を得て内容を検討する総合防災セミナー。煙訓練、炊き出しなど実践的な取り組みのほか、AED訓練も3年に1回は実施。