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区 長 小野寺司さん
(idea 平成29年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆区長:小野寺 司 さん(4期7年目)
◆一ノ関駅から奥州街道を1kmほど南下。一関南小の北側、台町エリアに位置する一関第6民区
親交会(以下親交会)には、258世帯593人が暮らしています。
※「地域ではほとんど区長と呼ばれている」とのことで今回は区長と表記します。
『4時間』それは事前に準備した配布物を、区長が市広報の到着と同時に29軒の班長宅へ届けて回るのに要する時間です。月2回で8時間。決して短くないこの時間には、回覧板と広報の配布を通じたコミュニケーション(挨拶や行事のお誘い、ねぎらいや感謝など)により、区長と班長が共感的関係になることを期待する区長の思いが込められています。
今回は、「区長から班長へ、班長から班員へと続いていく共感的関係の積み重ねや、隣近所の行き来を大切にする意識の向上が信頼となり、『安心・安全・住みよい台町』に近づく」と語る、親交会長であり、一関地区区長会長、一関地区福祉活動推進協議会長など要職を兼任する区長の小野寺司さんにお話を伺いました。
「自分を育ててくれた恩返しの気持ちでこの地域に10年は貢献する」これは地元台町で生まれ育った小野寺さんが、長年勤めあげた教師生活に定年が訪れた時、今は亡き父と交わした約束だそうです。
そんな背景もあり、親交会の活動に関わるようになりましたが、当時の親交会の活動は比較的下火傾向で、小野寺さんには事務局長としてまず親交会の体制を見直すことが求められました。従来の「部」の解体と、役員構成を「区長・民生委員・保健推進委員・老人クラブ代表・PTA会長」に再編成する規約変更、さらに自主防災会の立ち上げも含めた同時進行での新体制作りという難事業を支えた小野寺さん。その後区長として「地域を活発にするには多面的な取り組みが必要」と、年4回の役員会を通じ、老人クラブ、PTAという幅広い年齢層と情報共有・連携を図り、地域の課題解決や、連携からの新たな取り組みを模索しています。
例えば夏祭りの子供神輿は親子、地域合わせて120人以上が参加する地域を挙げての活動ですが、練習日の中に1日だけ子供防災講習会を組み込んだり、逆に秋の大人向け防災講習会と台町交流会をセットで開催して、世代間交流や防災意識の向上につなげています。
また、健康3本柱(年間10回の「元気いきいき教室」、毎週木曜日の百歳体操「台町木曜会」、体育の日の「早起き歩く会」)も健康意識を高める要素になっています。こうした老若男女を対象とした多面的な取り組みは、年度当初に日程まで決めて作成される年間予定表と、毎月2回小野寺さん自ら作成する「第六民区広報」で、住民に案内・報告されています。特に「ご苦労様です」「感謝します」の言葉で紡がれ、今年2月で200号を迎えた民区広報には「継続は力なり」を座右の銘とする小野寺さんの地域への思いが込められています。
小野寺さんは『生理的欲求・安全欲求・所属欲求・承認欲求・自己実現欲求』という心理学の『欲求5段階説』を例に挙げ、「この考えは地域にも当てはまる。誰しも自分が地域の一員であると感じたい(所属欲求)、地域の人たちに認められたい(承認欲求)という思いを多少なりとも持っているはず。そういう住民の気持ちを受け止め、認めて評価することが、『地域のために何か役に立ちたい、貢献したい(自己実現欲求)』というやる気を後押しし、『共に支え合う地域』に向かう一歩となる」と持論を語ってくれました。
最後に「見て行って」と案内された台町公民館。壁を埋め尽くす様々な活動の写真と、それを説明
する少し誇らしげな笑顔がそこにはありました。
大勢が参加する子供神輿